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勇者の師匠は遊び人っ!?  作者: 笠井 裕二
遊び人と勇者の出会い編
20/62

新たなるパーティーメンバー

続きです。



◇◆◇



結論から言うと、ネーファ・シャルロワは所謂【ショタコン】であった。

いや、より正確に言うならば、【ショタコン】()()()()、が正解なのであるが。

つまり彼女は、可愛い男の子や女の子が大好きなのであった。


しかし、【変態淑女】である彼女は、【異界文書】にも記された


ーYES!ショタNO!タッチ(YES!ロリータNO!タッチ)ー


の“教え”を遵守しており、今日に至るまで、彼、あるいは彼女達に手を出した事はない!・・・筈だ、多分、きっと、メイビー。


だが、そんな彼女の趣味・嗜好は、【エルフ族】の社会では受け入れられなかった(いや、まぁ、普通どの社会でもアウトなのだが)。

なんせ、以前にも述べた通り、【エルフ族】の【成長スピード】は【人間族】に比べて遅い。

つまり、ネーファの()()()()()を、より長い期間愛でる事が可能だったのだ。

端から見ている分には、子供達の面倒見の良い、子供達からも慕われている心優しい女性、と映るだろうが、その内情を知っている者達からしたら、「その内子供達に悪影響を与えるのではないだろうか・・・?」、「いつかまずい事態になるのではないだろうか・・・?」、と危ぶまれたとしても、それは仕方のない事であろう。

その結果、ネーファは【エルフ族】の長老達から半ば追い出される形で、【エルフ族】の社会から()()()事となったのである。

その会話の一部始終は、以下の通りである。


(ちなみに、【異界文書】と言うのは、ハヤトの仲間であり【魔神戦争】の【英雄】と呼ばれた者の一人が執筆した【文書】である。

彼は、少々()()()趣味・嗜好をしており、この世界(エンドゲイト)の子供達が置かれている現状を常々憂いていた。

「子供達は全人類の宝であるっ!」と豪語していた彼は、ある時この傍迷惑な【文書】の作成を思い立ち、この世界(エンドゲイト)に普及させ、それによってこの世界(エンドゲイト)の住人達に“意識改革”をもたらそうと画策したのである。

もちろん、彼の趣味・嗜好を知り尽くしていた彼の仲間達が全力でその企みを妨害しようとしたのだが、流石に完全には防げずに、今現在もこの世界(エンドゲイト)にその【異界文書】は細々と出回っていた。

これによって、また新たな【()()()】を続々と増やしているのである。

あたかも、強力な【魔道書】の(たぐい)の様に、その【異界文書】は厄介な代物なのであった。)



・・・



「ネーファよ。その、お前の趣味を直すつもりはないかのぅ・・・?いや、お前が()()()はしないと儂らは信じておる。信じておるんじゃが・・・。」

「何を仰います、長老。子供は【種族】全体の宝ですよ?それを慈しみ、育てる事は素晴らしい事ではありませんかっ!(キリッ)」


腹が立つくらい()()()でそう言い放つネーファに、長老の一人は頭を抱えたのだが、また別の長老が根気強く諭した。


「いや、言ってる事は正論じゃし、素晴らしい事なのじゃが、子供っつーのは、“感受性”が豊かじゃし、元より【エルフ族】は、色々【他種族】からも()()()()【立場】じゃしのぅ。」

「その通りですっ!子供達が()()()()事は看過出来ない事態でしょうっ!?私が四六時中お守りせねばっ!!!(フンスッ)」

「いやいや、それは親御さんの役割じゃろう・・・。それに、嫌な話、そうした事にもある程度慣れていかねばならん。【エルフ族(自分達)】の置かれている状況を自覚して、いずれは自分で自分の身を守らねばならんのだからのぅ。」

「お前の、その、愛情(?)、は素晴らしいのじゃが、時としてそれは、子供達の成長を阻害する可能性もあるのじゃ。お前とて、一生子供達を()()()()()()訳ではあるまい?」

「うっ・・・。」


正論を言われて言葉に詰まるネーファ。

それはそうだ。

愛情(?)を注ぐ事と、過保護になる事はイコールではない。

時に成長の為には、子供達自身で数々の問題に立ち向かっていかねばならない時もある。

生憎、ネーファの存在は、子供達の()()()()()の邪魔者でしかなかった。


「な、ならば、私が子供達の【教育係】を担当しましょうっ!これでも、それなりに腕が立つ事は自負しておりますし、生活する上でも様々な知識は重要ですよねっ!!ねっ、ねっ!?」


