表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

Umemura's 2

第8話:「B-52と陽気なコンビニ店員」



 元旦ってどうして毎年晴れるのだろう?と、この俺は不思議に思った。暦なんて人間が勝手に決めたものなのに、なぜか一月一日はまるで自然界がめでたい日を祝福するみたいに、毎年かならず突き抜けるような晴天になる。

 まあでもそんなことどうでもいいや、と俺は自宅近くの小さな神社に初詣に行った。参道の傍らで御神酒を振る舞ってたから、ありがたく頂戴した。

 この俺のバー「Umemura’s」の新年は、元日から営業を始める。毎年の習慣だ。

 開店準備をしているところにティナがやってきた。「梅村さん!あ、明けましておめでとうございます!」ティナは、ちょこんと頭を下げた。と同時に、店の片隅からナベ君のピアノが聞こえてきた。今年一曲目に彼が選んだのは、マイ・フーリッシュ・ハート。この二人と今年も一緒に仕事ができるということに、俺はささやかな幸福を感じていた。

 そのとき、店の入り口の扉が勢いよく開いた。「やあ、梅村さん!いらっしゃいまーせーー」六十歳ほどで明るい髪色の、小柄で元気な女性が入ってきた。

「村上さん、明けましておめでとう。それにしても、いらっしゃいませはこっちの台詞でしょう?」俺はいささか辟易して言った。

「ああごめんごめん、あたしもコンビニ店員、長いからね。口癖っていうの?つい出ちゃうからねえ」村上さんはカウンターのスツールに腰掛けた。「じゃあ梅村さん、今夜はB-52を作ってくださらない?」

「B-52?」俺は驚いて、少し大声を出してしまった。「いいですけど…新年早々、そんなもの注文するお客は初めてですよ」

 ショットグラスにカルーア、ベイリーズ、コアントローの順に慎重に、互いに混ざり合わないように注ぐ。三層になったリキュールが、カウンターの上で静謐なコントラストを示していた。

「いってんーー、にてんーー、さんてん。」突然、村上さんがグラス内のリキュールを指でさして数えながら素っ頓狂な声を出したので、俺とティナとナベ君はそろってズッこけてしまった。「む、村上さん。どうしたの?」

「いや、コンビニで商品をスキャンするときのかけ声がセクシーだって若い大学生のお客さんに言われたのが嬉しくてねえ。まだまだあたしも捨てたもんじゃないって、カクテルでやってみたいって思ったの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