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極悪辺境伯の華麗なるメイドRe  作者: かしわしろ
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過去編:ヴァイオレット5

「に、人間!」

そういうと腰に下げている剣を抜き構える。それと同時に私もご主人様とイザベラさんの前に出て剣を構える。


「なぜ姫様の部屋に人間が!」

「ヴァイオレット!剣を……」

おろせ!といいたかったのだろうが、急にザンが床に倒れてしまう。これはご主人様の魔力……?一体なぜ。


「貴様ら、ザン様に何をした!」

「少し眠ってもらっただけだ。」

「この……人間がぁぁっ!」

ご主人様が殺したと思っているのだろうか。これは本当に少し眠っているだけである。しかしそんなことを伝える間も無く、ものすごいスピードでこちらへ向かってくる。


「エアヴェール」

剣が空中で止まる。


「魔法……唸れ、雷龍!」

止まっていた剣から、電撃が巻き起こる。


「……っ、エアヴェール!」

ご主人様に被害が行くすんでのところで守り切ることができた。


「よかった……。」

「お前は無傷ではないようだがな。」

確かに私はダメージを負ったが、ご主人様とイザベラさんにはいかなくてよかったという意味で言ったのだ。


「ここでは狭かろう。イザベラ、外へ飛ばせ。」

「かしこまりました。超級第三位魔法、ヨグ・ソトース」

イザベラさんが時空間魔法を唱える。ご主人様、イザベラさん、私、ヴァイオレットの四人が建物の外の荒野まで飛ばされた。


「なっ!」

ヴァイオレットは周囲を見渡して驚いている。確かに、私も最初に体験したときはかなり驚いたものだ。魔力の流れ自体は分かっていても、まだ魔力密度が足りないのか私にはそれを唱えることはできなかった。


「人間……何が目的だ。」

ヴァイオレットは私にそう問いかける。……そういわれても別に私は目的なんてない。


「……ちょっとわからないわ。」

「何をふざけたことを!」

ごもっとも。目的は何ですかという念を込めてご主人様の方を振り向く。


「そうだな、龍族の力を知りたかった。というところか。」

ご主人様がそう答える。


「それで、ザン様を……許さない!」

いや、死んでないわよ?しかしまたもやそれを伝える前に私に切りかかってくる。


「燃えろ、炎龍!」

剣から次は炎の龍が出てきてこちらへ向かってくる。


「バニッシュルーム……消えない!くっ!」

右手が焼けてしまう。魔法障壁を張っていなかったら骨まで燃えていただろう。それほどまでに温度が高かった。


「魔法ではない……。」

バニッシュルームで拡散できなかったということは、これは魔力によるものではなということだ。一体なんだ。


「この剣は聖剣だ。聖なる力をまとっている。」

魔力とはまた違った力なのだろう。


「華流・華かんざし」

「シド流・宵凪!」

二つの剣が重なり合う。しかし私の方が押し返されてしまう。……すごい力。魔力を体内に流すつもりが、聖剣によってせき止められてしまう。


「華流……っ!」

すでに私の懐まで潜り込まれていた。振るわれた剣をすんでのところでかわす。この龍族……強い。


「シド流・月下」

剣先が消える。


「くっ……。」

ほほに剣が当たるが、ガン、という音とともにヴァイオレットの剣が弾き返される。やはり剣技に関しては、私のはるか上を行く。


「魔法障壁か。固いな。」

「あなたに切られるようなやわな魔法障壁ではないわ。」

確かに今のままだったら、そこまで脅威となる攻撃力ではないのだが、あの目を見る限り絶対に奥の手を隠している。


「ファイアーアロー」

剣で攻略が難しいなら、魔法を使えばいい。そうして私は炎の矢を飛ばす。


「守れ、輝龍」

聖剣が光りだす。すると私の魔法が消滅する。


「なっ!」

バニッシュルームでもない、魔法以外の力が働いているようだ。魔法が効いている様子はない。


「シド流・宵凪」

「華流・剪定……くっ!」

身体強化魔法を使用しているのだが、吹き飛ばされてしまう。


「か、華流……。」

「シド流奥義、天ノ川」

「あぁっ!」

かろうじて反応したものの、わき腹を切り裂かれる。さっきから回復魔法を唱えているが、治りが遅すぎる。


「聖剣は魔の力を抑制する効果がある。その回復も魔法を使用しているのではないか?……もうあきらめろ。そして龍の里へ来たことを後悔するがいい。」

剣に力を込めながらヴァイオレットがこちらへ歩いてくる。


……私はここで死ぬのだろうか。いや、死ぬわけにはいかない。私には貴族をこの世界から消すという目的がある。そして、グルンレイドのメイドでもあるのだ。


『グルンレイドのメイドは”生きて”任務を遂行しなければならない。』

いつかのご主人様の声がよみがえる。あの方は私が信じると決めた唯一の存在。絶対に、裏切るわけにはいかない。

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