(^ω^)【家賃】のようです
ピンポーン!
('A`)「集金でーす」
('A`)「……」
('A`)「集金でーす」
('A`)「っかしいな。今日家賃回収するって言ったのに」
(^ω^)「あれ、大家さん。俺の部屋の前で何やってんスか?」
('A`)「あ、良かった。家賃ですよ。家賃」
('A`)「アナタ3ヶ月も家賃滞納してるでしょ」
(^ω^)「あれ?そうでしたっけ?」
('A`)「『そうでしたっけ?』じゃないですよ。払ってもらわないと困ります」
('A`)「とりあえずは1ヶ月分でも十分ですので……」
('A`)「っていうか、電話でもいいましたよね?」
(^ω^)「あれ?そうでしたっけ?」
('A`)「耳付いてます?」
(^ω^)「でも、俺今お金ないし……」
('A`)「へぇ~お金ないんですか」
(^ω^)「はい。だから後1か月待ってもらえないスか?」
('A`)「じゃあ、何しに外出されてたんですか?」
(^ω^)「礼拝です」
('A`)「……礼拝?」
(^ω^)「はい。最高神ビムベト様へ感謝と幸福を祈るのです」
(^ω^)「礼拝は一日一回。太陽光を受けながら行う必要があります」
(^ω^)「また同時に、アラト聖歌を捧げると共にラッパを吹き上げます」
(^ω^)「その為、近所迷惑にならぬよう公園で礼拝していたのですよ」
(^ω^)「それで、なんでしょうか?」
('A`)「すいません。一つも理解できなかったんですが」
(^ω^)「でしょうね。聖典を読んでいない者に理解など出来るはずがない」
(^ω^)「こちらが聖典です。ぜひお読みになって下さい」
('A`)「結構です」
(^ω^)「なんですって?これ一冊6万円の価値があるんですよ?」
('A`)「高っ!無駄に高い!」
(^ω^)「あ、コレを家賃の代わりにしてもいいですよ」
('A`)「ケツ拭く紙にもなりゃしねぇよ」
(^ω^)「再生紙100%で肌に優しいですよ?」
('A`)「だからなんだよ」
(^ω^)「トイレットペーパーが品薄でも、これがあれば安心!」
('A`)「お前、聖典をうんこで汚されて平気なのか?」
(^ω^)「は?聖なる紙が汚れるわけねぇべ。何回も使えて経済的だべ?」
('A`)「狂ってんのか」
(^ω^)「狂ってんのはこの世界だよ」
('A`)「まさかそんな返事がくるとは……」
('A`)「っていうか!そんな事はいいから家賃を!」
(^ω^)「だからお金が無いって」
( ・∀・)「あ、すいません。いいですか?」
('A`)「ん?あれ、どちら様でしょうか?」
(^ω^)「これはこれは、先生じゃないですか!」
('A`)「先生……と言うと?」
(^ω^)「聖常教の先生ですお」
( ・∀・)「私、こちらの石井地区を担当しております」
('A`)「あ……へぇ……それで、今日は何を?」
( ・∀・)「今月分の会費の徴収に参りました」
('A`)「会費?」
(^ω^)「一般人には『勉強代』とでも言いましょうか」
(^ω^)「すいません。こちら今月分になります」
( ・∀・)「ひーふーみー……確かに頂きました」
( ・∀・)「それでは、汝にビムベトの祝福があらんことを」
(^ω^)「アヴェ・アラーム」
('A`)「ちょっとちょっと!待って下さい!」
( ・∀・)「なんでしょうか?」
(^ω^)「大家さんも聖常教に興味を?」
('A`)「いや、会費なんて払う余裕あったら家賃を払って下さいよ」
(^ω^)「は?」
( ・∀・)「何故?」
('A`)「なんで、俺がおかしいみたいになってんだよ」
(^ω^)「いや、だって……」
( ・∀・)「ねぇ?」
('A`)「いや、分かんねぇよ。払えよ」
(^ω^)「家賃ごとき『勉強代』に比べれば、無価値に等しいですぞ」
('A`)「じゃあ払えよ」
( ・∀・)「払う価値などないということですよ」
('A`)「じゃあ退去だ退去。出ていけ」
(^ω^)「嫌ですぞ」
( ・∀・)「信者にそんな事をしてみろ、今に神罰を受けることになるぞ」
('A`)「へぇ。それは怖い。どのような罰ですか?」
