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魔法と魔術

「だが今話したのはあくまで理屈の話だ、本当に扱えるかはその者の素質の方が大きい」


「わ、わたくしめはいかがでしょうか!?」


「あ、おじいちゃんずるい」


「ふむ…、ダメだな」


余りにもショックだったのか、その場に膝から崩れ落ちる神官をアメリアが慰める。


「まぁ、努力すれば多少は扱える」


「ほ、本当ですか!」


「かもしれん」


「かも…かも…」


「特別にこの本を貸してやろう、この本には我が父メギドの魔法が記されている」


「あ、ありがとうございます!」


「おじいちゃんばっかりずるい」


「アメリアお前には私自ら教授してやろう、お前ならばいくらか可能性が感じられる」


「おお、アメリアよご先祖様直々に教わるとはまたとない機会だ」


「私なんかに、よろしいのでしょうか魔導士様」


「あぁ、それと今まで通り接してくれあまり特別扱いは好かんのでな」


「ところで、ご先祖様は今日は宛がありますかな?」


「山から降りてきたばかりで手持ちはない」


「でしたら今日は我が家に是非お越しください、ばあさんにも自慢できます」


「すまないが私の身分はあまり他言しないようにしてくれ」


「そうですか、では客人と言うことで一足先に帰って準備させます」


神官はそう言うとすぐにドアを出て走っていった。


「いつの間にかだいぶ時間がたってしまったようだな、長く生きしていると一日があっという間に過ぎていってしまう」


「数千年も生きてるんだもんね、想像もできないよ私もそんなに生きてみたいな」


「長生きしてどうする」


「そうだなぁ、毎日色々なところを旅してみたい、いろんな町にいって、まだ見たことない景色にあってそこにいる人たちと話してみたりしてみたいわ」


「そうか、羨ましいな」


「え?」


「私にとって一日とは瞬き程度の出来事にすぎない、昨日のことなど覚えているはずもなく、数千分の一の出来事として泡のように消えていくのだ。長く生きしすぎた弊害かもしれん」


「でも人はロイのように長くは生きれない、それに寿命をまっとうできる人の方が少ないんだよ?私のお母さんも病気で私が小さい頃に死んじゃったの、その時凄く悲しくて何でお母さんはもっと生きていてくれなかったんだろうって」


「…、長く生きるということは良いことばかりではない、良いことと同じだけ苦しみも背負わねばならない、そしてその苦しみは死ぬことでしか解放されぬのだ、長く生きるということはその分苦しまなければならないということでもある。人の弱い心ではその苦しみに耐えられぬのだ」


「でも…」


「本当の死とはその人の事を忘れてしまうと言うことだ、アメリアが母の事を覚えていればお前の中で行き続ける。そして人は親から子そして子から孫へと繋げていくのだ。最も例外もおるがな…」


「?」


「いや、今のは忘れてくれそれよりお腹がすいたぞ」


「そうね、行きましょうおじいちゃんも待ってる」


戸締まりをしっかりとし門に鍵を掛けると辺りはすっかり暗くなっていた。


「うわーん」


「泣き声だ」


アメリアは暗がりにめをやるとうずくまって泣いている少女を見つける。


「どうしたの?」


「転んだ時にランプの火が消えちゃって、このままじゃお家に帰れないの」


「ちょっと待ってて」


アメリアが呪文を唱えると杖から出現した炎がランプに宿った。


「わぁ、ありがとうお姉ちゃん!」


「うん、気をつけて帰るのよ」


「うん!」


少女の後ろ姿を見送るとゆっくりと立ち上がって呟く。


「まさか私が学んできたものが魔法じゃなかったなんてなぁ、結構ショックかも」


「魔術には魔術のいいところがある」


「でもさっきは怒ってたじゃない?」


「それは魔法を魔術と呼んでいたから正したまでだ、魔法は相手を倒すことに特化したものが殆どだ、元々魔王と人の戦争の中で生まれたものだからな、私の魔法では他人を傷つける事はできても喜ばせる事はできない、私に出来ないことをお前はできるのだ」


「うん、ありがとうロイ」


家に帰りつくとおじいちゃんが首を長くして待っていた。


「帰りが遅いから心配したぞ!」


「ごめんごめん、戸締まりしてたら遅くなっちゃった」


「ようこそ、おいでくださいました。なんでも大事なお客様だとかどうぞこちらに」


「お客人今日はゆっくりしていってください、アメリアもいつもより嬉しそうです」


「もう、パパったら」


数千年近く人里を離れ生活していた、というより眠っていたというべきか、私の血はドラゴンであるメギドの血が濃い、おそらく人間3ドラゴン7くらいの割合だろう性質的には魔の者に近しい。だが久しぶりに関わった人たちはとても懐かしいようで、昔なぜ人を救うため魔王と戦ったのか思い出したような気がした。

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