新居にて
中に入ると、公爵家を超えるほどの重厚なロビー。チョコレート色に美しく輝く木材の床、柱。柱は全体に優美な彫刻で咲き誇る花々が表現されている。
絨毯の色は、セオロナさまの瞳を主題にしたような、エメラルドグリーンで、銀糸で繊細な文様が彩られている。 正面には大階段。エメラルドグリーンの絨毯が、優しく迎えて2階へと誘う作りだ。
吹き抜けから見えるテラス上に張り出した壁には、左右に6個づつの『時計』。時計版は大理石、数字部分は、なんと宝石が埋め込まれているゴージャス仕様。各時計の下には、銀地に装飾文字で、各時計の時間を採用する国の名前が全世界53カ国分刻まれている。一目で世界中の時間が確認できるなんて、素晴らしい趣向だ。この時計は、精霊王女さま改め、3人の精霊女王さまからの新築祝いなのだという。
大階段を上ると、ロビーを見渡せるティーサロン。花柄に刺繍をほどこされた椅子の座面がパンっと張っているのが最高の座り心地を予感させる。ここでいただくハイティは格別だろう。ダイニングも同フロアにあって、大きな窓からの景色を楽しみながら少人数で食事を楽しめる。こちらは日常使いを意識してか、ロビーと異なり、クリーム色ベースの明るい空間となっている。
通路の先にある階段をあがると大広間。何百人というパーティができそうな大きさだ。ここで各国主賓との懇親を深めることができるのだろう。謁見の間もおそらく兼用となっているのだろう。正面の高い位置に玉座が置かれており、また両サイドには広間を見渡せるベランダ席風の賓客スペースも設けられている。
もう1フロアあがると執務室等のパブリックスペース。入り口すぐのお部屋にエリアル宰相の執務スペースがあり、奥が皇帝専用室と、皇后専用室に分かれている。皇帝専用スペースには、かなり大きな1枚板からできた高級感があふれる執務机があり、その机に引けを取らないふかふかの執務椅子が快適そう。落ち着いてじっくり仕事に取り組めそうだ。対して、皇后専用室は、かなり明るいスペースで、ソファ中心の、本当に働く気あるの?的なくつろき感を醸し出している。
隣には、図書室。各国の旅行情報や名産品情報はもとより、全世界の経済状況・天候情報・偉人伝等のTHE エリアルさまコレクションともいうべき蔵書が並べられている(そうだ)。
エリアル様の私室はこの図書室の隣に据えられていた。夜中に突然なにか思い立ったときも、すぐに書にあたれるようにという、要望をかなえられるためだという。
さらに1フロア上が皇帝・皇后のプライベートスペース。
2人きりで、お茶を飲んだり、お食事をしたりが楽しめるミニダイニング(ミニといってもニッポンの豪邸サロンと同じぐらいの大きさだろうけど)、飾り棚風の食器棚にはすべて2つが対になった茶器類や食器類が数多く置かれている。また、おそらくあの茶器1セットが一般人の年収ぐらいするのだろう。怖いから値段はきかないようにする。
最奥には、寝室が。エメラルド色のカーテンに囲まれた天蓋付きのふっかふかベッドには、真っ白なシーツがかけられ、今すぐにでも寝たい気分に誘う。
また、、寝室の大きな窓を開けると、そこは広いテラスになっていた。