サブストーリー 第一話塩崎妹編「どこがいいの?」
おはようございます。
那祢です。
しうちゃんストーリーです。
ある朝の風景。
突如訪れる恐怖。
何が起きるのか?
ではまたあとがきで。
「ふぁぁぁっ。」
私は大きい遊びをした。
夜遅くまでゲームをやっていたから眠いな。
「ふぁぁぁむっ!」
もう一度大きいあくびをする。
が途中で噛み殺す。
バスが到着して人がみていたから。
さて、今日も学校を頑張って早く家帰りゲームするかな。
私はバスに乗り込む。
空いているバスの中の一番奥の席に座る。
ーごそごそー
座ったばかりの私は自分の鞄を探りだし起きたばかりでまだまだ眠い頭をフル回転させようとカバンの中のチョコレート一つ袋を開けて食べ始めた。
美味しい。
冬季限定でお兄ちゃんにいっぱい買ってもらったやつだった。
ゆったり食べよう。
そう思ったときだった。
「げっ!」
次のバス停に停まるとある男が入ってきた。
彼は何気なく一番奥の席に座る。
こいつは高根拓巳だ。
わたしとおなじギルドだ。
一番後ろの席まできた。
あっ、目が合った。
私に気がついたようで社交辞令なんだろう。
「おはようございます。」
と言って頭をぺこりと下げた。
「おはよー。」
私も社交辞令でそういって頭だけ下げる。
一番後ろの私の反対側に座った。
ーどうせこの後、うちの女子校生たちに囲まれるんでしょー
そう思いながら私は走るバスで思いふけていた。
次のバス停で私とそいつを遮る者が来た。
運動してないのかちょっと太い男の人が私と高根の間に入ってきた。
ーなんだろう?ー
イヤな感じが。
バスの席は結構空いているのに。
そう思っていると私に詰めいるようにその男がだんだん近寄ってきた。
そして私の横まで。
「ねぇ、君。」
隣の男が私に声をかける。
「な、何ですか?」
私はそっけない態度をとる。
すると
「ずっと前から気になってたんだけど。」
「えっ?」
私は心の中で喋ったことない人にいきなり気になったって言われてもなぁと失笑した。
私に気になるところある?
「だから、何の用ですか?」
そういう私に
「分かってるでしょ?」
「だから何がですか?」
私はイライラする。
なにすべて分かったふりしてんだよ!
「言わないとわかんないか。僕と付き合ってくれない?」
そう言って私の手を握ってきた。
体全体に悪寒が走りだす!
「やめてください。」
振り払おうとする私にぐいぐいとその男は詰める。
「な、何でダメなんだ?」
私は心に中で
ー 鏡を見れば分かるでしょ!あとカッコつけすぎ! ー
と思った。
「しかも、あなたのこと知らないし・・・・」
「これから知っていけばいいじゃん。」
「私、好きな人いるから・・・・・」
「大丈夫、僕に夢中になるから!」
「ならないし!無理だから!」
「いや、なる。僕はお金持ちだよ?株とかで儲かってるし。」
「だから!いきなりそういうのは気持ち悪いんだよ!」
「なんだと!」
やばい怒らせた!
「おとなしくしてればこいつ!」
バスの一番端に座っている私には逃げ場がない。
太い男に襲いかかられるその時だった。
ーグイッ!ー
「お前、ちょっと待ってや。」
襲いかかろうとしていた男の服を誰かが引っ張る。
高根だ。
「なんだよ!お前!!!」
「お前こそ何してんの?女性に襲いかかってんじゃねーよ!」
「なんだと!僕たちは愛し合ってんだよ!」
高根はその言葉で私を見る。
私はすかさず首を横に振る。
ー ふうっ。 ー
ため息をはいて
「俺が見てればお前の一方的片思いじゃねーか。勘違いしてるぞ?」
「なにを!」
「彼女が好きでもないやつにその子を幸せにできると?」
「僕はお金持ちなんだよ!お金があれば彼女を幸せにできるんだよ。」
「でもそれは全部お前の金じゃねえだろ?どう見てもお前働いてるように見えねーし。」
会話が大きい声なっている。
二人の会話にバス内で笑い声が聞こえる。
「お前許さないぞ!」
「かまわない。来るなら来い。」
喧嘩するのか見ていたが飛びかからない。
こいつ、チキンだ。
次の台詞は
「パパに言いつけてやる!偉いんだぞ!」
「じゃあ、俺は警察に動画を証拠として見せてやるよ。」
「動画?どういうこと?」
「お前が女子校生にしつこく詰め寄って無理やり手を握りしめた公然わいせつ容疑のやつ。」
「えっ!?」
「無理やり女性にそういうことすればなるんだよ?」
「でも、同意で・・・」
太めの男は私の方見る。
それに対して私は再び首を横に振る。
すると男の顔が青ざめだす。
「僕、捕まるの?」
「うん、そうなるな。」
「僕、まだ十八歳なんだけど・・・」
「責任取れる年齢だね。だからそこの女子高生に謝罪して早く家に帰りなよ。」
「そ、そうそうだね。じゃあ僕は帰るね。」
そう言いながら呼び鈴を押して次のバス停で降りていった。
震える私。
それにニコッと笑う高根。
「よかった。無事で。」
「助けてくれなくてもなんとかできました。」
私は強がっている。
「ごめん、それは邪魔しちゃったね。」
高根はちょっとバツの悪い顔をしながら反対側席に戻ろうとした。
「ねぇっ。」
私は声をかけてしまった。
「ん?どうした。」
「私の隣に座ってもいいわよ。」
「?」
「だから私の席の横に座ってもいいのよ。」
そう言うと彼は私の横に座った。
「ちょっと怖かったかな?」
そう言われると私は強さがこみ上げてくる。
ずっと小刻みに震えていたのだ。
それに対し彼は
「これ食べる?辛いよ?」
ミントのタブレットを出した。
私はそれを二粒もらって食べる。
口の中がスーッとする。
でも体の震えが止まらない。
何か高根が考えている。
思い付いたのか
「ねえ、丑ちゃん。俺の腕を触っててもいいよ!」
目の前に腕を出された。
なぜ腕?
私は彼の二の腕をむにむにむにむにとにぎる。
落ち着くまでずっと揉み続けることに。
ちょっと落ち着くぞ。
ストレス発散にもなる。
「無言で揉み続けるのもなんだからさ。チェインリングスの話をしようよ。」
それからずっとゲームの話をした。
こいつ案外優しいじゃん。
あいつらが惚れるのがわかるかも。
そしてバス停で未歩と千鳥が乗ってきたようだ。
二人の空間でゲームの話をしながら二の腕揉まれている高根の状態を見て
「「なにやってんの?」」
と二人のつっこみが入りましたとさ。
その後降りるまで彼の腕をみんなで揉んで遊んでいました。
追伸
その次の日彼は揉み返しで腕を痛めたそうです。
揉みすぎには気を付けましょう。
よくモテル人ー死語ーによくあること。
いきなり「気になりました。」「すきです。」は怖いね!
だからいきなりの告白はやめた方がいい。
存在アピールしてからにしましょう。
そう思う那祢でした。