記憶
夏目視点
「あなた」
と私が繰り返し涙を言っている。名札のような紙切れを持って。そこはどこかで見たことがあるような気がする。
瞬きを何回かして夏目はゆっくりと瞳を開けた。
その日は妹の呆れた声でもなく。母の怒鳴り声でもなく父のいびきでもなく、日の出とともに鳥の囀りで目を覚ました。その日は2度寝する気にもならなかったので家の外に出てみることにした。
外に出たその瞬間、夏目の中で様々なことが繋がっていった。
外に出た瞬間のその景色は夢に出てきた時のあの景色と瓜二つであの日彼は今はなんも無いあの草原から旅たったということがわかった。
「私の夢は誰かの記憶だったの?」
その出来事を境に夏目は夢に出てきたことを記録しはじめるようになった。
夢での私の子供の名前は私のひいおじいちゃんの名前になっていたそれに住んでいる場所もおなじ。そこから私が夢で見ているのは、写真に写っていたひいひいおばあちゃんの一葉では無いかと考えた。その瞬間、涙が溢れ出した。
私も一葉と同じように「あなた」を愛していたなら、そう思うととても心が締め付けられるような気がした。たけど夢での
「またいつか会いに来る」
という言葉を聞いて少し切なくなったような安心したような気がした。