皐月の23日
空から降りる
光の塊を
木々の葉が爽々と
動かし
エメラルドグリーンのカケラを
創り上げる
チロチロと
君の白い顔に降り注ぐ
空から降りる
エメラルドグリーンの
カケラ達を 目を細め
眩く 見上げる君
白い顔に
踊るエメラルドグリーンのカケラ達
爽々と 風が動く
きららに ひかり踊る
今日はなんの日か知ってる
横に並んで歩く 並木通り
問いかける
知らない
答えた君
フフフ そう……、
無垢なる君清らかなる君
フフフ まだ……、
少女と乙女の狭間を生きる君
マンション、隣の部屋
幼稚園から、ずっと隣
6、3、3で12年、一緒
春。地元大学はリモート
君。勿論一緒に進学した
イイコト教えてあげる
「ヨシくんは物知り博士だから、なに?」
疑うことが無い 僕の君はあどけない
頭ひとつ下に君の顔
並んで歩くリズムを落とすと止まる
立ち止まる僕と君
爽々と風が二人を包む
爽々と心が僕を動かす
「どうしたの?」
天使の声
僕の中で悪魔が囁く、ヤレと
心のままに動くとは心地よい
「あ!動かないで!」
「え?何?」
「上からかな、小さい虫が前髪に」
「ええ!ウソウソ、取って!」
首をすくめ手目を閉じた天使は疑う事は無い
じっとしててね
僕は肩に手を置く。じっとしている天使
目を閉じた清らかなる君に近づく僕の顔
柔らかく重ねた後で、驚いた君にこう言うんだ
「今日は『キスの日』なんだよ」