自分
「起きてください」
社会人の朝は早い。目覚めはいつもうるさい助手の叫び声だ。
「もう10時ですよ!依頼主さん、あと10分で着くそうです」
訂正、社会人の朝は遅い。平日に10時起きは完全にプー太郎だ。依頼主との約束に間に合わないとか社会人として完全にあるまじき行為。
「……」
「何やってるんですか!早く起きて顔洗ってください」
起きられない。なぜだ?……昨日。いや、今日眠りについたのは確か太陽とこんばんはしてからだったな。だとすると今起きられないのもしょうがない。
「依頼主さんには今日はお引き取り願ってくれ」
あと3時間だけ寝よう、そう思い壁の方に寝返りを打ちもう一度自分だけの世界に入ろうとする。
だが、それは叶わずベッドから放り出される。もちろんゴール地点は床だ。
「!! 痛っ……」
「何言ってるんですか!?社会人にとって時間厳守は当たり前のことですよ!?」
そうだよなぁ、やっぱり怒られたか。
「わかったよ、すぐに支度するからもし依頼主さんが俺より早く到着してしまったら茶でも出して待っていてくれ」
そう言い洗面所へと向かう。
「しっかり寝癖もなおしてくださいね」
その声を背中で聞き鏡の前へ立って考える。
社会人ってやだなぁ
そもそも「暗殺者」って社会人なのか?と