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追放殿下は隣国で、セカンドライフをおくります! 〜良い人過ぎてセルフ追放。だけど良い人だったので、ケモミミもふっ子と楽しく暮らす〜  作者: 野菜ばたけ
 第三節:さぁ冒険に出てみよう

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第44話 諦めが場を好転させる事もある!


 

 見ればクイナは涙目だ、よほど『腹痛』が嫌らしい。

 が、草そのものをそこまで怖がる必要も無い。


「別に食べなきゃ下さないし、ちゃんと分量を守れば薬にもなるやつだから大丈夫」

「大丈夫?」

「うん、大丈夫」


 まだ不安げに見上げてくるクイナにそう言いながら、俺はクイナがポイした草を拾う。



 実際、そんなにヤバい物でもない。


 簡単に言えば、この草はお通じを良くするための薬の原料になるものだ。

 もし今持っている草一株を全て食べてしまったら、当分はトイレに籠る事になっちゃうだろう。

 だけど、言ってしまえばそれだけだ。

 一応は劇薬の類じゃない。


「クエストとは関係ないけどもう一度摘んじゃったことだし、持って帰ったらギルドが買い取ってくれるかもしれないから一応持って帰ってみよう」


 置いたままにしておいてもどうせ萎れて枯れるだけだ。

 ならば持って帰って使ってくれそうな人を探した方が、多分この間違えて摘まれちゃった草の為だ。


 そう言うと、クイナがコテンッと首をかしげて聞いてくる。


「それも採る……の?」

「……いや、間違っちゃったやつは持って帰るけど、それ以外は要らないぞ。そんな事してたらキリ無いし」


 分かったな?

 俺がそう念を押すと、彼女は「うん、分かったのーっ!」と言った後、またいそいそと採取を続けた。





「――で、結局クエスト分を全部採り終わったところで間違って採ったのは5つか」


 俺がそう呟くと、クイナはシュンとして「ごめんなさい、なの」と呟いた。


 別に怒っても、苦言を呈するつもりもなかったから「気にするな」と言って笑う。


「そんなに落ち込むなよな? 慣れればじきに間違えなくなるって」


 そう言いながら、頭を優しくナデナデしてやる。



 それにこの僅かな間にクイナはちゃんと成長している。

 その証拠に最後の方は、採った後ではあったものの自分でちゃんと間違いにも気が付いていた。

 多分あと2回分でも依頼を熟せば、じきに「採る前に気付く」事も出来る様になるだろう。


「よし。じゃぁソレは、ちゃんとカバンの中にしまっとけー。で、次はクイナもお待ちかね『スライム退治』をやってみるぞー!」

「わーい、なの!!」


 よし、この勢いでもう一つのクエストもテキパキ片付けてしまおうじゃないか。




 という訳で、次はスライム退治な訳だが……。


「それにしてもどこに居るんだろ」

 

 思わずそう、呟いた。



 というのも薬草採取中には結局、一度もスライムに遭遇しなかった。


 というか、何にも遭遇しなかった。

 つまり薬草採集は、ただの平和な薬草広いの散策だったという訳だ。 


「アルドー?」

「ん?」


 呼ばれて見れば、ちょっと心配そうなクイナが居る。

 おそらくちょっと困った俺の呟きに、何か漠然とした不安を抱かせてしまったんだろう。

 

 ぶっちゃけ言って「どうしたもんか」と思ってはいる。

 過去に騎士団たちと魔物討伐の遠征部隊に同行した事もあり、大抵の魔物や獣に関する生息地や能力・弱点などの知識はそれなりにあるつもりだ。

 だけど流石にスライムともなると、情報収集をする必要性を今までずっと感じていなかった。


(弱すぎて調べるまでも無い相手だと思ってたからなぁー。今回も、なんか漠然と「その辺に居るだろ」って思ってた……)


 つまりある意味侮っていたというだけの話なんだけど、クイナがスライム討伐を楽しみにしてる。

 流石に「見つからないから」と早々に帰るのも、ちょっと悔しいしカッコ悪い。


 と、思った時だ。


「ねぇアルド。お散歩、楽しいのー!」


 俺を見上げてニヒッと笑った彼女に俺の張っていた見栄が跡形も無く溶け落ちた。



 そもそも無期限の依頼なんだから、今日依頼を終わらせる必要はない。

 ギルドで詳しく話を聞いてからまた来た方が、どう考えても効率が良いしクイナも疲れないだろう。

 つまり俺のコレは自分本位の独りよがりだった訳だ。


「……なぁクイナ」


 心の中で「馬鹿だなぁ俺」と思いながらそう言えば、彼女が「何ー?」と言いながら俺と繋いでる手をブンブンと振り回す。


 楽しそうだ。

 もうそれだけで良いような気分になった。


「初めての森だ。ちょっと散歩して帰ろう。もしそのついでにスライムを見つけたら、その時はコテンパンだ」

「コテンパンっ!」


 俺がそんな宣言をすると、一体何が彼女のテンションをそんなにも上げたのか。

 嬉しそうにピョンッと飛び跳ねたクイナは、まるで掛け声の様に言葉を返す。


 しかしそうして吹っ切って、2人愉しく散歩に興じようと思ったところで。


 プヨヨンッ。

 プヨヨンッ。


「あ」


 探し物は、いとも簡単に見つかった。



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<追放殿下は隣国で、セカンドライフを決意した。
 〜モフっ子と2人でまったりと『長年の願い』を叶えていきます!〜>




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