わいわい がやがや
「あらあ。グレイトドラゴンさまもお認めになったようね。」
「さっすが、私たちよねー。見る目あるわあ。」
「何日もツアーに参加して張り込んだ甲斐があったわけねー。」
「事前リサーチも万全だったものね。公爵夫人もよく見てるわー。息子さんのこと。」
「貴族さんなのにしっかり息子さんの子育てしたってことよね。」
「そうそう。すごいわー。尊敬しちゃう。」
「子育てって大変よねー。」
「でも、3歳までの可愛さだけで子供はすべての恩を親に返すとかいうしねー。」
「勇者さまなら、絶対天使みたいな赤ちゃんだったと思う。」
「いえてるー。いまも超超イケメンさんだしねー。」
えっ、このどこかで聞いたことがあるような。という、相手の話を半無視したようにかぶせ続ける怒涛のお喋りが扉の向こうから聞こえる。そして、開いた扉から姿が見えてもお喋りを途切れさせることなく現れたのはなんと。
ニッポンでの日帰りバスツアー。まったく人の話きいてなーーーいでお馴染み(?)の『イミテーションジュエリー三人組』だった。ご丁寧にもジュエリー(きっとイミテーション・・・と思う)と服装もバスツアー参加のときのまま。。おひとりずつそれぞれ、ごってりした指輪・重そうなほどのネックレスとイヤリングにルビー・サファイア・黄色水晶のテーマを設けて、服装まであわせた派手派手コーデって。どういうこと?ついでに言えば、その派手派手コーデがいかにもつきに似合うそのお顔立ちも、3人揃われるとは奇跡!?
と、バスツアーのときにひそかにしていたツッコミが脳内に再現されたけど。
その前にちょっと待ってよお。私は脳内パニック状態脱出のため、情報を整理する。
魔王が封印されて、なぜか勇者さまが卵を持ち帰り、卵が近づくと割れて・・・。 竜が生まれ、しかも、いまの話だと私が赤ドラちゃんなんて失礼な愛称を心の中でつけたこの竜さまは、『グレイトドラゴン』さまなんて聞くからに超立派な神の化身的な竜らしく。でも、ガチャガチャ生まれで。そのグレイトドラゴンさまが私のあげたリンゴを食べて、私をママアって呼んで。そうしたら突然イミテーションジュエリー三人組とこれまた私が心の中で超失礼な愛称をつけてた三人組がニッポンからやってきて。じゃ、ないか、ニッポンに行っていた三人組が帰ってきたのか。
いやー、これってどう考えても整理できてないままだよー。