しかし、なおも食い下がるネーファ。

若干必死過ぎて、長老達も軽く引いていた。


「た、確かに、お前の知識や腕や“魔法技術”は儂らも認めるところなんじゃが・・・。(どうしよう、この()?儂らの言わんとする事が全く伝わっておらんのじゃが・・・。)」

「(・・・任せておけ。【他種族】の者達には悪いが、これも【エルフ族】を守る為じゃっ・・・!)・・・ところで話は変わるのじゃが、世の中には【エルフ族】だけじゃなく、様々な【種族】の【奴隷】が存在するそうだのぅ~。」

「はっ・・・?突然、どうされたのですか??」


遠回しにネーファと子供達を引き離そうと画策した長老達だったが、ネーファにはその意図が全く伝わらなかった。

それ故、瞬時に視線で会話を交わした長老達の一人は、そう話題を変えた。

それに訝しげな表情をしたネーファだったが、次の言葉を聞いて表情を一変させた。


「しかも、中には子供を売買する悪党共も存在するとか。儂ら【エルフ族】には理解出来んのじゃが、自分の子供を売る親もいるのだそうじゃ。」

「なっ、なんですってっ!!!???」


激しい憤りを滲ませたネーファ。

これは、【エルフ族】の“常識”から言えば、考えられない愚行であるからだ。


と、言うのも、【エルフ族】の種族的特性として、【エルフ族】は【他種族】に比べて非常に【出生率】が低かった。

これは、明確な理由は明らかとなっていなかったが、一説には【エルフ族】が長命な【種族】である事が関係しているとか。

まぁ、それはともかく、その結果、【エルフ族】は生まれてくる子供達を【種族】全体で大切にする様になり、そうした事も手伝って、仲間意識も非常に強いのである(その行き過ぎた結果がネーファの様な存在なのであるが)。

それ故、生活に困窮した挙げ句、仕方なしに子供を売る、と言う者達の考え方には理解が及ばないのである。

【エルフ族】であれば、仮に何らかの理由で親が働けなくなったとしても、あるいは親を亡くしたとしても、仲間達が一致団結して助け合うからである。

まぁ、そこら辺は、【種族】や社会の背景の違いも存在するのであろうが。


「それでなくとも、“外”の世界の子供達の現状は厳しいモノな様じゃのぅ~。【エルフ族(儂ら)】とは根本的に考え方が違うのじゃから、それは致し方のない事なのじゃろうが・・・。」

「ぐぬぬぬぬぅっ~~~!!!」


子供達が健全に、健やかに育つ様子を愛でるのが好きネーファにとっては、それは看過出来ない事であった。

しかし、【エルフ族】の子供達を愛でる、もとい、見守る事も大切である。

そんな葛藤を見透かしてか、長老の一人は決定的な一言を放った。


「誰か、そうした哀れな子供達を救える者はおらんのかのぅ~。腕が立って、頭が回って、子供達に愛情(?)を持って接する事が出来る、そんな者がのぅ~。」

「っ!!!???」

「それに、子供は純真無垢じゃから、【他種族】に対する差別意識を低いじゃろうし、そうして救った者達が、いつか、【種族】の壁を乗り越えて、子供同士が“仲良く”遊べる様な“未来”が来るといいのじゃがのぅ~。」

「っ!!!」(*´ω`*)


色んな【種族】の子供達が“仲良く”遊ぶっ!?

それは、まさしくネーファに取っては、【理想郷】の様な情景であった。

それを想像して、若干危ない感じに息を乱したネーファに、長老達もドン引きだった。


「お、お任せ下さいっ!!!その【役目】、このネーファ・シャルロワが見事果たして御覧に入れましょうっ!!!」

「お、おおっ、そうか、そうかっ!!!【魔神戦争(例の件)】から【エルフ族(儂ら)】も【他種族】との交流が途絶えぎみであったからのぅ。とは言え、引き込もってばかりいても、【他種族】との【溝】は深まるばかりじゃ。誰かがせねばならぬ【役目】じゃと思っておったが、そうか、お前が引き受けてくれるかっ!!!」

「はいっ!!!大船に乗ったつもりでどうか御安心下さいっ!!!」

「うむうむ。それでは頼んだぞっ!!!」

「ハッ!!!」


上機嫌で頷くネーファに、長老達は「計画通り・・・!!!」的な顔をしたとかしないとか。

まぁ、長老達も【他種族】の者達には多少申し訳ない気持ちもあったのだが、ネーファも()()()はしないだろうと考えていた。

・・・しないよね?(´・ω・`)?



