表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/82

空の旅へようこそ

 うわああああっ、飛んでる!?私飛んでるの!?

 ここまでの学習のなかで、大人の竜の飛ぶ最大速度はほぼ音速とあった。つまり、竜にのって飛ぶというのは、コンコルドの上にくくりつけられて、飛ばされるということだと思っていた。


 でも、体感は違う。セオロナさまと、私の体はグレイスの上で、暖かい光に包まれていた。景色の移り変わりからみると魔法馬車より、明らかに速いが、感じる風は爽快ドライブの窓から吹き抜ける強さ程度。


 落ちたらどうしようとか、吹き飛ばされそうとか、そんな不安も全く感じないのは、乗り物じゃなくてちゃんと信頼あるグレイスの上だからだろう。


 とりあえず、公爵邸の上空を旋回してみて、私も大丈夫そうだとわかったため、少し領内の様子を見てみる。

 公爵領は、上空からみても広大で、海、山、森の大自然と、広い広い小麦などの農園地帯、沢山の馬や牛を育成している牧場地帯、いくつもの屋根や煙突の見える工房地帯、大きな街と、豊かさを誇る景色が続いている。


 そんなとき、遠くに火が見えた。

「山火事?隣の領地だな。行ってみよう」

 と、セオロナさまが、言うとグレイスがそちらに向かう。

 さっきまでの遊覧飛行の様子とは変わり、すごいスピードだ。近づくとやはり、山火事のようだ、範囲が広く消火の手だてはないように見えた。

 あの近くの湖の水、なんとか持ってこれないかななどと考えていると。


 しかし、グレイスが長い首をこちらに向けて目をあわせるとパチリッとウィンクしてみせた(ように見えた)。

 〔僕、グレイトドラゴンにおまかせあーれ!〕

 そう、頭の中に声を響かせるとブワサン・ブワサンと大きな翼を何度も何度も上下に振る。


 突然、グレイス足元近くに黒い雲が集まりだした。そして大きな雲の塊になると、下の一帯に大雨が降り出す。ズワアアアアアアア。バケツをひっくりかえしたようなの表現に近い雨が降り、山火事はあっという間に沈下、と同時にあんなに集まっていた黒雲がさっと霧状になり文字通り霧散する。


 [なんでも成功率50%アップ以外にもすごいでしょ。僕?]

 グレイス・・・・。グレイトドラゴンらしくない『どや顔』。まだまだ子供のようである。

 が、確かにすごい力を見た気がする。


「この雲を操る力。素晴らしいんだ。でも、この力、山火事消火や、いつでも晴れ男なんて使い方以外にもっと素敵な使い道があるんだ。


 と、セオロナさまはこちらを向いて微笑み、工房の街にグレイスを誘った。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