第五十三話拓巳編「信頼できない理由」
おはようございます!
那祢です。
拓巳編更新しました。
今回は拓巳が何故恋愛しないか。
それがわかるエピソードです。
どんな結末か!?
またあとがきで。
「うわぁ!」
いきなりベッド横にいた龍さんに驚きを隠せなかった。
なにか暖かい眼差しで見られている。
「ど、どこから出てきたんですか!いるならいるって言わないんですか!」
つい動揺した俺は訳もわからない感じで聞いてしまった。
それに対し龍さんは
「いやー。さっきからいたんだよ?ただ椅子に座りながら寝てたから見えなかったんだよ。」
「普通はわかりますよ!!!」
「僕の寝方は特殊だったからね。うずくまるように寝るから。」
龍さんは形を見せる。
なるほど。
ダンゴムシに似ているな。
そう納得していると
「怪我、大丈夫かい?」
と心配そうに聞いてきた。
俺は
「これが大丈夫に見えますか?イタタタッ・・・・」
足をあげようとすると痛みが駆け巡った。
「確かに痛そうだな。」
「痛いってもんじゃありませんよ。激痛。」
「でも生きていたからよかったよ。お店に着いたときは君は血まみれだったからな。」
なるほど。
だからスーツがないのか。
真っ赤なんだろうな。
考えるだけでも寒気がする。
でも、俺はなんとか助かったようだ。
「ちなみに勝手に君の親に連絡して傷の大きかった頭の方は縫わせてもらったよ。」
「あ、ありがとう。何か言っていた?」
「『何をしたんだ?あのバカ息子。起きたら俺は見舞いには行かないぞって伝えといてくれ。』ってさ。」
「ふーん。」
親。
そう言えばお金仕送りしていたけど返事はなかったな。
元気にしてるのだろうか?
あとで連絡しよう。
そう思っていると
「ところで・・・」
「はい?」
「話は変わるが先程の電話は彼女かい?」
ー ぶっ!! ー
俺は吹き出した。
「何をいっているんですか?ドラグさんも知っている方です。」
「知ってる?」
「はい。未歩・・・セフィロですよ。」
「ああっ!女子高生の!いつの間に彼女にしたんですか?早いですね!!!」
な、何をいっているんだ?
確かにモデルみたいな体型で綺麗だし今の女子高生みたいにギャルっぽくない。
そして何より優しいし俺のことが好き。
自分の中ではドストライクでもある。
でも、社会人としてはそれは失格なのである。
「付き合っていないですよ。」
「えっ?そう?じゃあ先程の芦川って人は?」
芦川。
確かに彼女は可愛い。
仕事のためリクルートスーツを来ているが可愛い服を着れば間違いなく町では声をかけられるのは間違いない。
先輩って言って人懐っこい所もあるし好感を持てる。
だからと言って先輩後輩って関係なだけだ。
「芦川はそんなんじゃないよ。可愛い後輩さ。」
「それじゃあ、ゲイルちゃん?アバランちゃん?」
ゲイルこと千鳥はアスリート選手って感じがする。
他の子達にはないワイルド感。
威圧されるんだよね。
アバランこと丑はなんだろう?
オタクの子って感じかな?
信念強さはピカ一。
あと胸の大きさが・・・・
これ以上ははしたないので言えない。
「その二人も違います。今はいません。」
「そっか。でも昨日ゲーム中メール送ったらみんな慌てていたよ。あ、僕も含めて。」
えっ?
じゃあもしや・・・・
「龍さん?」
「はい?」
「もしかしてギルド全員にこの事を送ったのかな?」
にこにこしてるぞ。
返事は・・・・・・・・・・・・・
「もちろんさ!ちなみに嫁が対応したけど病院名は送っていなかったよ。」
「ちょっと!それでは皆さんに迷惑かかるじゃないです・・イタタタッ!!!」
「無理しちゃダメですよ。安静に。」
「誰が慌てさせたんですか!」
「ふふふふっ」
龍さんは嬉しそうだった。
「拓巳さんはモテモテだね。」
「いきなり、なんですか?」
「これだけの人に愛されてるなんて幸せ者ですよ?」
「愛って言われてもね。勘違いできないからな。」
「勘違い?」
「そう。好きって気持ち。愛があれば恋に落ちる。そして幸せになれる。昔、そう思ってたことがあったんだよ。」
「聞いていい話ですか?」
「かまいませんよ。大学時代、俺は初めて彼女ができたんです。嬉しくて舞い上がっていた。俺は彼女にできるだけの愛を注ぎました。バイトしてプレゼントを用意したりデートしたり。しかし彼女はバイトに忙しい俺を他所にもう一人彼氏を作っていたんです。そう二股ですよ。それを彼女に問いただすと『もっと私を見てくれないから。』ってさ。」
「ああ・・・」
「それから人の好きが信じられない。いや、怖いのかな?ダサいな。」
うつむく俺。
それに対して
「なあ、俺の嫁の話。しようか?」
そう龍は語りだした。
ー 王龍第一話を見てください。 ー
「僕も初めは信頼できなかったですよ。でも一緒にいるうちに知りたい。また会いたい。もっと色々したい!ってなったのさ。だから今、怖がる気持ちも必要だけど挑戦するのも必要だよ?その恋は今しかないんだから。若いんだからね。挑戦してみては」
「・・・・・」
俺は龍さんの話をしっかり聞いた。
そして泣いた。
自分に対しての不安。
人を信頼する怖さ。
それが込み上げてきたのだ。
龍さんが背中をさすってくれる。
「がんばったね。耐えたね。でも、もう少し信頼していこうね。よしよし・・・・」
「・・ひっ・・・ぐすっ・・・・・はいっ。」
泣いている俺。
頭をなでなでされながら。
ー ガラガラガラ・・・・ ー
「「「「失礼しま・・・・」」」」
扉を開けた人物。
それは芦川と未歩たち女子高生だった。
彼女たちは一瞬止まる。
次の瞬間。
女子高生プラスワンは龍さんをどかし俺の回りに 集まった。
そしてみんなが一斉に話しかけてくる。
「先輩っ!私がなでます!!!」
「旦那様っ!ちょっ!邪魔すんな!」
「拓巳さん!大丈夫ですか?!手を握ってあげますから!耐えてください!!」
「おいっ!痛いのっ?先生呼ぶ?!」
「みんなーさわいじゃーだめですよー。」
「まったくうるさいね。ところで殴ったやつ顔わかる?締め上げるから教えて?」
すると龍は
「ねっ?君の近くにいるでしょ?大切な人。」
といった。
同意を求める龍さん。
それに俺は
「はいっ。」
と返事をした。
「言い返事だね。じゃあ、ネットゲーム用PC用意しといたんでそれ使って。嫁が待ってるから帰るよ。」
そう言い、後ろ向きで手を振りながら龍さんは帰っていった。
皆さん駆けつけてくれたようです。
これで拓巳さんは恋愛できるのか?
ちなみに次回は?
優午は?
考え中です!
次回もよろしくお願いします。
那祢でした。