( ・∀・)「トイレットペーパーが破けやすくなる」
('A`)「絶妙にウザい」
(^ω^)「しかしそんな罰も、この聖典があれば安心!」
( ・∀・)「我々の聖典は非常に破けにくい素材で出来ています!」
(^ω^)「さらにお尻にも優しい、柔らか素材!!」
( ・∀・)「今なら一冊6万円のところ、3万円と5割引!」
('A`)「お前らの方が罰当たりじゃねぇか!」
(^ω^)「信徒だから罰は当たらないのですぞ!」
( ・∀・)「信じる者以外は人間ではないからな、しょうがない」
('A`)「信者ロジック恐ろしすぎる」
(^ω^)「そういう訳で家賃は払いませんので」
('A`)「どういう訳だ。耳揃えて払ってもらうぞ?」
(^ω^)「……大家さんも分からないお人だ」
( ・∀・)「仕方がないですね。では、こういうのはどうでしょう?」
( ・∀・)「大家さんが我々聖常教に入信すればいいんですよ」
('A`)「どういうこったよ」
( ・∀・)「それで、入会費と月々の会費で相殺しましょう」
(^ω^)「さすが先生、あったま良いーーーー!」
( ・∀・)「ちなみに入会費10万円・会費月5万円です」
('A`)「馬鹿。お前、馬鹿、馬鹿か。おい馬鹿!」
(^ω^)「今入信なら、なんと聖典付き!」
( ・∀・)「しかも10冊!」
('A`)「聖典がどこまでも無価値だなおい」
(^ω^)「で、入るの?入らないの?」
( ・∀・)「早く決めてほしいんですけど?」
('A`)「俺が入りたいと言ったか?一度でも」
(^ω^)「ではこの話は無かったということで」
( ・∀・)「それではまた」
('A`)「待て待て!家賃払えや家賃!」
( ・∀・)「喝っ!!」
('A`)「なっ?なんだ?」
( ・∀・)「祓いましたよ。あなたに憑いていた悪魔を」
('A`)「は?」
(^ω^)「仔羊から金銭をせしめんとする欲深き悪魔だ」
( ・∀・)「もう安心です」
('A`)「あ?いや、そんなん良いから。家賃」
(^ω^)「先生のご祈祷は1回10万円もするんですよ!?」
( ・∀・)「これで家賃と相殺なさい」
('A`)「お前の祈祷、聖典より価値あんのか」
('A`)「つーかそれでも足りないんだが」
( ・∀・)「え?」
(^ω^)「え?」
( ・∀・)「いや、1か月分くらいにはなるでしょう?」
('A`)「ここの家賃月20万なんで、その半分にしかならねぇよ」
(^ω^)「は?なんでそんな高いんだよ!ボッタクリだ!」
('A`)「お前都心のタワマンに住んでよくそんな事言えるな」
( ・∀・)「月20万なんて!私の月収より高いじゃないですか!」
('A`)「ご苦労さまです」
( ・∀・)「おい!どういう事だ!?つーかなんで家賃知らねぇんだよ!」
(^ω^)「半年前、親に1000万円渡されて家を追い出されたんス」
(^ω^)「ま、その金で適当な所にってね」
( ・∀・)「なんだって!?」
('A`)「まぁ、理由はどうでもいいけど。家賃さえ払ってくれれば」
(^ω^)「だからもう金が無いんだって!」
(^ω^)「使い切っちゃったし!」
(^ω^)「実家の電話も通じない!」
( ・∀・)「……」
('A`)「働けば?」
(^ω^)「嫌だ!」
(^ω^)「先生!お救い下さい!この哀れな仔羊を!」
( ・∀・)「……破門だ」
(^ω^)「へ?」
( ・∀・)「破門だぁ!このクソ野郎がぁ!」
(^ω^)「あ!先生!どうしたんだお?いきなり逃げて!?」
(^ω^)「……どうしたんスかね?」
('A`)「金の切れ目が縁の切れ目って奴だな。多分」
(^ω^)「つーか破門ってなんスかね?」
('A`)「教団から追放されるってことだよ」
(^ω^)「え?マジ?どうすんスかそれ」
('A`)「知らねーよ」
(^ω^)「うわー……まじか。大家さんも気をつけてくださいね」
(^ω^)「それじゃ!」
('A`)「おい。家賃。この際払わなきゃ部屋には入れさせんぞ」
(^ω^)「これがホントの門前払いってね」
('A`)「もうええわ」