・・・



と、言う様な経緯があって、ネーファは“外”に旅立つ事となり、【冒険者】をしながら、不幸な子供達を守り助ける活動を開始したのであった。

【カザの森】の一件も、その“新人(子供)”【冒険者】を救うべく引き受けたのであった。

まぁ、その気持ちが空回った挙げ句、失態を演じる羽目になったのであるが。


ちなみに、ネーファの一番の()()()()()と言うのが、ちょうど第二次性徴(成長期)ぐらいの年頃であった。

この世界(エンドゲイト)の住人達は、総じて肉体的にも精神的にも早熟傾向にあるので、この世界(エンドゲイト)では【冒険者】登録が13歳から可能であるし、エンヴァリオン王国(この国)では15歳で成人として認められている。

とは言え、“()()【冒険者】はまだまだ子供っぽい感じが抜けきっておらず、ネーファが「守護(まも)らねばっ!!!(使命感)」を感じたとしても無理はない、かもしれない。

しかし、残念ながら、【人間族】換算で言うところの、15歳(成人)以降は彼女の【()()()()()()()()】ではなかった、とネーファも思っていたのだが・・・。



「(世の中は広い・・・。私はまだまだ「井の中の蛙」だったのだっ!まさか、【エルフ族】の他にも、【ゴーホウショタ】がいるなんてっ!?)」


()()”【冒険者】に囲まれつつも、チラチラとトモキを見やりながら、ネーファはそうトモキ(本人)が聞いたら嘆き悲しみそうな事を考えていた。


生憎、エンヴァリオン王国(この国)の周辺には、トモキの様な東洋系の顔立ちの人種は珍しかったのである。

トモキ(本人)も言及している様に、実年齢よりも若く見られる傾向にある東洋系の顔立ちの中でも、トモキはやや童顔が入っており、言うなれば“王道系少年イケメン”なのであった。

期せずして、彼の容姿は、【エンヴァリオン魔道士部隊】の女性達にも受けが良かったが、一部の()()()お姉様達にも、クリティカルヒットするモノだったのであるーーー。



◇◆◇



何だか、先程からチラチラと視線を感じるのだが・・・。

・・・ハッ!?

ま、まさかっ・・・!?

ネーファさんは、この()()に御執心なのではないだろうかっ!?

俺は、隣を歩いていた“()()【冒険者】の少年を見やる。

俺がこちらの世界(エンドゲイト)で出会ってきた人達は、総じてイケメンや美女・美少女が多かった。

いや、東洋人である俺から見たら、西洋系の顔立ちが、何だかカッコいい感じに見えるだけかもしれんが。

実際、ネーファさんと共に歩いている少年達も、俺から見たらカッコ可愛かった。

将来は、きっといい男に成長するに違いない。


しかし、その中にあって、俺の隣を歩く少年は別格であった。

言うなれば、“映画スター”の如く中性的な魅力を備え、かつ、何処か男らしさも内包し、万人が万人“美少年”と評するだろう容姿をしている。

一部強力なコア層の琴線に触れたとしても不思議はない。

実際、彼にも()()()()()()があるのか、ややネーファさんから距離を置いて俺の隣におるわけだし。

う~む。

“美少年”は“美少年”で、案外苦労してるのかもしれんなぁ~。(TДT)


