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第2話 1189年 8月 

今回は設定を重視してみました。レイの叫びが多いので気をつけてください

この地での日々は、常に死と隣り合わせの過酷なものだった。空気は埃と生ゴミ、そして錆びた鉄の匂いが混じり合い、肺腑を圧迫する。遠くから響く魔王軍の足音は、この街の住民にとって日常に溶け込んだ恐怖であり、配給される食料は飢えを凌ぐにはあまりにも乏しかった。17歳を迎えた男子は、例外なく過酷な労働に駆り出されるか、兵士として徴用される運命にあった。街に成人男性の姿が少ないのは、その非情な現実を如実に物語っていた。


ある日のこと丘の木の上で寝転がってこれからの人生設計をしていた。


(まずはでっけぇ家を立てるだろその後には冒険者になって女が寄ってそしてそして、、、、、)


カイリ

「ねぇねぇ、レイ! 何してるの? 一緒に遊ぼうよ!」

(この子……カイリ・アリエル。そう、彼女はいつも笑顔で、俺が落ち込んでいるとすぐに気づいてくれる。みんなを元気にするのが得意な、俺の幼馴染だ。)

(この子、可愛いな……いやいや何を考えてるんだ俺、ロリコンでも目覚めたか!? まだ五歳だし、健全な精神でいよう。)


トア

「カイリの言う通り、お前は少し考えすぎだ。もっと効率的に生きるべきだ」

(そして、トア・クロノス。あいつは俺と同じ五歳なのに、やたらと合理的で物分かりが良かったな。まるで小さな軍師みたいだった1。)

(それにしてもトア、ちょっとイケメンで頭がいいからって調子乗るなよ。どうせ俺はこれからチート能力でウハウハハーレム人生が始まるんだからな! いいもん!)


兄アレンはその光景を見守るように窓から微笑む


この過酷なスラムに、温かい光があった。

いつも笑顔で、俺が落ち込んでいるとすぐに気づいてくれるカイリ・アリエル。

五歳とは思えないほど合理的で、大人顔負けの賢さを持つトア・クロノス。

そして、幼い弟の自分を健気に守ろうとする、責任感の強い兄、アレン・ヴァイル。

彼らと過ごす時間は、俺にとって何よりも大切なものになっていた。


ある日のこと近所のじいさんが、珍しい「鑑定」のスキルを持っていると聞き、レイはカイリ、トアと共にその家を訪れた。


「おお、坊主たち、何を鑑定してほしいんだい?」


(トアたちが行きたいと言ったからついて来てみたが、この雰囲気に鑑定といったらこれはもはや俺のチート発覚イベントじゃないか。いやぁ困っちまうなぁ、


※レイの理想

このじいさんが俺を鑑定して「な、何!?何だこのステータスは!?」そしてカイリが「レイすごーい!」それを見たトアが「なんてことだ強すぎる、参りましたぁー」って感じになっちまって、、あぁワクワクが止まらねぇ。 てかこの理想図レベル低すぎないか?俺もしかして頭の中まで幼児に退化しちまったか?)


カイリ

「ねぇねぇそのカンテイってやつをやるとゾクセイが知れるんでしょ?そのゾクセイってなあに?」


目を輝かせて聞くカイリに、気さくなじいさんは


「属性ってのはな、魔力を通すことで使える力のことじゃ。大抵の者は、火、水、風、土、といった自然の力を宿しとる。それぞれ、物を燃やしたり、水を操ったり、風を起こしたり、大地を固めたりと、様々なことができるんじゃ。中には、癒しの力を持つ者や、もっと珍しい力を持つ者もおるがのう。」


俺の使える属性は火、水、風、土、癒し.........か。ふっ、いいじゃん。魔法っていうのはイメージ力が大事ってよく見るよな、今のうちに練習しとこうかな


じいさんが手をかざすと、カイリの体が淡い光を放ち、優しく温かい輝きが辺りを満たした。


「これは……『癒』の光じゃ。稀に見る、大変な才能じゃぞ!」


カイリは喜びでぴょんぴょん跳ねた。次にトア。彼の体からは、燃えるような赤々とした光が放たれた。


「この赤色....お前さんは『火』の属性じゃな。しかもこの赤は中々強い火じゃ、将来が楽しみじゃのう」


トアは冷静に頷いたが、その瞳の奥には確かな喜びが宿っていた。


そして、レイの番。じいさんが手をかざす。


「な、何だとこれは!?」


(ふっじいちゃんほら早く俺の属性をみんなの前で発表してくれよ。あんたの目にはきっと虹色の光が見えてるんだろ、さぁ)

自分の想像に浸かるレイ対してじいさんが話しかける


「坊主、残念じゃが、お前さんには属性が見当たらんのう。うすい青っぽいのは見えるがこれは鑑定の誤認かわしの老眼のせいだわい。」


その言葉を聞いた瞬間、レイの顔は青ざめ、思わず絶叫した。


「嘘ーーーーーっ!? なんでだよ!? 転生したのに、特別な力はないのか!? ハーレムは?贅沢な暮らしは?ふざけんなよクソ神がああああああーーーーっ!」


レイの叫びは、おじいちゃんやカイリ、トアを困惑させたが、それに構わずレイは意味不明な言葉を発狂し続ける。そんなレイにじいさんが


「いや、しかし、稀におるんじゃ。人間()()の『光』という属性を持つ者じゃ。それは生まれつきの属性とは別で、特別な条件が重なった時に発症する、と聞くがのう……」


その言葉は、ゲームの攻略本で偶然見つけた、誰も知らない隠しキャラや、発現条件が極めて難しいレアスキルを見つけた時の、あの独特の興奮に似ていた。彼のオタク魂が、乾いた喉の奥で震える。これだ。この世界で、俺が唯一、輝ける可能性……!


「光属性……やってやるよ、俺は、光属性を発現させる!」


それからというもの、レイは毎日、光属性の発現を目指してイメージトレーニングに没頭した。寝る間も惜しんで、光のイメージを追い求めた。そんなレイの様子を、火属性の持ち主である兄のアレンは、温かく、そして少し心配そうに眺めていた。アレンの顔には、温かな笑みが浮かんでいた。

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