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ああしてこうして

 その他、楽しい時間といえば、お母さん用の家の構想設計。

 公爵夫妻とお母さん邸のメイド長さん、お母さんの4人で、いつも話し合っているようだけど、一度だけ交ぜてもらうことが出来た。大まかな図面を用いて設計方針をつめていく。


 建築場所は、公爵家敷地ないではなく、お母さんの気軽に出入りるようにの希望から公爵領の街の中。住むのはお母さんと執事さん、メイドさん3名のみなので、公爵家ゆかりの家にしてはコンパクト。料理人さん、庭師さん、御者さんは通いなんだそう。日本風にいうと、屋根裏を除いたエリアの建坪200坪。100平米超えのマンション6.7件分か。あれ、どこがコンパクト?私の感覚も麻痺したものだ。


 公爵夫妻のお取り計らいにより、貴族ライクな暮らしをするため、2階建て+屋根裏。屋根裏部屋は使用人の皆さんの居室とし、そこからは、キッチン洗濯室等のバックヤードに繋がる階段が続く。


 1部分は、バックヤードの水まわりの他は、ダイニングと玄関ホールそして、かなりのスペースを割いて『サロン』が配置かれていた。どうやら街の方々と毎日ワイワイ情報交換して楽しもうという目論見らしい。毎日のティーパーティの様子が目に浮かぶ。


 2階部分は、ベッドルームを中心に構成されていて、マスターベッドルームには一人時間も楽しめるよう、ワンルームマンションにあるぐらいのミニキッチンのついたティールームが併設されている。それ以外には、3室の客間と、なんと私の部屋を作ってくれていた。


 で、私の部屋の片隅、3畳ぐらいの小さいスペースを囲ってロフトと書かれていた。

 その表記を見て、子供の頃実家で交わした会話を思い出した。

 私は自分の部屋、組み立てコンボのような、下段がタンスになっている少し高くなってるベッドに座っていた。詳しくは覚えてないが、学校で何かあったのだろうか、私は拗ねていたと思う。

「その基地は瑠奈の充電器ね。そこに閉じこもってジーっとして充電して、また広い世の中に出て楽しんだり、辛いことを乗り切ったり出来る。お母さん、ずっと、瑠奈が疲れたときに充電出来るように基地を用意しておくから。めいいっぱい外で楽しんで、苦しんで疲れたらいつでもここに帰ってきていいのよ。」

 お母さんはそういって、優しく扉を閉めた。落ち着いたらいつでもまた外に飛び立てるように。


 お母さんが、この世界に来てくれた本当の理由は、きっと私がとてつもなく広い世界に飛び立つ私に、いつでも帰れる

 小さな巣を、作ってくれることにあったのだろう。


 自分の楽しみのためよという表の顔に隠したホントの優しさ。私は、ちょと涙ぐんでしまいそうになるのをこらえて、ロフト楽しみーと、はしゃいでみせた。


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