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ようこそ 

「これでベイビーグレイスも安泰だ。」

 エリアルさまに言われると、どうせ私の子育てじゃ、信用できないってことですよねっと拗ねそうになる。


 でも、常に前向きがモットー、と気を取り直して今度こそホントのホントの本邸へ。


「お城?」これが、第一印象。

 端から端まで、見渡すことも出来ない視界いっぱいの大邸宅。エントランスホールだけで、小さいマンション1軒はいるだろうか。第5別邸も壮麗な素晴らしいホールだったが、こちらは更に格式を上げた感じ。

 ダークブラウンを基調にした木製の柱と大階段。蔦と花を描く紋様は、まさに芸術品だ。足の沈み込む絨毯の色は落ち着いた赤で、柱とのお揃いの紋様がこちらにも描かれている 随所に背丈を超える国宝級の飾り壺が、計算され尽くされた色合いの配置され、また、花道家の展覧会並の華のあるフラワーアレンジメントに絶妙な形でライトがあたっている。

 何よりも、置かれている全てのものが、主役級にもか買わず、『調和』を演出している。それが、このホールの素晴らしいところだ。


 落ち着いた色合いなのに、はるか高くにある天井の高さのおかげで圧迫感はない。しかし、圧倒的な風格が、訪れるものに公爵家の歴史と威信を感じさせる。


 もうすっかり欧州旅行気分。観光モードに入っていた私を、ずらあああああっと、並ばれた使用人の方々が、迎える。家令のクリストファーさんにはじまり、執事さん、家政婦長さんに、従者・侍女の方、コック長。それ以外のグルームオブザチェンバーズさんやヘッドベイカーさん、マスターオブザホースさんなんて、添乗員になろうと勉強していたときに本で読んでなきゃ、きっと目にすることも耳にすることもなかった単語だと思うわ。

 この人数なのに、役割を聞くと、上級使用人の方ばかり。それ以外の方もいれると、一体何人がお勤めなんだろう。


 公爵夫妻が優美な足取りで、階段を下りて来られる。昼間であるため、タキシード、イブニングではなく、スーツとワンピースなのだが、溢れる気品で後光が差しそうだ。

 公爵は、セオロナさまがそのまま20年間月日を重ねてよりダンディーにしたような美男子。公爵夫人はライユ様の雰囲気とも一味違う、凛とした空気を纏ったブロンド美人。これまた、うちの母親と同じで年齢不詳だ。あとで聞けば、隣国の王女さまが公爵に一目惚れして降嫁されたのだそう。そりゃあ、うちの母親用に家を建てるなど、天真爛漫発言もされるよね。


 まずは何をおいても、ベイビーグレイスにご挨拶。

 嬉しそうに手足をバタバタする熊のぬいぐるみサイズのベイビーグレイスと目線をしっかり合わせて公爵、

「ようこそ。グレイトドラゴンさま。お誕生心よりお祝い申し上げます。この世界ををどうぞ末永くお導きください。」

 と、丁寧に尊敬の念をもって、お伝えされた。そして、私たち全員に笑顔をむけられた。


「ようこそ。皆さま。そして、婚約者殿。」

 えっ、ベイビーグレイスが認めてくれたとはいえ、添乗員ではなく、婚約者としてお出迎えしていただける?そんな、厚待遇で良いのでしょうか。




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