第七十二話拓己編「まっている。」
那祢です。
今回は芦川パート2編。
彼女とお酒。
まさかの展開?
楽しんでいただければ嬉しいです。
またあとがきで!
会社が終わり芦川と少し飲むことになった。
少しのはずが・・・・
今は十一時。
最後のバスがそろそろ出る時間。
後々オゴリに喜んだ芦川さん。
たくさん飲む飲む。
結果は・・・・・
「先輩。しゅき・・・・」
今、俺の背中に寝ている。
先程まで起きていたのだが。
「先輩、私はもっと愛がほしい。」
とウルウルして俺の腕に組んできたり。
「先輩?あのネオン、行ってみませんか?」
とホテル街へ引っ張っていったり。
「ピー!只今先輩成分ガ足リマセン。補給シマス。ちゅー。」
と頭を両手で抱えてキスしようとしたり。
「あーん、大好き。ぎゅーさせてよー。」
と抱きついてきたり。
ちなみに背中を向けてそのままおんぶする構えになり今現在に至る。
うん。
もう二人で飲むのは止そう。
次回は優午、犠牲になってくれ。
そう思いながら帰り道を歩く。
芦川の家は背負いながら聞いた。
なので場所はわかる。
わかるのだが・・・・
「あれだよな?」
目的地についた俺は上を見上げる。
目の前にあるのはかなり高い建物だった。
高層ビルまではいかないが十階を超すぐらいデカイ。
確か部屋の番号は八十二号室。
うん。
ー そうだ!エレベーター使おう! ー
どこかの電車のCMみたいなことを呟いてしまった!
俺は早速エレベーターに乗ることにした。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
俺は沈黙する。
エレベーター前を見て固まったのだ。
そこにはこう書いてある。
ー メンテナンス中 ー
そう、今から俺は・・・・・
試練に挑戦する。
「ハアッハアーッハアーッ・・・ゴホッ!フゥーッ!」
俺は試練をクリアーした。
階段を上ること二十分。
やっと八階まで着いたのだ。
あとは八十二号室を探すだけだ。
「うーん。」
背中がモゾモゾする。
「あー。たくみさんだぁ。」
甘えている感じで俺の後頭部に頬をスリスリしている。
「芦川、起きたのか?」
俺が呼び掛けるが
「ふぁーい。いますよ。」
何時もの確りの返事ではない。
まだ寝ぼけているのか酔いが抜けないのか。
「お前の部屋は何処だ?」
「あー!私のお家ですね!ありがとーございます。」
「背負って連れてきてやったんだぞ?所で部屋は?」
「アッチですよ!」
背中から降りない芦川は指で部屋を案内をし始める。
八十二号室の部屋があった。
「芦川、降りろ。または鍵かせ。」
「もー。今出しますよー。」
やっと背中から降りた。
重たかったがそれは死亡フラグなので言わない。
しかし、芦川は柔らかかった。
背中には柔らかい感触が残っている。
スリムなんだけど・・・・
芦川は自宅の鍵を使った。
ー ガチャ! ー
芦川の部屋が開いた。
「開きました!どうぞお上がりください!」
「えっ?」
芦川はこちらを向くと笑顔で俺の手を握る。
そして、部屋に引き込む。
「ちょっ!まてよーぅ!」
某アイドルの台詞が出る。
「気にしないでいいですよー!明日は休みですし。」
「確かに会社休みだか!」
「好きな人を部屋にあげる。夢のようなシチュエーションでしょ?」
「それは中学、高校男子夢だ!」
そう言っている内に広間に着く。
そこには・・・・・
額に入れた俺の写真が沢山あった。
「あ、ああ・・・」
動揺する俺。
写真はみんなこちらを向いている。
「せんぱい、驚きましたか?」
「あ、あしがわさん?」
「先輩好きすぎてつい飾っちゃいました。」
飾るなんてレベルじゃない。
違う意味インテリアみたいだ。
表すなら・・・・
高校時代、好きな歌手がいた。
そんな歌手のポスターや下敷き集める。
クリアの袋を買い、部屋に飾る。
四畳の部屋で視線独り占め。
まさに至福。
みたいなものだが・・・・・
実際なっているのが自分となると・・・・
狂気の沙汰!