「・・・大丈夫だぞ、少年よ。俺が着いているっ!!!」

「へっ・・・?突然どうしたの、兄ちゃん?」

「皆まで言うな。分かってる、分かってるとも・・・!」

「???」


守護(まも)らねばっ!!!(勘違い)」と考えていた俺は、疑問符を乱立させる少年と共に、【カザの集落】に到達したのであったーーー。



・・・



生憎、【カザの集落】には、【冒険者ギルド】は存在しなかった。

流石に【冒険者ギルド】の職員数の問題もあってか、ある程度の規模の人口がいる場所でないと、人員を割けないと言うのが実際のところなのだろう。

その代わり、こうした小さな【集落】にも、【治安維持】をその【任務】としている国から派遣された【憲兵】さんの姿を見掛ける事は出来た。


【組織】としては、全く別物ではあるものの、エンヴァリオン王国(この国)の【治安当局】(【騎士団】や【魔道士部隊】、【憲兵】)と【冒険者ギルド】は“協力関係”を結んでいる。

まぁ、【治安当局】は市民や国民の安全を守るのが主な【任務】であるが、【冒険者】達も、己の生活の為とは言え、【治安当局(彼ら)】の中々手の届かない所を請け負ってくれている(例えば、“外”の世界の脅威である【魔獣】や【モンスター】、【盗賊団】などの対処)関係で、お互い“住み分け”がしっかり出来ているのである。

故に、両者の関係は比較的良好であり、その【憲兵】の【駐在所(詰め所)】が、臨時の【冒険者ギルド支部】を兼任する事があるのだそうな。

まぁ、流石に【新規クエスト】の【発注】や【受注】は出来ない様だが。


「・・・と、言う経緯です。」

「ふむ、なるほどね。こんな場所に【盗賊団】がねぇ~。」

「私達は別の【クエスト】で此方を訪れているので、もちろん、後でクヌートの【冒険者ギルド】にも報告しますが、いずれにせよ、少し時間が掛かってしまうと思われます。なので、そちらから【冒険者ギルド】に連絡を入れておいて頂けると有り難いのですが・・・。」

「ああ、了解したよ。任せておいてくれ。それと、そちらの【エルフ族】のお姉さんも、御苦労様。けど、忠告を無視して単独(ソロ)で突っ込むのは感心しないなぁ~。貴女がそれなりの【使い手】だとしても、多勢に無勢だしね。」

「も、申し訳ない。子供達があまりにも心配だったので・・・。」

「だとしてもだよ。“急がば回れ”と言う言葉もある様に、人員の確保と準備はしっかりしておくべきだ。今回はたまたま彼らの助けがあったから事なきを得たが、場合によっては貴女も捕らえられていた可能性がある。そうした場合、更に子供達を危険に晒した可能性すらあるんだ・・・。(くどくど)」

「・・・はい、申し訳ありません。(シュン)」


【カザの集落】の【駐在所】の【憲兵】さん、おそらく30代後半ぐらいのベテランのおじさんに、ネーファさんは説教を受けていた。

まぁ、それも致し方ないだろう。

聞けば、彼女の【特命】は、【カザの森(この森)】で起こっていた“()()”【冒険者】の行方不明の件の事実確認と原因の調査であったそうだ。

もちろん、これは【盗賊団】の()()の確認が取れた訳だが、当然、【盗賊団】討伐と人質の解放までは【任務】に含まれていない。

まぁ、場合によっては、それを強行する必要はあったかもしれないが、いずれにせよ、この【憲兵】さんの言う通り、単独(ソロ)で行う事ではないだろう。

俺もすでに経験しているが、【強さ】()()では足元をすくわれる事があるのが、この世界(エンドゲイト)である。

まぁ、俺の持つ【異能】ならそれすら覆す事が可能かもしれんが、油断は禁物だし、【冒険者】には、時に慎重すぎるほどの慎重さが必要だし、冷静な判断力や思考力は必要不可欠である。

言葉は悪いが、バカには向かない【職業】であると俺は思う。

まぁ、ネーファさんがそうであるとは言わんが。


「まあまあ、アンタ。このお姉さんも反省しているだろうし、何より子供達の前でそれは不味いだろう。」

「おおっ、そうだったな。」

「・・・ホッ。」


そこに助け船をだしたのは、【憲兵】さんの奥様らしき、同じく30代後半ぐらいのおば、ゴホンッ、おねーさんであった。

【憲兵】さんは、向こうの世界(日本)の【警察】に相当する存在なので、システム的にも似通った所があった。

こうした小さな【集落】には、【憲兵】さんも、所謂“通い”ではなく“常駐”する形、【駐在所(詰め所)】の裏の居住区画に住み込んで、その【職務】をまっとうする様である。

