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極悪辺境伯の華麗なるメイドRe  作者: かしわしろ
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リア・ローズ4

早朝に山のふもとを出発したため、頂上に差し掛かろうとしたときにはまだお昼頃だった。夜ではないため、比較的周囲に漂う魔力の量も少ないものだったが、確実に濃くなってきている。なぜ濃くなるのだろうと考え始めた時に、けたたましい鳴き声が聞こえた。


「みろ、グリフォンが飛んでる。」

ユウトさんが上を見上げる。木々の間から大空を飛んでいる姿が確認できた。


「今は森の中だからばれていないが、頂上には木がないからな。」

ということは頂上付近ではほぼ確実に見つかり襲われてしまうということだ。


「リアちゃん、今のうちにおひるごはん食べちゃいましょう?」

「はい、そうですね。」

そういってエミナさんはカバンからパンを取り出し、渡してくれる。


「い、いえ、私は自分の食糧がありますから。」

「いいのいいの。」

すごく進めてくるので、ありがたくいただくことにした。


「んっ、あまい……です。」

渡されたパンを食べる。グルンレイドでも良質なパンは出てくるが、甘い味付けがされたパンは初めてかもしれない。


「これはね、メロンパンっていうのよ!」

「メロン……ではないような気がしますが。」

それは私もわからないなぁ。といってエミナさんもパンをかじる。でもこのような良質なパンはグルンレイド以外では一体どこに売っているのだろうか。


「ん?どうしたの不思議そうにパンを眺めて。」

「えっと……このパンは一体どこで入手したのかなと思いまして……」

「それはね、実は私の手作りなのです!」

そういって自慢げに胸をはる。


「す、すごいですね!」

「遠慮いらないから、いっぱい食べてね!」

このようなおいしいパンを作ることができるということはかなりお金の持った平民出身なのかもしれない。もしくは貴族……であれば冒険者はやっていないか。


「グルンレイド領でつくられるものって、どれもすごいものばかりじゃない?」

「そう……なのですか?」

「そうよ!石鹸とかこっちに来てから使えると思ってなかったから、ほんとにうれしいの!」

私はいつも食べている食事や、お風呂の時に使用する石鹸なども『あたりまえ』のこととして使っているので、あまり考えたことはなかった。エミナさんはそう言いながらカバンから石鹸を取り出す。いつものいいにおいがする。


「おい、もうそろそろ開けた場所に出るぞ。」

ユウトさんの掛け声により私たちは警戒態勢に入る。グリフォンにも瘴気を使えば楽だと思うかもしれないが、私の瘴気は魔物が発しているものと同じなので、魔物や魔族相手には特に意味がない。


「ここは馬車を降りずに一気に駆け抜けるべきだな。」

「私が外に出ます。」

そういって、私は馬車を操縦しているところから荷台の上にのぼろうとする。


「まって!」

そういってハルさんから治癒空間が展開される。


「私たちも言ったほうがいい?……いや、やめたほうがいいかもね。」

足手まといになっちゃうかな?と付け加える。


「あ、あの……」

「ちょっとハルちゃん、困らせないの!」

ハルさんがエミナさんに怒られる。


「い、いえ問題ありません。」

そういって私は馬車の荷台に上がる。正直この状況では一人のほうがやりやすいというのは事実だ。ただ、私の治癒空間のほうが高密度で回復量も多いのだが、初めて他人からかけてもらった治癒空間は少し温かかった。


ひらけた場所に出ると、やはり予想したとおりにグリフォンが上空から襲ってくる。こちらをめがけて滑空してくるその速度は、音速を超えているようだった。


「華流・剪定」

私はグリフォンのくちばしをめがけて剣をふるう。その剣がグリフォンに触れた瞬間、すべてのエネルギーが消失する。不安定になったグリフォンの体はそのまま地面に落ちていく。


「バニッシュルーム」

次に空全体に魔力密度を拡散させる魔法陣を展開させる。魔物にとって魔力は力の源であり、それが拡散されるということは魔物は力が失われていくということである。この魔法陣の中では私の瘴気も弱まるので、普段は常にこの魔法を展開しながら生活をしている。


魔法陣の上を飛んでいたグリフォンが次々と地面に落ちていく。ちなみに魔力拡散率は五百分の一である。


この魔法のおかげでグリフォンやほかの魔物に襲われることなく、そのまま馬車は進んでいった。


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