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もうひとつの再会

 「え、ベイビーグレイスはどこへ?」

 アトリエ裏の芝生に行くと、アフリカ象の大きさに見合うほどの翼と長い首をもった竜が私を見下ろしていた。

 青みがかった湖の色に、サファイヤ色に輝く立派な翼をあげ、エメラルド色の瞳はだけは子供のように輝いていおり、神々しいまでのオーラを放っている。


 [ルナ。久しぶり、これからもよろしく。]

 と、頭に直接響く声が聞こえる。これも[ママアアア]じゃないのね。しっかり会話なのね。

 私は、自分が不出来であるため、『赤ちゃん竜の成長を見守る』日々を失ったことの痛手を感じていた。熊のぬいぐるみのように小首をかしげたり、てろてろポテッとかクッションのまわりを歩いたりする様子を見たかったと悔いた。お母さんずるいよー。

 が、成長してしまったものは仕方がない。もうベイビーグレイスとよぶのも失礼なのだろう。


「久しぶり。グレイス。私の方こそよろしくね。大きくなったわねー。」

 と私が言うと、添えるようにセオロナさまが言う。

「まだまだ、成長過程だよ。大人の大きさになるとルナの世界で言うとタタミ?20畳ほどの大きさになるよ。いまうちではその時に備え、王都横の広大な洞窟に神聖な神殿風意匠を施して、グレイスが神聖な心根で快適に暮らせる準備を整えているんだよ。ひとまずアトリエも手狭になってきたから仮設の家を向こうにたててそこにいるんだけどね。」

 と、芝生広場の先にある体育館ばりの白きの建物を指した。確かに仮設らしく、公爵家の他の建物のような重厚感はないが、床にはグレイスお気に入りのふわふわクッションが無数に転がされているという。そういうところだけは、まだまだ子供のようだ。


「グレイトドラゴンは基本的に勇者か、そのパートナーが同乗しているときではないと人を乗せない。それは、パワー、飛行速度・飛行距離が人間が生み出せるものの大きさをはるかに超えているから、争いごとに利用されないためにそうなっているんだ。だから瑠奈さんにもグレイスの飛行訓練をしてもらい、乗りこなせるようになってもらう必要があるんだよ。」

 セオロナさまが、今回の飛行訓練の目的を説明する。

「頑張ってみます。馬も乗れないけど。」

「くすっ、そうだね。でも、大丈夫。はじめは僕も一緒に乗るし、グレイスも瑠奈さん専用鞍をつけるの同意してくれてるから。


 そういって、グレイスが背負うような、革の鞍をグレイスに、取り付けてくれる。

 乗ろうと思った意識だけでグレイスが、かがみ混み、翼を床に下ろす。どうぞ、と、翼が語ってくれているような優しい角度。トンテンのぼって、鞍にしゃがんでみる。

 背後には、セオロナさまが立って安定するように支えてくれている。


 ブワッサ、ブワッサ、大きな翼が数度上下に動くと、スウウウッとばかりにグレイスのからだが持ちあがった。



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