シュウキ編
至って普通の日常だった。
不自由など何一つなかった。
木狩秀輝:《デスゲームと出会うある日》
俺は自分の部屋で推理小説を読むのが何となくの日課だった。しかしどの小説も、大まかな結末が見えてしまう。一応、お母さんから買ってきてもらうのだが、正直つまらなかった。
「シュウキ!ご飯できたよ!」
お母さんの呼びかけで俺は下に降りて、ご飯を食べることにした。
シュウキ「お母さん、このみそ汁しょっぱい。」
「ああ、そう?またズバッと言っちゃって。」
俺は思っていることはすぐに口に出してしまう性格だ。人前ではなるべく抑えようと努力しているのだが、たまに言ってしまい、空気を壊してしまうこともある。
俺がご飯を食べ終わるとき、ドタドタと足音が近づいてきた。
ユウヤ「シュウキ待って!俺も今から行くから!」
この寝坊した挙句、俺に待ってと言っているのは俺の兄、ユウヤだ。
シュウキ「じゃあ、行ってきます。」
ユウヤ「ちょ、無視しないで!」
シュウキ「はあ…先に準備して外で待ってるぞ。早く来なかったら秘密ばらすからな。」
秘密というのは、ユウヤが言った、「この世界を変えたい宣言」だ。クサいセリフだ。
ユウヤ「待って!せめて、せめてみそ汁だけは…!」
俺は声を無視して準備を進めて、そして先に家を出た。
イクタ「あっ、シュウキくんおはよう。」
シュウキ「おはよう。悪い、バカな兄貴のために待ってやってくれ。」
イクタ「ははっ、また?」
こいつは俺の同級生で、唯一の友人のイクタだ。俺が、クラスで虐められていたイクタを助けたのをきっかけに仲良くなった。以来、行き帰りも一緒で、よく遊びにも行く仲だ。中学も無事同じクラスだった。
少し待って…
ユウヤ「ごめんごめん、お待たせ!」
シュウキ「ほら、行くぞ。入学式に遅刻はシャレにならないからな。」
俺たちは学校へと向かった。中学1年生と言っても、俺たちは今日で中学生だ。
イクタ「僕達ももう中学生かー。なんか不安だなー。」
シュウキ「俺も不安だな。兄貴は3年生だっけ?」
ユウヤ「そうだな。」
イクタ「中学校ってどんな感じなんですか?」
ユウヤ「まあ、言っても普通の…」
それは突如として起きた。
轟音と共に、俺たちは大きく吹き飛ばされた後、炎に包まれた。
声も出なかった。
即死だった。
ある家庭のガス爆発が原因だ。
…
俺は目覚めると見知らぬ人と、見知らぬ場所に居た。その時、声が聞こえた。
???「えっと…これからデスゲームを始め…ます?」
後に少年は、ゲームを続けていった。心情はヘイサクウカンに綴られている。