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再会

 公爵邸で『育成』を開始して2カ月が過ぎた。

 私の淑女としての「外面」も少しは出来上がってきただろうか。


 1週間ほど前から、セオロナさまと再会するときの服装を迷っていた。清楚な水色のシンプルなのが、いいか、最も顔映りが良いと言われたサーモンピンクのフリルつきのにするか、この前仕立てた蔦模様のをいきなりおろしてみようかなど。


 ナターシャさんにも何度か育成期間中にお化粧と髪のセットをお願いしていたことがあり、プロの手にかかれば、この私でも大人っぽくも、可愛くも変身できることにも気づいたため、選んだワンピにお化粧したときの顔をのっけた姿を想像してみたりもした。


 そして、いよいよ再会の日。

 白いシャツに漆黒の細身パンツに上質な膝上丈のブーツを合わせた出で立ちのセオロナさま。両手を広げた分以上の大きさの羽を背負わせ、大階段を下りてくるタカラ○カトップスター並みのオーラをもって扉の向こうから現れた。


 そして、対面する私。純白にレース飾りも素敵なシャツ・・・?にサーモンオレンジの「サロペット」?のクルミボタンがクリーム色なのも可愛らしく、ナチュラルメイクに1つに束ねた髪のリボンはサロペットのクルミボタンと同色だ。くるぶしまでのブーツの色も同じクリーム色にそろえたから全身統一感が増している。


 あれ、『淑女になった私に、セオロナさまが目を見開いて再会し、駆け寄って抱き寄せる』の再会の図はどこへ言ったのだろう。

 目を見開くことはなかったが、こんな私でも、セオロナさまは見つめて、目を細めてくれる。駆け寄って抱き着いたのは私の方だ。淑女ウェアじゃない分だけ素顔の私でいられるから、それはそれでありがたい。


「今日から一緒に頑張ろう。飛行訓練。僕はもう乗り出して1カ月。だいぶ安定して飛べるようになったよ。ベイビーグレイスは。」

 そう言って、ベイビーグレイスの生まれて一週間目ぐらいから、ベイビーグレイスの気持ちに成り代わってセオロナさまが様子を語る。


「生まれてから一週間目の頃の様子はね。こんな感じ。

 [ママアアアア]今日も声を張り上げてみるが、ママは近くにいないようだ。

 でも、かすかにパニック感は感じる。助けてあげなきゃ。とは、思うものの。動けないよ。


 だって、だってここふわふわなんだもん。ふわふわから、ノソノソ動いて次はモコモコの上に乗る。モコモコの次はモワンモワン。動けないよおー。ママは、パニックぽいのになんだか、ニタニタうれしそうだし、まあいいか、ママより柔らかいだろうね。このながーい枕。ぼくもお仕事に邁進しなきゃあ、『お仕事に邁進』なんか大人だよね。パパが言ってたのをきいたからつかっちゃお。グランママが寝るのがお仕事って言ってたし。うーん、ふわふわにすべきか、モコモコにすべきか、モワンモワンにすべきかそこが問題だ。僕の中での会議も大忙しだよ。でも、意外と、部屋のかどっちょまでいって冷たい壁にさわってもひんやりしていいんだよね。あ、グランママがなんか持ってきてくれた。おおおお、リンゴとバナナと甘いメロンだあ。[グランママーありがとう]。あまいよー。」


 わきゃあああ。可愛すぎるベイビーグレイス。くううう。毎日会いたかったよー。



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