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極悪辺境伯の華麗なるメイドRe  作者: かしわしろ
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天界編:その後3

真実の間へ見習いを含む全てのメイドが集合した。魔王城が想像より広かったため多少迷ってしまったが、なんとか集合時間には間に合った。


「ご主人様、どこにいっていたんですか?」

「いや、ここが広すぎるのが悪い。」

「……迷っていたんですね。」

ヴィオラの視線が痛い。


「マーク遅い!」

「ディアナちゃん、マークさんは時間には間にあってるんだし……」

子供たちはここにきてまだ数日だというのに、俺よりも魔王城に詳しくなっていた。ビクトリアの入れ知恵かと思ったが、あいつも魔王城の内装についてはほとんど知らなかったような……。


「どうしてお前たちはそんなに早くこれたんだ?」

「探検したから。」

「そ、そう。探検。」

ということはヴィオラがいない間に好き勝手に魔王城を移動したということになる。


「悪い、ことだった?」

アイラがそのように俺の顔を覗き込んでくる。ディアナは全く悪びれた様子もなく、すぐにビクトリアと話し始めてしまったが。


「いや、何にも悪くない。」

そう、全くもって悪いことではない。魔族は危険な存在ではないからだ。こいつらには魔族がどうとか、聖族がどうとか、そういう偏見なしに物事を見る目を身につけてほしい。


「それでは」

そんな声とともに、ざわついていた空間に静寂が訪れた。声を発したメイド長の隣には、思わず膝を屈したくなるような圧倒的なオーラを放っているボスが座っている。どう見てもボスが魔王でいいだろ……。


「早速検討事項を確認していきます。」

というメイド長の進行の元、さまざまな情報共有がなされ物事も決まっていった。


「そして天界の復興には、イリス。あなたにお願いしたいのですが。」

「かしこまりました。私が適任だと思われます。」

神が不在の今……いや神は俺だった。だが、メイド長から普段はグルンレイド領にいていいというような指示があったから、実質天界には不在だと言ってもいいだろう。不在の今、天界をまとめる存在は必ず必要となる。聖族であり、元四天王だったイリスならば適任だろう。


「誰か連れて行きたい、などの要望はありますか?」

イリス以外にグルンレイドのメイドを連れて行ってもいいということを言っているのだろう。グルンレイドのメイドは見習いであっても最高レベルの人材だ。戦闘、教養などの全ての分野で飛び抜けた能力を持っているものばかり、一人連れて行くだけでも仕事量が大幅に軽減されることは容易に想像できる。


「それは……検討してから、お伝えいたします。」

「そうですか、わかりました。」

少し考えた挙句、パッと思いつかなかったのだろう。後で連絡するようだ。誰が指名されても快く天界復興の手伝いに協力してくれるだろう。むしろ天界に行く機会などほとんどないので、待ち望んでいる可能性すらある。


「それでは次の議題に……」

というように話し合いは進んでいった。俺の仕事に関しては触れられなかったので、そんなに今までと変化ないのかも知れない。


「最後に、マーク。あなたには後程、厳密な仕事内容を伝えます。以上で会議は終了です。お疲れ様でした。」

俺の甘い考えは打ち砕かれ絶望する。どう考えても今までの仕事量よりも“減る“ということはないだろう。


「ご主人様、大丈夫……ですか?」

俺のあまりの硬直具合にヴィオラが心配する。


「あ、あぁ、大丈夫だ。問題ない。」

まあ、どんな仕事でも精一杯やるつもりだ。だが……きついものはきつい。


「私も精一杯の補佐をさせていただきますので。」

「ありがとな。」

まあ、ヴィオラがいればなんとかなるだろう。さっきも言ったが、グルンレイドのメイドは最高の人材だ。それがローズとなればなおさら。


「ま、なんとかなるだろ。」

メイド長は慈悲などないが、ボスは慈悲を持って俺に接してくれる。きっとなんとかなる。そう自分に思い込ませた。

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