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極悪辺境伯の華麗なるメイドRe  作者: かしわしろ
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華宴:エミナ・ナナクサ1

華宴も残り1日になってしまった……。グルンレイド領にきてからかれこれ5日くらい経っている。


「お前ら、流石に今日は帰るぞ!」

そういってくるのは私たちのパーティのリーダー、侑斗さんだ。年は35歳。あっちの世界で30年、こっちの世界で5年という経歴である。


「……しょうがないなぁ。今日で終わりだって、恵美奈さん」

モデル並みの体型とフェイスでこちらを見てくるのは春ちゃん。大学生で本当にモデルのアルバイトをしているらしい。私と同じように、あっちの世界で寝ている間こっちの世界へ、こっちの世界で寝ている間あっちの世界へ移動してしまうようだ。


「いやです!私はここに住みます!!」

……こんなセリフをいっておいてなんですが、申し遅れました。七草恵美奈と申します。


「恵美奈さん……子どもじゃないんだから……。」

現役大学生に諭されるOLの図が完成してしまった。だって……私の楽園はここなんだもん……。


「そんな顔してもダメだぞ……」

侑斗さんからもそう言われる。


「……わかったわ。」

私も渋々頷くしかないではないか。


グルンレイド領にきたのはこの華宴が初めてだったが、もはや現実世界よりも心地いいとすら感じた。会社で働くと感じる精神的なダメージがこちらの世界には全くないのだ。まあ魔物と戦うと肉体的ダメージはおうことはあるのだが……しかしそれはヒールを使えば簡単に治る。昨日の会社で感じた精神的なダメージってヒールじゃ治らないんだよね……。


「じゃあ恵美奈さん、最終日はどう過ごす?」

「うーん……」

宿、というかホテルのフロント前で春ちゃんがそう聞いてくる。侑斗さんは最初の数日で屋台の食べ物を全種類制覇してしまったものの、グルンレイド製の武器や魔法道具などに興味を持ってしまい、今日もそれらを見にいくつもりらしい。かくいう私たちもグルンレイドにのメインストリートにあるお店はほとんど行ってしまい、どうしようか悩んでいるところだ。


「あの……」

私と春ちゃんがうんうん悩んでいるところに、聞き覚えるある声が聞こえた。


「あ、リアちゃん!」

「お、おはようございます。」

そういって私でも見惚れてしまうような美しい礼をされる。私たち異世界人には魔力核がないのでそれを感じることができないが、きっと心地よい魔力が流れていることだろう。


「どうしたの?」

「少し異世界のことについて教えていただきたいなと思いまして……今お時間大丈夫でしょうか?」

「全然大丈夫だよー。むしろ暇だから何しようか考えてたところ!」

「ありがとうございます。」

私ももっとリアちゃんと話してみたいと思っていたのだ。異世界の人と話す機会なんてほとんどないし、単純にリアちゃんと仲良くなりたいし。


「春さんはどうでしょうか……?」

「もちろん私もいい……あれ?ちょっと待って。」

「どうされました?」

「今日って実は舞踏宴の決勝戦だったりする?」

「そうですよ?」

確かに舞踏宴が今日が決勝戦だというのをどこかで見た気がする……あ、あれだ。ホテルの部屋の中に置いてあった『華宴の歩き方』に書いてあったのだ。


「リアちゃんごめん!私そっち行っていい……?」

「もちろんです。ぜひマリーローズの方々の戦いを見てみてください!」

恵美奈さんもごめんね!と言いながらホテルのフロントを出て行ってしまった。確かに春ちゃんは舞踏宴にとても興味を示していた。確かに可愛いメイドさんがかっこよく戦っている姿はすごいと思うのだが、やっぱり私はおしゃれなお店を見ていた方が楽しい。あとおしゃべりもね。


「エミナさんも無理はしないでくださいね。」

「そんなことないわー、私もリアちゃんと話してみたいと思ってたの。」

「そ、そうですか!」

とても嬉しそうな顔をする。やっぱりグルンレイドのメイドって可愛いから見てるだけで癒される。にしても異世界の人って顔が整いすぎじゃない?あのモデルである春ちゃんが目立たないほどだ。私もあっちの世界ではちやほやされる程度の容姿だけど、こっちの世界だと普通以下なんだよね……。ちょっと泣きそう。


「これですが、報酬の先払いです。」

リアちゃんがそういって袋を渡してきた。


「報酬?」

「はい、異世界の情報を提供していただくお礼です。」

「え!別にいいよ!」

「ご主人様のご命令ですので……。」

別に私からしたら情報提供というより、リアちゃんとお話しするって印象なんだけどなー。


「も、もちろん私も仕事のためだけにお話ししようと思っているわけではありませんよ!エミナさんとお話ししたいと思っていたのも事実ですし……」

「ふふっ、わかったわ、これももらった方が良さそうね」

「す、すみません……」

少し気まずそうにこちらをみてくる。大丈夫『リアちゃんは仕事だから私と話すんだ』なんて思ってないから。


「気にしなくていいわよー」

ということで私はリアちゃんに案内されるままにグルンレイドの屋敷へと向かった。

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