もちろん、家族がいれば、一緒に赴任してくる事もあるのだろう。


「悪かったね、アンタ達。子供達はこちらで保護するから安心しな。【冒険者ギルド】にもこっちで連絡しておくからさ。後は“上”の連中の【仕事】だよ。」

「場合によっては、その【盗賊団】の【アジト】を後で捜査する事になるかもしれんが、まぁ、これも“上”の判断次第だがな。その時は、悪いが協力してくれるか?」

「分かりました。」

「はい。」

「了解です。」

「うん。じゃあ、今日の所はこれで話は終わりだ。御苦労様。」

「お疲れ様でした。失礼します。」


そうして、助けた“()()【冒険者】の少年達は【憲兵】さん夫妻に預けて、俺達は御役御免となった。


ネーファさんの証言から、【盗賊団(彼ら)】が、ただの“()()()”の一環として“人拐い”をしていた訳ではなさそうな“疑い”はあったものの、俺達【冒険者】にそれを調べる【権限】もなければ、その“ノウハウ”もない。

それ故、【盗賊団】を壊滅させた以上、ここから先は【治安当局】の管轄である。

まぁ、【重要参考人】たる【盗賊】達は全て“掃除”してしまった訳だから、裏を取る事は難しいかもしれないが、これも致し方のない事であろう。

向こうの世界(日本)でもそうだったが、こうした事はえてして“イタチごっこ”になるモノだ。

小さな【組織】を潰しても、また、別の【組織】が台頭するだけだし、かと言って、【大物】を釣り出して捕らえたとしても、また別の者達がそれに成り代わるだけである。

【犯罪】そのものを根絶しない事には、その“スパイラル”が永遠に続く。

しかし、人間に欲望がある限り、【犯罪行為】がなくなる事はない。

とは言え、それを悲観しても仕方ないし、最終的には、こうして地道にそうした“芽”を摘んでいくしかないのである。


少年達と別れる間際、ネーファさんが非常に名残惜しそうにしていたが、俺達が連れて行けるモノでもないからな。

彼らと【憲兵】さん夫妻に見送られて俺達はその場を後にした。


「しかし、意外だったよ。彼らに“お宝”の一部を分け与えるなんてさ。」

「トモキが私の事をどう見ているのか激しく問い質したい所だけど、まぁ、いいわ。これでも人並みの心はあるつもりよ。彼らもこれから大変でしょうし、まぁ、【御見舞金】代わりって事でね。元々【盗賊団】が溜め込んでいたモノだから、私の懐は傷まないしね。」

「あはははっ・・・。」( ̄▽ ̄;)


ソフィアは、【盗賊団】から回収した“お宝”の一部(本当に極一部であったが、彼ら全員が当分生活に困らない程度ではあった)を彼らに【御見舞金】として持たせていた。

それに意外感を感じていたが、ソフィアもそれなりに優しい所があると俺は思っていた。


「貴女にもお世話になったわね。貴女は【冒険者ギルド】から【特命】を請け負っていた様だからいらないかもしれないけど、これ、取っておきなさい。」

「おぅふっ・・・。」


あれ?

ソフィアさん??

本当にどうしたの???

何か悪い物でも食べた?

俺が内心そう失礼な事を考えていると、ネーファさんはそれを丁重に断った。


「いや、【盗賊団】を壊滅させたのはお二人の功績だ。その【戦利品】の【所有権】はお二人にある。私が受け取る訳にはいかないだろう。」

「そう?別にいらないのなら、私は無理に渡すつもりはないけど。」


そうそう、それでこそ俺達のソフィアさんだよねっ!?

そんな事を考えている事がバレたのか、ギロッとソフィアは俺を睨んだのだが。((((;゜Д゜)))

そんなコントみたいな事をしていると、ネーファさんは意を決してこう言ってきた。


「その代わりと言ってはなんだが、その、私をお二人のパーティーに加えては貰えないだろうか?」

「・・・へ?」

「ふぅ~ん・・・?」



これが、後に二人目の“パーティーメンバー”となるネーファ・シャルロワとの出会いの一件であったーーー。



誤字・脱字がありましたら、ご指摘頂けると幸いです。


ブクマ登録、評価、感想等頂けると幸いです。是非、よろしくお願いいたします。


また、もう一つの投稿作品、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」も、本作共々、御一読頂けると幸いです。

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