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ヘイサクウカン外伝  作者: シキジ
3/5

ヒカリ編

お兄ちゃんはわたしの支えで、ゲームを通じて支えが増えた。幸せだ。



愛田光:《幸せは流行病》



わたしのお父さん、お母さんはわたしが物心つく前からいなかったらしい。そうお兄ちゃんから聞いた。


ヒカリ「お兄ちゃん、おはよう!」


キワム「ああ。おはよう。じゃあ、交代しよう。」


わたしたちは2人だけで家畜や穀物、野菜を管理している。朝辺りはお兄ちゃん担当で、夜辺りはわたし担当。たまにお隣さんが手伝いに来てくれたり、わたしのを出荷してお金を稼いだりしてる。特にこれといった不満はなくて、楽しく生活している。


ヒカリ「今日も疲れたー!」


キワム「ははっ、お疲れ。」


わたしたちの地域は海が近くにあれど、所詮は田舎。だからテレビもなくて、外とはある意味分断されてる。まあ、数年前のニュースとかなら風の噂とかで聞くけどね。…ここから街まで片道でも2時間くらいかな?


だから、わたしたちは知らなかった。これから災害が来るなんてこと。


外は雨粒がとても速いスパンで落ちてくる。


キワム「最近雨多いな。水を与えすぎて野菜が枯れないか心配だ。」


ヒカリ「そうだね。風も強くなってきてるし、念入れに見ておかないとね!」


そんなある日…《津波が地域を襲った》。台風の二次被害らしい。


キワム「ヒカリ、逃げるぞ!」


ヒカリ「逃げるってどうやって!?」 


キワム「分からない!だが、逃げないよりはマシだ!」


お兄ちゃんに手を引かれ、わたしはついて行くという形になった。


…結局波に捕まって、わたしはお兄ちゃんと一緒に流された。


(ヘイサクウカン-Xの内容を含むので、最後のゲームのみとします。)



ヒカリ「ここは?」


気がつくと見知らぬ所にいた。お兄ちゃんは…居ないみたい。


とりあえず、ゆっくりと探検することにした。


開けた場所には少数の人がいた。その人たちと話していると、どうやらこの人たちも被害者らしい。



色々あった。こんな陳腐な言葉でしか表現出来ないけど、それ程までに疲労しているのだろう。


裏切り者は私。それは、カオルちゃんが死んだ後に、サイトくんから直接聞かされた。


──────────────────────


サイト「ヒカリさん、ちょっといいかな?」


サイトくんはいつものおっちゃらけた笑顔で言う。


ヒカリ「…何。」


それどころじゃないの。わたしはカオルちゃんが死んじゃって、とても、とても…


サイトくんは辺りを見回して、人がいないことを確認すると、今まで見たことがない表情で言った。


サイト「…ヒカリさん。協力して欲しい。」


ヒカリ「…?」


サイト「裏切り者は…君だ。」


ヒカリ「な、何言って…!」


サイト「しっ。声が大きいよ。今は信じなくてもいい。だけど、もし僕が裏切り者と偽る日が来たら、演技して欲しい。僕を裏切り者と思わせる…ね。」


ヒカリ「…。」


──────────────────────


最初はもちろん信じなかった。だけど、徐々にそう思って来ていた。正確には分からないけど。


そして、そんなサイトくんも死んだ。サイトくんの気持ちを理解した今、わたしは全てをかけて最終審議を行うんだ!…と、そう決意した。



みんなの顔色が、絶望に変わっていく。既に自分が死んでいると推理してしまったからだ。


ヒカリ(わたしが、わたしが何とかしないと!みんなを、救い出さないと!)


わたしは1人ずつに希望を叩きつけた。…どちらにしてもわたしは契約で死んでしまう。だから、せめて生きて欲しい!



全員扉でこの空間から出た。


意識が遠のいていくが、わたしは不思議と幸せだ。シュウキのお兄さんがこちらを見つめている。わたしは…満足だ。


… 


結局、お兄ちゃんとのゲームは思い出せないままかあ。わたし、わたし…


ヒカリ(もっと、生きたかった…!もっと、楽しく笑いたかった!)


これをあの場で言っちゃったら、少し後悔させてしまうだろう。だから言わなかった。…言えなかった。


ヒカリ(…でも、案外笑えたな。このゲームで。意外と楽しかったかも…。)


これからシュウキくん、ランコさん、トオくん、もし、日常に戻れたら、あなた達3人が紡いでいって。そして、幸せになって。わたしの分も、皆の分も。最後に伝えたかったな。幸せって、伝染して広まってくってこと。

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