街ってこうみるもんです。
これは、確実にデブる。。。と、思ったわたしは、堂々と散歩できる口実づくりを兼ねて、皆さまに申し出てみた。
「街をご案内いたしましょうか?」
「確かにこのままじゃブロイラーに・・・。」
と、踊り子ライユさまがいうと、ライユさまとはニコイチのパラディン・ブルートさまも、即賛成。
「僕もご一緒しようかな・・・。」と、勇者さまがいえば。
あとのお二人は、
「それは、お邪魔しないように後ろからついていこうかな。」
なんておっしゃる。
お邪魔なんてとんでもない!
この街、わたしにはすべてが目新しいんだけど、もともとこの世界にいる人には、どう見えてるんだろう?
「旅先、こういう雰囲気の街って他にもありました?」
ぷらぷら散策をしながら聞いてみると。
「典型的ってこういうのをいうんじゃじゃないかな。」
と、冷静にエリアルさま。
「そうね。街はだいたいこんな感じで、王都や、村は違うけど。街同士ってどこが違うって聞かれても・・・。」
「特にみるものない。でも、ライユを見てられるからいいね、特になにもない方が。
って、ブルートさま???
「森には動物もいるし、顔もある。だけど、街にはね。」
レンジャーのクレイさまはさすが、森経験豊富そう。
「街には顔を感じないよね。」
きっと、普段はこうなんだろうという、照れのない勇者さまは若干、死んだ魚の目に戻って冷静におっしゃる。
「顔、ありますよ。きっと。まずは、影飛び越えでもしてみます?」
「ずっとずっと続く通りのを、日向部分を通らずに、影の部分のみ踏み歩くんです。日向部分はジャンプで飛び越えて。」
昼下がり、住宅街を影飛び越えをしながら進む。
「ね。さっきまでの通りは、ずうっと、家が等間隔に連なってて、影の切れ目が等間隔にだったのに、少しぬけると、お屋敷街に入ると、塀代わりに並べられた植栽の影が、三角形の等間隔になってる。
次のお屋敷では蔦っぽく複雑な模様のかげ。次は鉄柵に丸いかげ。
それぞれのお屋敷が、街と、家との境目をきっちり線引きしているというのが、共通で。でも画一的な切れ目にならないように工夫を凝らしてる。
こんなちっちゃいことでも積極的に楽しむ。それが、街あるき。
美味しいものや動物や、素敵な人たちとの出会いがあれば、もちろんベストだけど。何もなくても飽きないように、飽きさせないように。
「添乗員の基本です。」
「てんじょー?」
「いん?」