表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/82

明日は王都へ

 お式の後、公爵邸では、使用人の方々やら、街の名士さまやらが集まり、数百人規模の大祝賀会が夜更けまで催され、翌日はお昼頃の起床となってしまった。


 少し寝ぼけた様子で玄関ロビーを通ると、すっかり旅装の準備を整えられた公爵夫妻と、お母さん。

 あれ、王都行きは明日では?


「先に王都へ向かうわね。」

「凱旋パレード出迎えの準備をしなくっちゃ。」

「グレイスの神殿準備は出来ているから、今日のうちに案内をよろしく頼む。」


 凱旋パレード・・・!公爵家は、筆頭貴族だけあって、領地が王都に隣接している。そのため、公爵邸から馬車で数時間で王都だ。だから、明日の魔法馬車は、そのままパレードをしつつ王城に向かえるようオープンカータイプだという。


「大丈夫2人×3列だから。6人乗れるよーっ。」

 って、ライユさまが、言ってくださるけど、どこの世界にパレードで手を振る側に参加する添乗員がいるんですか!?

 何よりキラキラ馬車にキラキラ感満載の5名さま。

 無理、無理ですーっ。邪魔な人いるよっていう視線痛そう過ぎて。


「私も一緒に今日お連れ下さい!」

「何を言っているの?あなたは勇者の妻なのよ!堂々と乗っていなさい。凱旋パレード用の衣装もちゃんと作って置きましたから。」

「安心していいよ、グレイトドラゴンが出現したことも、君が勇者の妻となったことも、昨日までにしっかり王都中に広めておいたから。」

 公爵夫妻への嘆願もまさかの撃沈。どころか、プレッシャー倍増。おかあさああああん!


「帰るまでが遠足です。小学校で習ったでしょう!添乗員たるもの帰着地、王城までがお送りするのが添乗員の仕事ですよ。あなたは、セオロナさまの妻となったとしても、まだ添乗員契約中であることに変わりないのよ。」


 お母さんまで、まさかのお仕事論理で敵側だった。添乗員のお仕事を持ち出されるとつらい。ああ、私も勇者さまパーティのお出迎えパレード待ちでもしながら、絞りたてミルクでつくったソフトクリームとかのんきに食べたいよー。

 わがままはそのぐらいまでにさせられ、結局公爵家の立派な馬車をお見送りすることとなった。社会人ってつらいね。


 で、公爵さまからの連絡事項だった、グレイスの新居に今日のうちに向かうことにした。王都の東にある広大な洞窟。とのこと。すぐいけるかな。と、アトリエ横の芝生にグレイスを迎えにいく。

 何度も飛行訓練を重ねたので、私はすでに手綱なし、立ち上がってもグレイスに乗れるようになっていた。


 セオロナさまと二人、グレイスに乗って洞窟へと向かう。そこには、巨大な神殿と化した洞窟で、門扉ははじまりの神殿と似た作りとなっていた。

 洞窟内部には、公爵領特産のやわらか、ふわふわの干し草が一面に置かれた快適仕様。門扉の表側には日光浴のできそうなスペースもあり、グレイスもとっても気に入ったようだ。


「今日からは別々暮らしなのね。グレイス。」

 [でも、声は聞こえるよ。セオロナ。ルナ。いつでも、声にださなくても心の中で僕を読んでくれたら、向かうから]


 と、心強い味方も得て、私たちの王都に向かう準備のすべてが、整ったようだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