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ありがとうを言葉にするのは難しい

 いよいよ明後日には、王都への凱旋帰還というその日。セオロナさまと私の挙式が執り行われることになった。


 ドレスやティアラ・アクセサリー類は、公爵邸について衣装合わせをしていたその日から準備が進められていたようで。結婚式には十分間に合うようだった。


 当日の朝、突き抜けるような快晴の天気を確認した私は、私室にて花嫁へと変身していく。


 肩を取り囲むようにホワイトローズが取り囲む。ウエストはゆるやかなVのカーブを描いて、腰の後ろにつけられたリボンが裾長くまで広がっている。裾に向けて緩やかに大きく広がるスカートを、いくつもの上質なダイヤモンドをきらめかせた繊細なレースが覆っていて、少しでも動くと透明な光がきらめく仕様になっている。


 束ねて緩やかにカーブを描いた髪にはティアラ。ティアラの中央にはる大きなピンクダイヤモンドが飾られ、いくつものダイヤが優美な曲線を描いている、そのティアラから延びるベールは私の身長以上に長く広がっている。

 ネックレスは鎖部分が上質な真珠が二重に重ねられ、その中央にはここにもダイヤモンドが輝く。

 イヤリングはネックレスとおそろいで耳たぶに真珠、そこから涙型のダイヤモンドを落とす形にできている。


 ブーケはサムシングブルーを彩るブルーの薔薇を織り交ぜたもの。綺麗なハート形を描く形に作られている。セオロナさまとの身長差を少し縮めるべく、ヒールは7㎝ぐらいある。ヒールにしては高い方ではないが、私の中では精一杯の努力だ。


 準備ができると、コンコン。本日出席する女性陣のお出ましだ。公爵夫人は臙脂色の花柄ドレス、ライユさまは落ち着いた紺色のドレスだ。花嫁を主役にするため、美しすぎるお二人は精一杯目立たないように着こなしてくれた努力・・・は感じる・・・が、花嫁として比べられなくてよかったというのが本音のところだ。どんな服装をしても美しすぎる人は美しい。


 きれーい!目を輝かせてライユさまがおっしゃった。綺麗でしょ。ドレスも・・・、アクセサリーも。ティアラなんて芸術品の閾に達してますよね。

「ティアラももちろん綺麗だけど、瑠奈さんも負けないぐらい綺麗だよ。こんなに内側から輝くものなのね。花嫁って。」

「そうね。幸せがにじみ出ると綺麗になるものよね。瑠奈さん、最高の花嫁よ。セオロナの元に来てくれて本当に感謝しているわ。」


 そんな、花嫁の部屋の会話をしているところに、実の母の登場だ。なんと!お母さん、男装の麗人よろしく黒のつやっつやのタキシードを着て、髪をまとめている。私との身長差もあるから、本当に美しいお父さん風だ。

「バージンロード歩かせてもらうんだあ。だから今日だけお父さん役ねっ。」


「お母さん・・・・。今まで育ててくれてありがとう。おかげさまで、おかげさまで若干楽しいこの性格に育ち、勇者さまに見初めてもらうことができました・・・。」

 真剣に育ててくれたお礼を伝えるはずが、なぜかいつもながら笑い交じりになってしまった。さすが、私のお母さん!




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