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儀式を終えて

 その夜は、53ヶ国の王族の方々を交えた大パーティ。

 いろんな髪色、目の色、背の高さ、地球と比べると世界は狭そうだが、それでもいろんな人がいる。

 王族というより部族長といったタイプの人まで。

 次々に挨拶にお越し下さる方々のお話は、非常に興味深い。


「我が国の熱帯雨林の森、ご覧になられたことのないキノコ類も生育しているんですよ。」

「我が王国誇るバイオリニストは、その心地よい音色だけで、聴衆を眠りに誘うのです。」

「我が街にある湖の一つが、透明度が高すぎて、美しすぎる絵として偽物疑惑があるほどです。」

「我が国の兵士は女性の方が屈強なのです。騎士団長の女性は世界一の力持ちとの噂が耐えません。」


 など、行ってみたいとこ、会ってみたい人、経験してみたいことなどが満載となるような、素敵な夜だった。


 その日からしばらくは儀式や祝いの席が続く。親睦を深めるため、各国王族が主催するパーティや、サロンにも顔を出し、2カ月近いときを王城で過ごすことになった。各国の王族の方への再会を約束して見送る。

 サトゥーさまが、戻られる時は大変な騒ぎだった。王城の侍女さまたちだけではなく、調理場、洗濯場いろいろなところにお勤めの少しお歳を重ねられている方々の間にファンクラブが出来ていたようで。

 お別れの贈り物、花束だけを運ぶ専用馬車が、5台も出動する事態になったという。恐るべし18歳の色気。


 そして、自国にお帰りになるすべての王族さまを見送ったある日。セオロナさまが、わたくしにこう言った。


「今日は新しい住居へご案内するよ。」

「あたらしい住居?公爵領はどうなるんですか。」

「僕の代で皇帝直轄領になるだけだよ。心配はいらない。皇帝は立場的にすべての国々の頂点に立つだけで、すべての国家の自治権は各国家にあるんだからね。もちろん公爵邸もそのまま維持するよ。使用人の方々、領内の人々を守り続ける役目を放棄するはずがない。」


「では、公爵領にお戻りになるのですか。」

「いや、皇帝としての本邸を別に建造したんだ。きっと気に入ると思うよ。」


また、贅沢なあああああと、思ってしまうが公爵家の贅沢は富の循環だから、ありがたく恩恵を享受することにして、セオロナさまに付き従う。

滞在中に新たに設えてくれたのであろうグレイトドラゴンの紋章付き、皇帝、皇后専用魔法馬車。紺地に金のモールで彩られている。


 「グレイスに乗って行かないの?」

グレイスは、何と、世界中の往き来を活発にするために大量増産中の『魔法馬車(改)』より多くのひとを運べる『魔法バス(改)』、大陸を越えた移動も可能な『魔法子ドラ(改)』の充電に忙しいらしい。後半2つは(改)じゃないんじゃ、と思ったが、命名がグレイスで機嫌よく充電しているらしいからよしとしよう。


 魔法馬車は、王都を出て公爵領を抜けて大陸の端にむけて気持ちよく駆け抜けていく。


 うわああああああああ。真っ白な外観に紺色のポールが、天を突く、壮大な宮殿が視界いっぱいに広がった。


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