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極悪辺境伯の華麗なるメイドRe  作者: かしわしろ
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マーク2

「リアさん、いってしまいましたわね。」

「そうだね。」

みんなが寝静まった夜、特に意味もなくメルテさんと庭を歩いていた。いや、実は少し寂しかったからだ。今まで一緒に訓練してきたリアさんが、先に終了試験に行ってしまったことが。


「まあ、強いからね。リア。」

「そうですわね。」

リアさんは私たちの中でも戦闘面において、秀でた才能を持っていた。別にそれ自体には妬みなどもないのだ。ただ、いつまでも私たち三人は見習いのまま、楽しく過ごすものだと思っていた。


「いつまでも続くものなんて、ありませんわ。」

自分自身に言い聞かせる。

「私たちも、がんばろうね。」

そうして私たちは自分の部屋に戻ろうとする。が……


「あらごきげんよう。こんな夜更けに何か御用ですの?」

私は草陰に向かってそう言い放つ。驚いた。このグルンレイドの屋敷に侵入者が現れるとは。そして頭の中に声が響く。


『アナスタシア、ちょっと相手してみて?』

アシュリーさんからの魔法によるメッセージだ。メルテさんにも声が伝わったのだ、私から離れるように移動する。……一体何が起こっているのだろう?まあ、考えても仕方ない、侵入者には変わりはないのだ。速やかに始末してしまおう。


「身なりからして、来客というわけではありませんわね。」

黒い服に腰に下げている剣、そして魔法による気配遮断。どうみても怪しい人である。


「ポイズンシュート」

そのような声が聞こえた。おそらく魔法によって聴覚を研ぎ澄ませないと聞き取れなかっただろう。暗闇で見づらいが、指先から細い針のようなものが飛ばされる。この魔法……いえ、聖法は刺さったものの意識を奪うというものだ。それを最小限の動きでかわす。


「ポイズンシュートですわね。暗闇では見えないと思っていたようですが、聖力をまとっている時点でバレバレでしてよ?」


「ライトルーム」

俺は光の空間が展開される。この空間は特殊で、この空間の中にいるものは昼間のように明るく見え、外にいるものは夜のまま暗くうつる。私に聖力感知ができるとわかり、暗闇によるアドバンテージはほぼないと判断したのだろう。相手の姿がはっきりと見え始める。


「驚いた、本当にメイドなんだな。」

そんな声がかかった。


「お初にお目にかかります。私はグルンレイドのメイド、アナスタシアと申しますわ。」

「華持ちは胸元にバッジがついていると聞いたが……。」

私のメイド服を見ながらそんなそんなことを言う。


「恥ずかしながら、まだ私は華持ちを名乗れるほどの実力がありませんの。」

私はスカートの中に隠している短剣を抜く。


「侵入者は即座に捕まえるようにと申しつけられておりますの。おとなしくつかまっていただけると嬉しいですわ。」

「つかまれと言われてつかまる盗賊がいるかよ。」

そういって相手も腰の剣を抜く。


「シド流・闇討ち」

かなりの速度で切り掛かってくる。

「華流・剪定」

それを私は剣で受け止める。華流・剪定とは触れたもののエネルギーや魔力を拡散させる剣技である。バニッシュルームの応用だ。


「エネルギーが……」

魔法障壁など展開していなければ、体内の魔力まで拡散されていく。侵入者は驚いた表情を見せた。今は、剣が重なりお互いの力の身で押し合っている状態だ。単純な力比べでは少女と男性、どちらが勝かは考えるまでもない。しかし私は魔力によって身体を強化しているので、そのまま吹き飛ばす。


「身体強化魔法ですわ。子どもだと思ってなめてかからない方がよろしいのではなくて?」

「痛った……割と本気で行かないとやばいな……。」

かなり思い切り吹き飛ばしたのに、そこまでダメージを負っている様子はない。弱いと決めつけるのはまだ早いかもしれない。そう思いながら私は剣を構え……


「えっ……」

肩が切られた。あまりの速さで私は全く反応することができなかった。


「固すぎるだろ!今のでちょっと血が出るくらいだと!?」

侵入者は私の後ろにいた。すぐに振り向き剣を構える。これは舐めてかかってはいけない……集中しなければ。


「この侵入者は私が相手いたしますわ。手を出さないでくださいまし。」

私が切られたときに多くの意識がこちらへ向けられる。私の戦闘を観測してるグルンレイドのメイドたちに向けていう。


「……なんだ、今の殺気は。」

私へ向けられた観測魔法に気づいた……?やはりこの侵入者はかなりの実力をもっている。


「逃がしてくれるという雰囲気ではなさそうだな。」

「そうですわね。」

おそらくローズたちが観測していることにも気がついたのだろう。逃走を図ろうとしているが、侵入者をみすみす逃すなんてことはできない。一度捕まえて、ご主人様の前まで連れて行く必要がある。

「じゃあ、人生最後の戦いということになるな。悔いのないように全力でいかせてもらう。」

やはりこの侵入者は普通ではない。自分のローズの実力差を瞬時に測りとっていた。全力でいかなければ、私の命も危ないかもしれない。


「シド流奥義」

剣にエネルギーが集まっていく。やはりこれも魔力ではなく聖力だった。


「華流奥義」

私も全力で魔力を練り上げる。私の中にある全ての力を込めて、剣を振るう。


「大空斬」

「極一刀」

ふたつの剣がぶつかり合った。

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