プログーグ
初めて作った小説です。バンバン指摘してもらえると光栄です。
真っ暗闇。何も見えないし、何も聞こえない。ただ、重くてベタベタした闇が、心の奥底から広がる感じだった。音は水の中にいるみたいにぼんやりしていて、遠くの生活音も、かすんだ向こうの影みたいに揺れてるだけ。
その闇の中で、俺はいつも同じ映像を見ていた。壊れたビデオみたいに、何度も何度も頭の中で繰り返される。40歳を過ぎて、会社をクビになり、奥さんにも逃げられた、どうしようもない男の姿。ゲームの中では剣を振って魔法を唱え、ヒーローになれたはずなのに、現実では何も、本当に何も守れなかったバカな俺。
(まただ……また、俺は何もできなかった。いつも誰かの後ろばかりで、大事な時に、ただ突っ立ってるだけだった。結局、俺は最後まで、何一つまともにやれなかった。こんな人生、もううんざりだ。誰かに認められたいとか、そんなちっぽぽけな願いすら叶えられなかった。)
最後の瞬間、目の前に飛び出した小学生を突き飛ばした。背中に響く鉄の塊の衝撃は、鈍い痛みと一緒に俺の意識を奪っていった。アスファルトに叩きつけられる衝撃と、遠くで聞こえるサイレンの音。そして、全部がプツンと途切れた。
「ああ、情けない……。結局、最後までヒーロー気取りかよ」
まぶたの裏に焼き付く、情けない自分の姿。心臓を直接つかまれたみたいに、すごく痛かった。熱い塊がこみ上げてきて、喉が締め付けられて息もできない。目からあふれる涙は、頬を伝って、しょっぱくて、凍るみたいに冷たい。それは、悔しさと絶望が混ざり合った、心の底からあふれる純粋な痛みだった。
だが、もう一度光を感じた時、世界はガラッと変わった。視界に飛び込んできたのは、土壁の粗末な家々がひしめき合う、薄暗い光景だった。人々は皆、顔に深い疲労と諦めを刻み、その足取りは重い。鼻腔を刺激するのは、埃と錆びた鉄、そして微かに混じる血の匂い。空気は重く、肺に吸い込むたびにざらつくような感覚があった。そして、俺の手足は、驚くほど小さく、まるで自分のものとは思えないほどだった。5歳の、子供の手足だ。