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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

命をたつ

作者: 櫻猫

あぁもう疲れた もう終わりにしよう

私がいなくてもここは回る 私1人がいなくなったところで

困る人は居ない 居たとしても少ない

疲れたしいつ死ぬかは決めてもいいでしょ

私のことなんだし もう何もかもめんどくさい

もう細かいことを考えるのはやめてしまおう 意味無いし

もう離れよう もう命を絶とう


そうして私は椅子を蹴飛ばし縄に体重をかけた

縄がギュギュギュと音を出し私の首を押しのけてくる

縄に擦れる首が痛い気管が狭く空気が通りにくくなる

苦しいけどこれからの事の方が楽しみで苦痛に感じない

もうすぐ終われるしもうあんな事もしなくていい

もう何もかもが終わる

胸から何かが込み上げてくる 感動かな

自然と口角が上がってくる

視界が滲んでいる もう限界に近づいているのを感じる

ありがとう さよ なら

手が縄から離れ操り人形の操っていた糸が切れるように下に垂れ下がり ブランコのように身体が揺れた



間に合わなかった どうしてもっと早く行けなかったのか

どうしてもっと早く気づかなかったのか

彼女はもう命を断ってしまった

今まで必死に保っていた糸がプツンと切れるように

でも もう何言っても変わらない

ここにある冷たいものが鼓動を打ち始めることは

もうないのだから もう過ぎてしまったことを変えることは出来ないのだから

冷たい頬を手で包むやはり温かくなることはなく

逆に自分の手も冷たくなっていく

自分の口から漏れたため息が白い物へ変わっていく

お疲れ様 そう呟いた声は誰にも届かなかった



そうだ

彼女がもう居ないのならば私もここにいる意味はない まだあの縄は使える 丈夫だから乗っても切れることは無い彼女と同じ死に方をしよう もしかしたらあの世でまた会えるかもしれない彼女への贖罪として私への罰としてどうせ私もこの世界への執着はないしどうせいつか死ぬそれが早まるだけだ

少し心に希望という光が生まれた気がした


椅子を立てなおすその音が部屋に響く

少しグラグラする椅子に縄を掴みながら乗り

縄を短くして首を通す

あぁ彼女もこんな風にのったのかな

窓から光が差し込み彼女をうつした

「朝か ───── 」

固い音が部屋に響き椅子が転がった

今そちらに向かうよ 必死に追いかけるから

まってて

縄の締まっていく音が先程と同じように鳴り

彼女の身体も最初の女のように冷たくなっていった


どちらの死体の涙はうかんでいなかった



それどころか




どちらも微笑んでいたのだ

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