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清隆学園の二学期  作者: 池田 和美
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幕間・⑦

 あ、不破くんじゃない。めっずらし~、一人きり?

 他の二人はいないの?

 え? わたし? 見ての通りよ。

 運動会系の部活は、保健委員会と合同で体力測定なの。

 そう、だから剣道部の私も、当番で記録係。

 計測は男子がやって、女子は記録紙を参加者に渡すだけなんだけど、私が入った途端に混んできちゃって…

 え?

 そんな(照)

『学園のマドンナ』なんて肩書き、邪魔なだけよ。

 ありがとう。

 うん、ところで今は? 暇?

 だったら、不破くんも参加してみない?

 いい記録が出たら公式記録に申請するって、体育科の先生たち言ってたわよ。

 うん、OK。OK。

 めんどくさい書く物は、私が代わりに書いてあげる。

 まずは、身長と体重と、肺活量の測定からね。


 基本だわ。

 不破くんだったらやるかと思ってた。

 肺活量計に、息を吹き込むんじゃなくて、吸っちゃって、さらに中の水を飲む人、他にいないでしょ。

 あはは、大丈夫よ。

 いちおう消毒薬を混ぜてあるけど、ただの水道水だもん。

 背中さすってあげるから、とりあえず息を整えようか。

 え? さすらなくていい?

 周りからの殺気を感じる視線を向けられるのが嫌だ?

 そんなことあるわけないじゃない。

 ほら、向こうむいて。なでなで。

 え?

 元気になった?

 今の今じゃない。

 え? あれで元気にならない男子はいない?

 特に一部がって、どうゆうこと?

 は?

 まあいいか、次は身長測定の方へ行ってね。


 あははは。

 え? 笑うな?

 だって、見事なコブじゃない。

 そんな見栄を張って誤魔化そうとするから、ガツンとやられるんでしょ。

 見栄なんて張ってない?

 またまた。

 松田くんはともかく、郷見くんより身長高くしようとしたんでしょ?

 なんで分かるかって?

 うふふ、顔に書いてあるもの。

 でも、おかげで五センチは高くなったんじゃない?

 うん、すごいコブよ。

 いちおう治療しておく? いい?

 あと、一〇〇メートルのタイム測定とかもやってるけど、不破くんも参加してく?

 それなら、あっちのスタートラインの方に集合ね。


 びっくりしたわね~

 え? なにがって? 見てなかったの?

 不破くんが、一緒に走っていた陸上部の先輩と同時にゴールした途端に、どこからか迷い込んできたブタで、校庭が大パニックだったじゃない。

 みてなかったの? それは残念。

 ブタさん? それは物凄い勢いで走り回った後、体育館の裏に消えていったわよ。

 え? 三〇〇〇点獲得?

 なんの話し? こっちのことだ?

 たまに不破くん、私じゃ分からない独り言言うよね。

 まあ、いいか。

 それにしても不破くん、足速いのね。一〇秒台なんて、国体選手並みじゃない?

 そんな謙遜しなくても、立派な数字よ。

 幅跳びもあるけど、やってく?


 あはは。

 不破くんと一緒にいると、色んなことが起きて楽しいね。

 え? そういう特異な事は弘志に一任してる?

 またまた。

 だって、まさか幅跳びで着地した砂場から、モグラが出てくるなんて事件、不破くんじゃないと起きないでしょ。

 え? またもや三〇〇〇点獲得?

 何か別の物で、郷見くんと張り合ってるの?

 違うの?

 なんか信用できないなあ。

 そうそう、記録は八メートル八八だったけど、まさか日本記録を塗り替えるわけないだろって先生が言って、無効になったみたいよ。

 そうガッカリしないで、応援してるから。

 次の競技?

 やるんなら槍投げよ。

 そんな、お約束にナゲヤリにならないでね。


 ちょっと、こっちに来なさい。

 あなたよ、不破くん。

 いいから。

 とりあえずパニック状態の周りの事はいいから。

 で?

 あれは何?

 しらばっくれてもダメよ。

 不破くんも槍投げが「ヤリを遠くまで飛ばす競技」だって知っているでしょ。

 それなのに、なんで八〇度以上の角度で、ほぼ真上に投げるの!

 しかも、投げたヤリが刺さって墜落してきたじゃない!

 アダムスキー型円盤が!

 え? また三〇〇〇点獲得?

 なんの話しよ!

 お姉さんは怒ってるんだからね!

 おかげで、煙出しながら円盤がいっちゃうまで、体力測定が中止になっちゃったじゃない。

 次は変なことしないでよ。

 次?

 ええと、いちおうハンマー投げに挑戦できるけど?


 はい、そこ。

 そこの変態。

 え? 俺のことか? ですって?

 しらばっくれるんじゃないわよ。

 心外? ほほ~。

 あのね、確かにグランドの都合で、ハンマー投げが校庭の一番端になっちゃったのは、こっちにも責任があるかもしれないけど。でも…

 よりにもよって、ハンマーで校長室の窓ガラスぶち破る? あそこまで一〇〇メートルはあるわよ。

 室伏さん。

 んな奴知らない? オリンピック選手だった人よ。テレビにだって出てたでしょ!

 あのスーパーマンみたいなムキムキな人よ!

 室伏さんで八四メートルしか投げれないのよ!

 ほら、先生が怒って、失格だ! とか騒いでる。

 こっち来ないうちに、最後の高跳びに行っちゃいなさいよ。


 はい、不破くんは変態に決定。

 なんでって訊く?

 あのね、普通走り高跳びっていったら、助走をつけて、それで背面飛びなんかで記録を出すものでしょ。

 はい、あなた。今なにやりましたか。

 …。

 今なにやりました?

 ふわくん…。

 そう、認めればいいのよ。

 バーのところまで歩いて行って、しかもハサミ飛びで飛び越えたでしょ。

 ほら、あっち見る。

 偶然、記録に挑戦してた陸上部の先輩がうなだれているよねえ。

 は? 理由が分からない?

 あのね。

 あんな「浅井企画の某有名タレント」みたいなジャンプで、高校生記録を破っちゃったら、まじめ~に部活している人たちがバカみたいでしょ!

 え? 忍びには跳躍力が不可欠?

 まだ、そおいうこと言うの?

 反省しなさい。

 はい、とりあえずこれ。記録用紙。

 あれもこれも記録無しになっているのは、無効扱いだからね。

 え? 隠れキャラだけで得点を稼いだから満足?

 なんの話しよ、まったく。

 もう来ないでね、変態さん(笑)


 幕間7・おしまい

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