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勇者の同行者  作者: シン


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プロローグ

 ──静寂が場を支配していた。

  ここは王城の近くにある洞窟内に存在神殿。この神殿には今、多くの人間がある儀式を見届けるために集まっていた。 これだけの人数がいながら誰も一言も発していないのはこの神殿の雰囲気がそうさせているのか、これから行われる儀式への期待と不安がそうさせているのか、それとも両方か。少なくとも、今からの儀式で世界の運命が大きく動くことだけは確かだった。

  王都に住む青年レイもまた儀式を見るためにこの場に来ていたが、彼の場合は少し事情が違う。彼にはこの後、重大な役目がまっているのだ。 まもなく、ローブを着た1人の男が神殿の中央に描かれた魔法陣の前に移動して片膝をつき、詠唱を始めた。


「神よ、我らが平和のために力を!異世界に存在せし勇者たり得る者をここに!」


 その言葉を言い終わると同時に魔法陣から眩い光が放たれる。人々はあまりの眩しさに思わず目を閉じ、手で光を遮る。

 光は明るさを増していき、最も明るくなると同時に、ボンッ、と何かが爆発したような音が響いた。

 しかし、この場に爆発するものなどないはずだ。人々は不思議に思いながらも光が収まるのを待った。

 やがて瞼越しでもわかるほどの強い光が収まり、1人、また1人とゆっくりと目を開ける。すると、辺りには何故か煙が立ち込めている。

 どうやらさっきの音は気のせいではないらしい。だが、何かが燃えているということはなさそうだ。疑問に思いながらも人々は 魔法陣の方を見た。

 煙でよくわからないが中央に人影らしきものがあるようだ。


「や、やった!──ゴホッ」


  人影らしきものを見つけて誰かが叫んだ。


「やっ、ゴホッ、やったぞ!」


 徐々に煙が晴れてきて間違いなく人影だとわかる。


  「ついに、ゴホッ、この国はすゴホッ、救われるんだ!」


(さっきから叫んでる人達は大丈夫か?)

 レイはそんなことを思いながら、魔法陣の方をじっと見ていた。


  「おぉ!」


 煙がほとんど晴れ、さっきまでの人影がはっきりとしてくる。


「「「「「「オオオォォォォォォ──お?」」」」」」


 魔法陣の中心の人物の姿がはっきりとした時、この場にいた者たちの歓声に疑問符が付いた。


  「いきなり光って煙の中にいると思ったら······どこだよ、ここ······」


「······ぅん······」


「やった! 成功した! ······まあ、装置は爆発しちゃったけど問題なし!」


 そこにいたのは困惑している少年と眠っている少女と喜んでいる少女だった。

(召喚されるのは2人じゃなかったのか?)

 レイは召喚されるのは2人だと聞いていたが3人いるようだ。そして、どうやらさっきの爆発はあの少女のせいらしい。


  「ようこそ勇者様方。突然のことで驚かれたでしょう。ここはあなた方の世界とは別の世界です。くわしい説明を行う前にまずは移動したいのですが、その······起きていただけませんか?」


  最後のはもちろん眠っている少女に対しての言葉だ。しかし、この世界に召喚される際におそらくは眩い光に包まれ、爆発音も聞いたと思われるがそれでも起きていないのだ。その程度で起きるはずがない。


「ん······」


  思った通り、少女が起きる様子はなく、話をしようとしていたローブの男は完全に困り果てている。


  「──おい、起きろ」


 少女の隣にいた少年がそう言いながら少女の体を揺さぶった。

「······」


「······ん、ぅん······あれ、 ここは?」


  少女はようやく目を覚ましたようだ。


「どうやら異世界らしい」


  「······そっか。おやすみ」


  「おい!」


  パチンッ!


「っ! 痛い······」


 少年が再び寝ようとした少女にデコピンをした。少女は痛そうに額を抑えている。


「······え─、それでは移動します」

 ローブの男をそういうと歩き出し、3人はそれについて行った。大勢の人がそれを見送る中、レイもローブの男を追いかけた。

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