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その一方で?

 私が、そんな楽しかったり、足掻いていたりする間、セオロナさまはどんな日々を過ごされていたのだろうか。


 グレイトドラゴンの出現により、SSグレードを超える何かを課せられただろうことは、セオロナさまも同じ。いや、勇者さまだけにただのパートナーである私とは比べ物にならないプレッシャーもあるに違いない。


 厳しく学習分野を、お教え下さるエリアルさまからの情報によると、セオロナさまとエリアルさまは、まるで国立図書館並の蔵書を誇る公爵邸書斎にて、日々お勉強をされているらしい。

 セオロナさまは、ピシャアアアン・プシャアアアアンと打ちのめされている私とは異なり、ただでさえ博学の知識に加え、広い範囲の深い知識を学ばれているため、エリアルさまも真剣にお付き合いされているときく。


 そんな、お勉強の合間に庭に出て、最高の一輪を選定し、私に毎日お送りくださったと聞くだけで頬が熱くなりそうだ。しかも、いつもエリアルさまが、つけられている『勇者パートナー落ちこぼれ日誌』的な書き物をみて、励ましたい気持ちや、見守りたい気持ちを花に込めたいとポツリと呟かれたそうだ。

 しかし、暖かく見守られているセオロナさまも一度だけ激しい感情で日誌を置かれたことがあるらしい。


 それは、会話術の授業。男性のお誘いを上手にかわすもので、エリアルさま、クレイさま、ブルートさまと順番に乙女系ゲームも真っ青の魅力的なお誘いをかけてくれる役割をしていた。


 はじめはエリアルさまだった。

「うちにミニチュアづくり工房を見にこないか。製品のすばらしさだけではなく、その手際の良さに感嘆するよ。ほんの一時で、ささっと動物の形や、台所用品など、作ってしまうんだ。」

「そんなに手際が良いのでしたら、工房ではなく一緒に砂漠の国に行って、氷細工のショーをしませんか。一瞬で氷を動物の形などに加工して、それを振る舞う。砂漠の民の方々に涼風を感じてもらう素敵な夕べになりますわ。」


 次にクレイさま。

「うちに1年のうち、1度の月夜にしか咲かないムーンセリア花があるのだが、来週咲きそうだ。来ないかい?」

「ありがとうございます。昨日学んだところによるとサンルアの花は逆にムーンセルアの花と同日の昼間にしか咲かないとききました。ぜひ、サンルアの花を手に入れて、サンルアの花が枯れて生まれ変わるようなムーンセリアを眺めたいと思います。」


 そして、ブルートさま。

「泊まりにはなるが、ディレクナル村に一緒にいかないか。美人揃いの踊り子の村で、綺麗なダンスを見ながら、上質のワインを楽しもうじゃないか。」

「そんなに美人揃いな村なのでしたら、ワインなど飲食物になにか要因があるのかもしれません。美人を生むワインなんていいお土産がうまれるかもしれませんし。ぜひいきましょう。いつにします?」


 もともとが、お願いに付加価値要素をつけたり、代替え案でかなえたりとお客様満足度を向上させることが第一の添乗員堅気だ。お断りなんて、できそうにない。


 【セオロナさま副音声】

[副音声解説]

 この音声は貴族社会、冒険界の掟に縛られない、青年『セオロナが、勇者『セオロナ』の本音トークを語っています。ブロンドキラキラ公爵さまのイメージに浸かって起きたい方は主音声(副音声を除く物語)のみでお楽しみください。



 全部しっぽふってついてってるじゃないかあああ。

 どれもこれも全部一緒についていってやるからなああああ。





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