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極悪辺境伯の華麗なるメイドRe  作者: かしわしろ
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アナスタシア・ローズ1

「アナスタシア、おまえにこれを授ける。」

「ありがとうございます。」

長い訓練の末に、晴れて私はローズを名乗ることを許された。受け取ったこのバッジの輝きは生涯忘れることはないだろう。


「さっそくだが、ローズとなったおまえに頼みがある。」

「ご主人様の頼みでしたら、なんでもいたしますわ。」

私に知識と力をくれたご主人様のためなら、命を投げ出すことになっても構わない。


「魔法学校へ行け。」

「かしこまりました。魔法学校ですわね。......魔法学校⁉︎」

私が思っていたようなものとは大きくかけ離れていた言葉だった。


「ま、魔法学校はわかりましたわ。理由を聞いてもよろしいでしょうか。」

「そうだな......」

その理由は、王国の保有している魔法勢力を調べてきてほしいということだった。確かに私はグルンレイドのメイドたち以外の魔法士をほとんど知らない。ご主人様もそうなのだろうか。


「魔法学校は三年間通うことで卒業資格を得る。その三年間で生徒、教師、そのほかの王国の魔法勢力を調査してきてくれ。」

「かしこまりました。お任せください。」

確かに急な話だが、そのような重要な役目を一番にこの私に言ってくれたことがとても嬉しい。


「入学の手続き、住居、そのほかの手続きはこちらでやっておく。自分の持ち物だけを準備するだけでいい。」

詳しい話を聞くと、私は自室に戻った。



「アナスタシアちゃんおめでとう!」

同じ部屋で生活しているリアさんがそう声をかけてくれる。


「ありがとうございます。」

リアさんは私と同じ時期にグルンレイドのメイドとなったが、一足先にローズへとなっていた。


「へー魔法学校行くんだ!アナスタシアちゃんすごいね!」

数年間一緒に過ごしているが、とても優しくていい子である。同じく一緒に生活をしているメルテさんは外出中だ。


「私も楽しみですが、少し緊張しますわね。」

「確かに。自分の実力が通用しなかったらと思うとね......。」

「そうなんですのよ。」

グルンレイドで努力をしてきたとはいえ、マリー・ローズの方やほかのローズの方を見ていると、やはり自分は未熟だと感じる。外の世界で通用するのだろうか。


「がんばってね。私応援してる!」

弱気になっても仕方ない。私が今まで培ってきたこの力を信じる。


入学はグルンレイドのメイドという正体を隠し、海外の貴族の娘としてするらしい。だから貴族としての振る舞い方ができる私に声をかけたそうだ。その期待を裏切らないためにも、しっかりと任務をこなさなければ。


私が三年間通うことになる学校は、王国第一魔法学校という。王都の中で最も魔法能力に長ける者が通っところである。他にも魔法学校があるらしいが、第一魔法学校には及ばないらしい。


そしてもう一つ言われたことがある。それは付き人が1人つくということだ。


トントントン


そんなことを考えながら荷物の整理をしている時に扉が叩かれた。


「どうぞー」

リアさんが声をかける。


「失礼します。」

「あ、ソフィアちゃん。」

私と同じ......いや、今は違うが、グルンレイドのメイドの見習いであるソフィアさんが訪ねてきた。


「ソフィアさん、どうされました?」

「これから一緒に生活を送って行くので、持ち物などの確認をと思いまして。」

「なんの話ですの?」

「聞いておりませんか?魔法学校へのつきびとですよ。」

「まさか、あ、あなたが⁉︎」

付き人というのは、ほかの外部からメイドを雇うものかと思ってたのでかなり驚いている。まさかグルンレイドのメイドとは思ってもいなかった。


「あ、あなたはよろしいのですか?私のようなものに仕えるなど......」

「私自身でアナスタシアさんについていきたいといったんですよ。」

「そう、ですの......」

確かにソフィアさんは私を慕ってくれていた。だからと言ってそう簡単に決断できるものでも無いだろう。


「だめ、ですか?」

「そんなことはありませんわ。あなたについてきていただけると、私も安心ですわ。」

新天地で、しかも知っている人が誰もいないという状況はとても不安ではあった。ついてきてくれるのはとても心強い。


「ありがとうございます。」

ソフィアさんはかなり内気な方である。しかし例にもれず戦闘能力はとても高い。ローズになるのもすぐのことだろう。


「あなた、私についてくるということは、三年間拘束されるということですのよ?ローズの試験はどうしますの?」

「もちろん帰ってきてからで大丈夫です。確かにローズの姓は名誉あることですが、私は生きているうちにいただけたら、それで十分ですから。」

時間は関係ありません、そう付け加えられた。


「わかりましたわ。」

ソフィアさんの覚悟はとても硬いようだ。もう私が口を出すことはないだろう。


私は貴族出身なのでメイドに世話をされるという経験が無いわけではない。ただ長らく仕える立場だったので少し違和感を覚えてしまうのは確かだ。


「これからよろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いいたしますわ。」

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