第三十七話拓巳編「地獄が見えたあの日から」
お久し振りです。
那祢です。
今回は塩崎さん家の続きです。
丑がどんなに迷惑な方なのか。
ここでご紹介します。
では。またあとがきで。
優牛の妹がアバランと教えてもらった俺は動揺が隠せないでいた。
何故なら、今日、彼女の前で憧れだった先輩と腕をくんで出勤したからである。
ゲーム内で追いかけ回されたぐらいで済んだのにリアルならば?
俺は痴漢事件のトラウマを思いだして寒気がした。
「先輩、シュウちゃんとなんかあったんですか?顔真っ青ですよ?」
「あっ、いや~。ま~。色々考えてね。」
「???」
今日の朝、俺は多分やってしまったと思う。
優牛に正直に話すか。
ゲーム内であったことを優牛に話す。
「すいませんね~。あの子、一つの事に夢中になると突っ走るところがありまして・・・。所で先輩はうちの妹に恨みとか買ってませんよね?」
「どんなことが一番ヤバイんだ?」
「例えば・・・あいつ未だに尊敬してる先輩がいるんすよ。その人に手を出したとか?」
ドンピシャだった。
たぶん今日のやつは彼女に恨みを買ったのだろう。
「なぁ優牛。その丑ちゃん・・・」
「シュウです。本名で呼ぶとキレますよ。」
「・・・そのシュウちゃんから逃げる方法は何かないか?」
「う~ん。多分ないっすね。」
-えっ?無いの?-
-聞き間違えたかな?-
もう一度聞き直そうとすると・・・
「あの子、執着心強くてね。一度、間違えて家においてあったシュウのプリン食べちゃったんすよ~。そしたらあいつ、フライパンで手加減無く叩いてきてさ。傷を手当てして買いに行くはめになったっす。」
「それマジで?」
「マジっす。」
「本気と書く方?真実って書く方?」
「真実の方っす。」
すると朝の光景を思い出す。
あの睨みかたは怨みの目だった。
丑、いやシュウちゃんは多分帰りに会う気がする。
そしてバス停で待っていてなにか仕掛けてくるはず。
「なあ、優牛・・・」
「まあ、先輩!頑張ってくださいね!」
「お前な~。俺、女運とくに女子校生に対して運が悪いってわかっているだろう?」
「あ~。あの事件あったっすもんね。」
「だから優牛。何とかならないか?」
「大丈夫っしょ?うちの子は天使なんで。」
「天使?それの何が大丈夫なんだ?」
「可愛いってことっす。」
こいつは・・・
だからいい加減だって言われるんだよ。
そう思っていると・・・
「あっ!先輩、一つ言って無いことが!いいですか。」
優牛が何か閃いたようだ。
-助かる術があるんだな!-
俺は食い入るようにこう聞いた。
「何かいい回避方法があるのか?」
「いえ、ただ家の天使に惚れないでくださいよ。可愛いからって。先輩にお兄さんと呼ばれたくないし。」
「この馬鹿が!惚れるか!」
「ほんとっすか?じゃあここは俺が奢りますんでシュウちゃんの面倒をお願いします。じゃあ、おつかれっす。」
「まて!優牛!!」
そう言って優牛は伝票を持ってお会計をして帰っていった。
俺は「嫌だなーいやだなー」と稲川⚪二のように呟く。
するといつも降りるバス停に着いてしまった。
回りを見渡すと誰もいない。
「もしや思い過ごしかな?」
俺はふぅとため息をつきバス停に並ぶ。
すると自分の後ろにおじいさん、おばあさんが並んできた。
よし!まだまだ俺の命は大丈夫。
時計を確認するとあと少しでバスが来るようだ。
後ろに一人、また一人ならんできた。
そしてバスが到着する。
-キキキキッー!・・・ブシュ~!-
扉が開き乗ろうとしたとき列の後ろに新たに一人並んだ。
それは朝、睨まれた眼鏡の女子高生だった。
-やば!離れないと!-
俺は急いで奥の椅子に座る。
ばれないように横を向きながら。
彼女は俺の斜め前に座る。
彼女をそっと覗きこみ確認してみた。
-あれが丑ちゃんか。-
体格が他の学生と比べると大きい方でBWHのBがとても大きい女の子。
近くにいたら痴漢に間違えられること確実。
-寄りたくないな。-
もしかしてと思った時、バス停についた。
押し込むような形でバスに乗ってくる。
バスの中はぎゅうぎゅうになった。
座席が埋まっていく。
俺の隣にも誰かが座ってきた。
横を向いていた俺は気になり確認する。
そこには・・・
「会いたかったですよ。大好きな先輩にちょっかいを出す人。」
隣の席にはカッターを握りしめていた塩崎丑が座っていたな。
次回塩崎完結編。
その次はサブストーリーを考えています。
私事ですが、みなさんに読んでもらい閲覧人数が三百人越しました。
「わーい!すっご~い!」
とサー⚪ルちゃんに言われたいな。
ちなみにプロフィールが閲覧一番多いのに驚いています。
内容が分かりにくかったんだろうな。
それでは次回もよろしくお願いいたします。
那祢でした。