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極悪辺境伯の華麗なるメイドRe  作者: かしわしろ
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コトアル・マリー・ローズ2

「ミクトラさん、今日はよろしくお願いします!」

三人のメイドたちの声が響いた。今日の訓練の相手はオリビアちゃん、レイリンちゃん、クレアちゃんのパーティである。ローズではなく見習いたちだが、決して舐めてかかってはいけない。一対一ではなんとかなるのだが、パーティを組まれてしまうと私も本気を出さなければ勝つことはできないだろう。


「よろしくね。」

特に気をつけなければいけないのは、オリビアちゃんの剣技、レイリンちゃんの龍技、そしてクレアちゃんの魔力操作だ。……気をつけるのは全員でした。


「戦闘モードへ移行。」

別に人間になった今口に出してこのようなことを言う必要はないのだが、なんとなく言っている。今でも機械の体であることは変わりはないので電力を使用することができるが、その他にも聖力も使用できるようになった。


「華流・花かんざし!」

そんなオリビアちゃんの声とともに訓練がはじまった。


「セイントウォール!」

私は聖力によって作られた壁で剣が私の体に触れるのを防ぐ。多少ヒビが入ってしまうが、剣はこちらへ届いていない。華流を相手にする上で意識すべきことは、剣に触れないということ。もし触れてしまう時は痛みや痺れなどの何かしらのデメリットが発生すると思ったほうがいい。




「量子砲・エレキレールガン!」

「エアヴェール」

後ろからクレアちゃんの声が聞こえてくると、私の攻撃は魔法によって固められた空気の層によって止められた。このパーティの役割分担としては、レイリンちゃんとオリビアちゃんで攻撃、クレアちゃんがサポートという形だ。だがサポートだからといってクレアちゃんを意識しないというのは命取りになる。なんたってクレアちゃんはこのパーティのリーダー、攻撃の面でも2人に負けないくらいに脅威だ。


「バーンナックル・重激!」

そんなことを考えていると、私の顔に炎を纏った拳が飛んでくる。


「超硬化……じゃない!」

私はその拳を受け止めようとして、すぐにその判断をやめた。理由は簡単。その攻撃を受けた瞬間に私の体は一撃で破壊されてしまうからだ。私が全力で防御に回ったとしても、多分致命傷は避けられない。『レイリンちゃんの攻撃は避ける』これはグルンレイドのメイドの中では当たり前に周知されていることだ。幸い攻撃の軌道は単調でスピードもそれほど早くないので避けやすいけど。


「セイントバニッシュルーム。」

クレアちゃんがそう唱える。すると私の中の聖力が拡散されていくのを感じる。やはり彼女から先に叩いてしまった方がいいだろう。そう思い、彼女の方に向かおうとするとオリビアちゃんの攻撃が飛んできた。


「華流・周断」

「くっ……!」

なかなか近づくことができない。


「まず私たちからですよ。」

二人がクレアちゃんを守るように私と向かい合う。


「バーンシュート!」

レイリンちゃんのけりが飛んでくると、私は後ろへ飛んで回避する。が、


「バインド!」

そこにクレアちゃんの魔法が合わせられる。


「華流奥義・」

まずい!高密度の魔力が込められたオリビアちゃんの剣が私の肩を目掛けて振るわれる。


「極一刀」

「超硬化!」

私の右腕に大きな傷が入る。


「くっ!」

機械の体なので血が流れることはないが、魂がなかった時よりも数倍の痛みを感じてしまう。また、大きすぎる傷は戦闘に支障が出てしまうのですぐに聖法で回復させる。


オリビアちゃんの視線が私を鋭く見据えている……極限状態に入ったようだ。この凄まじい集中状態に入ったオリビアちゃんは厄介だ。ならば、


「ロック!」

クレアちゃんの魔法を少しの間封じる。聖法は魔法に比べ威力が劣る場合が多いが、魔法に対して効果的なものが多い。


「魔法が……!」

「セイントシンクロナイズ」

レイリンちゃんに精神支配をかけると、彼女の動きが止まる。……さすがに操作はできないか。普通であれば私の命令にしたがわせることができるのだが、魔法障壁のせいでそこまですることはできない。だからこの状態であれば、外部からの支配解除魔法で楽に元に戻すことができるが、クレアちゃんは今魔法を使うことができない。


「私が、アンチシンクロ……」

オリビアちゃんが慌てた様子で魔法を唱えようとするが、私はその隙をつく。


「超量子砲・エレキレールガン!」

「あぁぁっ!」

オリビアちゃんが高熱の光線に包み込まれる。よし、これで集中状態を解除することができた。


「エクストラヒール!」

クレアちゃんの魔法抑制が解けたようだ。焼けたところがすぐに回復する。グルンレイドのメイドは常に魔法障壁を展開しているので、この程度で済んだが、普通であれば骨も残らないだろう。


「ごめん、油断してた。」

クレアちゃんが2人に向かってそういう。確かに隙をついてロックを唱えたとはいえ、そう簡単に魔法を封じられるのはあまり良くない。


「ロック」

「アンロック」

再び魔法を封じるために唱えたが、それに被せるようにそのような声が響く。


「今度はそう簡単にはいきませんよ。」

クレアちゃんの魔力密度が上がる。彼女は見習いの中でリアの次に魔力密度が高い。それに伴ってもちろん攻撃魔法の威力も高いのだが、特に回復魔法に特化している。さっきも絶唱ではないのに、完全に焼け跡を治していた。


「超加速砲・プラズマライン」

「エアヴェール!」

オリビアちゃんの前にレイリンちゃんが出る。私の攻撃を身を挺して受けているようだった。


「ありがと、華流奥義・」

その上を剣に魔力を込めながら飛んでくる。


「轟一線!」

「セイントウォー……」

「セイントバニッシュルーム・絶唱!」

クレアちゃんの声が響く。私の聖法障壁は粉々に拡散されてしまう。


「くっ、超硬……あぁぁっ!」

右肩から左の腰にかけて切られる。


「硬い……!」

普通の人間であれば、真っ二つになるのは確実だったのだが、私を構成している素材は普通ではない。大きな傷が残ったが切断されることはなかった。


「セイントヒール」

……聖力拡散結果のせいで思うように回復ができない。やはり見習いたちといえども三人集まればかなりの脅威となる。それじゃあもう少し聖力を解放して……


「ストップ。そこまで。」

私が次はどのように攻撃をしようか考えているときにそのような声が響いた。


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