しかし全部こちらを向いていているんですよ!
「芦川さん。」
「はい!」
「これは?」
「先程言いましたよ?好きだから飾っています。」
好きが重いのよー!
もっとライトに軽くー!
「いや、こんなに写真があって・・・・。この時まだ会っていないよね。」
「いえ、あってますよー?写真の中で!」
ゾクッとキター!!!
ホラーどころじゃないぞ!
「ジョーダンですよぅ。本当は塩崎さんにも貰いました。彼は『商売の神だから待ち受けにしなきゃダメッす!』と言って定期的にくれますから。」
「あっ!」
確かに売り上げが伸び悩んだとき俺の写真撮ってた。
あの時か!
その後、叱られる感じが良いと言って写真を定期的に待ち受けにしてたな。
それにならって芦川も写真撮ることに・・・・
でもこれは怖い!
「外さない?」
「嫌です。」
「どうしても?」
「うーん。なら一つ叶えていただけるなら。」
交渉を持ちかけてきた。
嫌な予感。
聞いてしまうのが俺の悪い所。
「なにを?」
「それはですね・・・・」
ニコニコした芦川。
俺の腕をとり引っ張る。
ついていく俺。
扉が開き着く場所は寝室。
「さあ、私を抱いてください。」
「なっ!んんっ!」
キスをされ布団に引きずり込まれる。
「むっしなな、むっなむっやみろっ!」
暴れる俺。
それを固めるように絡み付く芦川。
理性が!
俺の理性!
芦川から逃げる方法は!
そうだ!
ー ピタッ! ー
俺は暴れるのを止めた。
「んっ?」
芦川の力が弱まった。
観念したと思っているはずだろう。
キスする力のみ強くなる。
ー すきあり!!! ー
俺は素早くかわす!
全力をかけて布団から脱出!
するりっ!
「あっ・・・・」
切なそうな声をあげる芦川。
なんとか転がりながら脱出できた。
「駄目だろっ!確かに食わぬが男の恥と言うがやり過ぎだ。」
「うー。」
「唸らない。」
「むー。」
「すねない。」
ミミックの様に布団から声をあげる芦川。
このまま帰ればあいつ落ち込むだろう。
俺は少し考える。
「イチャイチャしましょうよぅ。」
「駄目。」
「ぎゅー!ぎゅー!」
「駄目。寝なさい。」
「うー。」
考えた俺は・・・・
「寝るまで頭撫でてあげるから!」
「ずっと?」
「寝るまで。」
「うー。うん。」
モゾモゾ布団から頭が出てきた。
んっ?
服がこちらになげられ・・・・
「じゃまっ・・・・はい!撫でて・・・」
下着姿で布団にいる。
・・・・・・
無心。
無心で頭を撫でるため近寄る。
「はいっ。撫でて。」
ー なでなで・・・・ ー
「幸せ・・・嬉しい・・・」
ー なでなで・・・・・・・・・・・ ー
そしてなで続けた。
それは無心でたまに足がスッと出るが。
無心無心。
耐えること二十分。
ー ガチャリ! ー
俺は鍵を閉めポストに鍵を落として帰ることにした。
ゲームに入らないと!
タクシーを呼んで帰る!
家の前に到着したのは午前一時半。
ゲームの約束の時間に三時間過ぎていた。
「んっ?」
俺はなにかに気がつくのだか・・・
この後おきる出来事を予想していなかった。
お酒の失敗気を付けましょう。
あと、女性トラブルも。
芦川とこうしている間一人暴走するものが。
次回もよろしくお願いします。
那祢でした!