少年は天使を見つける
『ネミウィン、私達龍の一族は真実の愛を知れば寿命も知る、貴方も真実の愛を見つけ、天寿を全うしなさい。』
『はい、お母様』
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「くあぁ…」
今日も退屈な日々が始まる。
お父さんは居ないし、お母さんは知らない男の人の家、小学校も行ってないし行く気もない。
あんな母親、大っ嫌いだ。
まぁ、ここまで育ててくれた事と「理優」って名前を付けてくれた事だけは感謝してるけど…
「あーーーー!!!もう!!暇!暇!暇!」
ガッ
僕は小石を蹴った
それは地面を歩いていた小鳥に当たり、打ちどころが悪かったのか小鳥は倒れて動かなくなってしまった。
「……」
「こんなに簡単に死んじゃうんだ。」
「かわいそ。」
罪悪感なんか微塵もない、小鳥1羽殺した所で捕まる訳でもないから。
「はぁ〜、暇つぶしに森にでも行こうかな…」
僕にはいつも行っているお気に入りの森がある。
閉鎖された森だ。
そこには沢山の不思議な物があるんだ。
変なうねうねした生き物
光り輝く向日葵
小人のおうち
そこは僕の暇を潰すのに最適な場所なんだ!
「今日はどんな物があるのかなぁ…」
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僕は森に着いた。
でもいつもと風景が違うんだ
吹き飛ばされそうな程の強い風
真っ黒な空
一斉にどこかへ逃げるカラス
「何かが…起こるのかも……!!!」
僕は目を輝かせた
その瞬間
「 ぅ゛っ 、ぼ ぇッ 」
急に吐き気を感じ、その場で吐いてしまった。
(何………?!)
目が回る。
気持ち悪い。
頭が痛い。
耳鳴りがする
カラスの声が異様に大きく聞こえる
うるさい
うるさいうるさい
うるさい…!!!!!!!!
いくら叫んでも助けは来ない。
どれだけもがこうが状況は悪化するまま。
(このまま…死ぬのかなぁ…)
(もう、いっか……)
僕は目を閉じた。
この世に別れを告げる
そのつもりだった。
ガバッ
僕は勢いよく起き上がった。
「ん…ぇあ……??」
(頭…痛くない…うるさくない…)
生きていたのか、少し期待外れだった。
だが、その直後僕は驚いた
「あれ……どこぉ?!」
そう、目を覚ましたは良いものの、森とは全く別の町に僕は居たのだ
しかも時刻は夜のようだ。目も慣れていないから真っ暗。どこに何があるのかすら分からない。
「うぅ……暗い…」
その時
ザクッ
「ぅ゛っ…ぐぁ……ぁ」
「あ゛ぁ゛っ…!!」
「何の音……?!」
勢い良くナイフを突き刺す音、
男性の痛々しい苦しむ声が聞こえてきた。
暫く混乱していると目が慣れてきた。
(よし、音のする方へ向かってみよう…何か面白い事が起こるかも……!!)
走り出してすぐ、その現場に到着した。
グサッ グヂュ
「はっ…ぅ……ぐぅ……がぁ……」
「何……だ、貴様……」
その男性は俯いたまま低い声で喋りかけてきた。
僕が来たのがそんなに気に入らなかったのだろうか
「痛くないの?死なないの?」
僕は在り来りな質問をした
「…………」
返事をしてくれない。
「おーい?」
何度話しかけても無視、無視、無視
「ん〜〜〜〜〜〜!!!!もう!!!!」
ぐいっ
僕は男性の顔を両手で掴み、無理矢理上げさせた。
「話聞いてるのって…」
「ば……」
その男性と目が合った瞬間、僕は衝撃を受けた。
今までに感じた事のない衝撃。
まるで本当の天使に会ったような感覚。
僕は目を輝かせた
これが
これが一目惚れなのだろうか。
僕は暫く固まって、ハッとなった。
この想い、伝えなきゃ!!
「ねぇ!」
「貴方は、僕の天使なの?!」