天界編:その後1
私が守護するはずの天界の門はいったん考えなくていいとイザベラ様に言われた。だから今は誰も守護していない状態だ。私はグルンレイドのメイドたちに続いて魔界の門へと移動することになった。
人間界に行き魔界の門までへたどりつくと、そこにはビクトリア様がいた。
「マーク!無事か!」
すぐにマーク様に駆け寄っていく姿は、少しかわいいと思ってしまう。
「……マーク、貴様、なんじゃその力は。」
「それは後で話す。」
さすが元魔王、すぐにマーク様の変化に気づいたようだ。
「ヴィオラもその目、変わったの。」
「それも後で話すから。」
そういってビクトリア様も加え、魔王城に向かう。
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久しぶりの魔界だが、この瘴気は霊族である私にとってはかなり辛いものだと改めて思う。私は瘴気や魔力などの影響をより強く受けてしまうからだ。今はメアリーに特別な魔法障壁を張ってもらっている。
「お待ちしておりました魔王様。」
魔王城についた時にマーク様に向かって魔族がそういう。
「だからそういうのはやめてくれ、カタルスさん。」
マーク様がそう答える。この魔族はとても親しげだが、他の魔物たちはまだ私達を警戒しているようだった。
「カタルスさん、魔物たちは受け入れてくれたか。」
「最初は戸惑っているようだが、若いものを中心に交流を深めているものも出ている。ほれ。」
手のかざされた方を見ていると、アイラとディアナが魔物たちと遊んでいるのが見えた。
「あいつら……。」
「まあいいではないか。遊ぶのも子供の仕事だ。それと、あのような偏見もない広い視野で世界を見ることができる存在は貴重だ。」
いい子供たちではないか。そう付け加える。ただやはりまだ人間と魔物の溝はあるようだ。
「これから一時間後に、真実の間へ集合してください。一時解散します。」
この城にいるすべてのグルンレイドのメイドたちに魔法でメッセージを送っているようだった。
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「コトアル、本日より魔界の門の番人を解任する。」
「ど、どうしてでしょうか!」
慌てた様子でコトアルが返事をする。魔王城へ戻りメイドたちが解散した後、私とコトアルはご主人様の元へと呼ばれた。
「コトアル、お前はもう半永久の命ではなくなった。」
「……そう、ですね。」
確かにもうコトアルはただの機械ではなくなったのだ。太陽の光さえあれば、半永久的に活動することができたあの時とは全く違う。
「だが、そう落ち込むことはない。今度はその力を、お前に命を与えた存在のために使うのだ。」
「それは……」
「マークに仕えろ。」
コトアルが驚いた表情を見せ、少し考えた末に答える。
「よ、よろしいのでしょうか。私はこの力を授けていただいた方のために使いたいと考えていたというのも、事実です。」
やはりご主人様はすごい。コトアルの考えを最も簡単に読み解いてしまっている。
「無論だ。」
「ありがとうございます。私の全力をもってマーク様……ご主人様を支えます。」
再び頭を下げた。
「そしてマークだが……」
ニヤリとご主人様は笑みを浮かべた。
「魔王であり、神である存在など、この世に存在しないだろう。実に面白い。マークにはこれから多くのことをやってもらうことになりそうだ。グルンレイドと聖族の橋渡しなどをな。」
「それは素晴らしい考えかと。」
マーク様も大変ね……。まあそれだけの実力があり、周囲からも認められているということだろう。体に気をつけて、頑張っていただこう。まあ私は体を持ったことがないから、そこらへんはよくわからないけれど。




