お喋りは続くよ、どこまでも
「皆さまはじめまして。とはいっても私たちはもちろん、あ、瑠奈さんを除いて、皆さんのことは生まれた頃からずっと知っていますよ。」
精霊王女さまだとわかってから急に荘厳に見えだしたルビーさまがおっしゃると、サファイアさま、ペリドットさまが続けられる。
「そうね、勇者さまとそのお仲間にはやはり、赤ん坊のころから精霊の加護を引き付ける力があるようね。」
「そうそう、近づくだけで私たちワクワクしちゃったわね。」
「よく、場所取り合いしたっけ?」
「一番気持ち良い背中の取り合いとか、寝息聞こえる場所の取り合いとか。」
「そうそう。セオロナさまの廻りなんかとくに離れがたくって。」
「よく精霊王様にもういいから戻ってーとか叱られたよねー。」
あ、盛り上がるとせっかくの荘厳な雰囲気が。だめだ、突っ込んじゃいけない。いけない。
「あら、また話がそれちゃったわ。」
ルビーさまが気づいてくださったようで、ホッ。
「そうそう、私たちは小さいころからセオロナさまにくっついてきた。そのおかげか、セオロナさまが勇者に選定された後、より密接に精霊と関わるようになってからは、公爵夫妻にも私たちが見えちゃったのよね。」
「おかげでせっかく逞しく育ったのに、背中張り付けなくなちゃったわ。」
「居心地最高そうなのに。」
「背中に乗ってひなたぼっことか気持ちいいわよねえ。」
その後も恐ろしく脱線し続けた話しを要約する。(要約しなければ、延々と日常の少し楽しいことやちょっとしたことを速記ベースでメモを取る必要があるだろう。はああああっあ、私まで脱線。)
どうやら、私はこの王女さま方のお力でこの世界に招かれた勇者さまのパートナーらしい。かの有名な『召喚』というものだ。歴代の勇者パートナーさまは精霊王子または王女さまの合議で選定されるそうだ。その選定には基準があり、勇者さまの母である公爵夫人気に入ること。以外にも、勇者パートナー基本選定基準4か条なるものを満たす必要があるとのこと。
ひとつ、物事に動じず、現実をみることが出来る人。
ふたつ、物事の判断は前向きであること。
みっつ、超主役級の勇者さまより目立たないこと。
よっつ、全世界的に平等な立場であること。
ひとつめ、ふたつめはまあ、納得で、みっつめは、逆にいるのかその条件を満たさない人。
と、思いふと隣をみると、隣に脱線話中も微笑むライユ様の神々しいまでの美しい顔がみえる。あ、こういう人のことね。勇者さまが負けるかはわからないけど、目立ち具合で言うと安全圏でいられるかどうかは危ういだろう。
よっつめ、私はこの世界にきて、まだ日が浅くよくわからないが、難しいのだろうか。