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極悪辺境伯の華麗なるメイドRe  作者: かしわしろ
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極東編:移動1

極東までは普通であれば馬車と船を利用していくのだが、私たちグルンレイドのメイドにとってはどちらも不要である。平野は走り抜ければいいし、山と海は飛び越えればいい。一週間近くかかる道のりも、一日二日で十分なのだ。が、


「船は、乗りたいよね」

「確かに。」

三人の意見がまたもや一致する。馬車というのは私たちにとって珍しいものではない。しかし船というのは周辺に海のないグルンレイド領にとってはかなり珍しい。


現在グルンレイド領を出発し、浮遊魔法によって平野を駆け抜けている。この領土全体がアリサさんの魔力拡散結界によって包まれているので、魔力だまりが発生しない。ということは魔物が生まれないということになる。正直グルンレイド領ほど安全な場所はないと思う。


「もうそろそろグルンレイド領を抜けるよ。」

魔力拡散結界を抜ける、があまりに拡散率が小さすぎるためそこまでの変化はなかった。


「まだ?ずっと平野なんだけど。」

オリビアちゃんがそのようなことを言う。


「2時間くらいしか飛んで無いでしょ……」

山の麓までちょうど半分というところだろう。もう1時間もしたら休憩することにしよう。


「いいじゃん!すっごい気持ちいいし!」

代わってレイリンちゃんはとても楽しそうに飛んでいる。まあじっとしてるのが苦手なタイプだからね……。たまに浮遊魔法ではなく、身体強化をして地面を走っていた。


「魔物発見!」

その瞬間、ドン!という音と風が巻き起こる。レイリンちゃんが猛スピードで走り出したのだろう。


「バーン、ナックル!」

なんの魔物か見えなかったが、一瞬にして塵になる。グルンレイドのメイドは不要な殺生は禁止されているが、魂のない魔物は例外らしい。そもそも生物ではなく、倒した後は原型が残るわけではなく魔力に還る。


「はーっ、スッキリ」

グルンレイドのメイドたるもの、もっとお淑やかであってほしいのだがここには他に人もいないので多めにみることにしよう。レイリンちゃんもしっかりするべきところではしっかりできるのだ。


「相変わらずの威力だね。」

オリビアちゃんが声をかける。確かにグルンレイドの見習いの中で最も攻撃力が高いのがレイリンちゃんだろう。私たちがレイリンちゃんと戦う時は、そこの拳に細心の注意をはらわなければいけない。私程度の魔力障壁だとかすった程度でも致命傷になりかねないからだ。真正面から何度も受け止められるのはフィオナさんくらいだろう。


「本当にね。」

破壊した地面を魔法によって復元しているレイリンちゃんを見ながらそういう。王国なんかに行ったらきっと英雄にでもなれるだろうが、グルンレイドでは可愛いものに見えてしまうというのだから、やはり私たちのいるところは普通ではない。



「ついたね。」

「やっとだよ……」

元気なレイリンちゃんとは逆に、オリビアちゃんかかなり飽きてきたようだ。グルンレイドの訓練をこなしているのだ、疲れたということはないだろう。


「じゃあ、今日はここで休もうか。」

「えー、いかないの?」

「いや、休もう」

オリビアちゃんがレイリンちゃんの肩をガシッと掴んで、真剣にそのようなことを言う。よほど休憩したいのか……確かにこのまま進んでしまうと山頂に着く頃にはかなり暗くなっていることだろう。一般的に夜は魔物が強くなる。まあ、私たちにとっては誤差みたいなものだけど、視界も悪くなるしそこまで急ぐことではないので明るくなってから移動したい。


「レイリンちゃん、今日は休もう?」

「はーい。わかった。」

最初にこの子を見たとき自由奔放な印象を受けたのだが、割と周囲に合わせる性格だった。見習いメイドの中でもかなり大人びている方だと感じる。


そうして私は遥か上空に浮かせていた巨大な荷袋を下ろす。時空間魔法が使えれば、異空間に収納することができるのだが、私は使うことができない。


「じゃあ、私は何か動物でも狩ってこようかなー」

レイリンちゃんが立ち上がる。たくましいな……しかし二人のために食糧は持ってきている。それがなくなった時に狩を頼むことにしよう。オリビアちゃんは今日何も食べずに、港町に着いた時に何かを買って食べるつもりだったらしい。うちのパーティは自由人が多すぎる……。


「今日は私がエミリアさん直伝のシチューを振る舞ってあげます!」

お米も含め、材料は全て持ってきた。今日は私が料理をこの子たちに作ってあげよう。


「……これがやりたかっただけじゃない?」

「ねー」

二人して顔を見合わせている。


「ち、違うから!」

ほ、本当に違うんですけど!一生懸命練習した料理を見せびらかそうとしたとか、そういうわけではないんですけどー!


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