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極悪辺境伯の華麗なるメイドRe  作者: かしわしろ
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コトアル・マリー・ローズ4

お風呂から上がると、いったん見習いたちと別れ私の住んでいる家、ご主人様のもとへと向かった。


「お疲れ様、コトアル。」

家の中に入ると、ヴィオラさんから声がかけられる。


「ジラルド様が全メイドを収集するって……。」

以前までは私がマリー・ローズということでヴィオラさんからは敬語で話しかけられていたが、今では立場が違うので敬語はやめてほしいと私からお願いした。


「私も理由は分からないのよね。」

そういいながら私たちはいったん部屋の中に入る。そこにはすでにご主人様と子供たち三人が準備を整えていた。


「全メイド収集なんて珍しいよな。」

ご主人様がそのようなことを言う。やはり今回はいつも以上に重要なことが話されるに違いない。


「そうですね。謁見の間に全員が入るのでしょうか。」

「あそこはメアリーの魔法で拡張できるはずだぞ。」

「……そうなんですね。」

この屋敷はできないことを探すほうが難しいのかもしれない。


「ヴィオラ、ガキどもの準備をしてくれ。」

「かしこまりました。」

そういってヴィオラさんは子供たちにメイド服を着るように指示していく。いつものようにビクトリアちゃんが駄々をこねるが、無理やりに着させていた。


「よし、向かうか。」

そういって私たちは謁見の間へと向かう。


--


私達は割と早くに謁見の間へ向かったつもりだが、すでに多くのメイドたちが集まっていた。みんなどのようなことを伝えられるのかについて会話をしている様子だった。


「所定の位置へ。」

メイド長の声が聞こえた。するとすべてのメイドは綺麗に並んでいく。私達はマーク様に仕えているのでそこにはいかずに、脇の方へ並ぶ。


「メアリー」

「かしこまりました。」

そのような会話がなされると、玉座のような椅子の前の空間が歪む。その中からジラルド様が現れる。すると、すべてのメイドが頭を下げた。 


「ふむ。」

そのような声が響くと、元の姿勢へと戻る。


「国王の精神支配が解けたようだ。」

……この時点で私は、なぜ私たちがここに集められたかという理由を推測することはできなかった。しかし、それに反応する人が三人いた。


「それはつまり……」

イザベラ様がそういう。その他にはスカーレット様とヴァイオレットさんの表情が変化する。


「イザベラ、説明せよ。」

「かしこまりました。」

イザベラ様が先ほど言っていた精神支配が解けたことの重要さについて説明してくれるようだ。


「以前私たちは国王のもとに呼ばれたことがありました。理由は、ご主人様を亡き者にするためです。」

イザベラ様の手に力がこもる。よほど許しがたい出来事だったようだ。ジラルド様はそんな小さなこ時にする必要はないという表情だったが、私のご主人様はというとイザベラ様の手に力がこもった瞬間にビクッと体が跳ねていた。イザベラ様は優しいと思うんだけどな……。


「しかしご主人様の素晴らしい精神支配魔法で、事なきを得ました。」

簡単に言うと、殺されそうになったのを精神支配魔法を使用して回避したということだろう。ここまで説明してもらえると、だんだんと分かってくる。その精神支配が解かれたということは、ジラルド様は再び国王に対する反逆者として罪に問われることになる。


「それが解かれたということは、ご主人様に何かしらのアクションを起こしてくることは間違いありません。」

確かにそれは全メイドが集められるのも納得がいく内容だ。


「どう……いたしますか。」

イザベラ様がご主人様にそう問いかける。


「私に仇なすものは誰であろうと容赦はなしない。昔からそういっていたはずだ。」

そういって、私達全メイドの方を見る。


「グルンレイドの力を、王国に示せ。」

「かしこまりました。」

全てのメイドが頭を下げた。ご主人様の命令は絶対。たとえそれが、国を滅ぼすことになろうとも。


「しかし現状はまだなんの行動も起こしていないようですので、しばらくの間は戦闘はないと思われます。各々、警戒を強めて欲しいということだけです。また何かありましたら収集をかけます。」

するとジラルド様は時空間魔法に飲まれ、自室へと戻った。残った私たちは解散のようだが、イザベラ様が何人かのメイドを指名して命令を出しているようだった。


「よし、帰るか。」

「ダメです。」

ご主人様はヴィオラさんに引き留められていた。確かに今回は……というか、今回に限らずご主人様が行う仕事はたくさんあると思う。イザベラ様からの追加の指示を待ったほうがいい。


「マーク、来てください。」

「……はいよ。」

渋々そちらの方へと歩いていった。


「コトアルよ。なんでこっちから攻撃をしないのじゃ?」

ビクトリアちゃんがそう尋ねる。


「ジラルド様は実害がない限り、こちらから攻撃を仕掛けないスタンスをとっているからですかね。」

「まどろっこしいの。こっちからいって全部ぶっ潰せば心配事も無くなるじゃろうに。」

元々効率だけを考えてきた私にとっては理解できないことでもない。不安要素を早急に消すということは大切なことだ……が、それがわかっていてもそうしないというのはジラルド様の慈悲の表れなのだろう。


「ジラルド様の優しさですよ。王国側がこちらへ攻めてこないことを祈りましょう。」

「わしは別に攻めてきてもいいがの。戦えるから。」

こういうところにも魔族の性質が現れてきていた。生まれながらずっと戦いの中で生きてきた種族か。


「はぁーいったん戻るぞ。」

イザベラ様の話は終わったようで、遠くからそんな声が聞こえてきた。


「かしこまりました。」

私とヴィオラさんは頭を下げ、3人の子供たちはすぐにご主人様に駆け寄っていた。こうしてみると誰1人として血は繋がっていないのだが……私なんて血さえも流れていないのだが、家族のようにも見えてしまう。


「どうしたコトアル。」

「すみません!今行きます!」

私もその一員になれたことに心から感謝をしよう。


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