扉の奥では
「扉の奥は長い通路になっていて。」
セオロナさまが中での出来事を語り出した。
「通路の両壁には大自然が描かれている。緑豊かな大地、澄んだ青空とその青空からの光と大地に茂る緑の影を受けた湖。燦燦と照り付ける太陽。精霊たちは描かれてはいないけど、まさに精霊が喜ぶ世界の様子がずっと続くんだ。本当に森の中を散策しているような気分になったよ。」
目を閉じれば、その緑豊かな光景が目に浮かぶ。それはこの数日間の旅の間中、ずっと感じることができた幸せな光景だった。
セオロナさまは続けられる。
「その緑の空間を抜けると広いホールに出る。神殿の入り口で感じたような荘厳な雰囲気のホールだ。そして正面には、両サイドに優美な曲線を描く、見上げるような大きさの階段があってね。片側の階段から上ったその先に正面に祭壇があったんだ。すべてが大理石らしい、しっとりとした輝きをもった石でできていてね。そして、祭壇には誰が飾ったわけでもなさげなのにいくつもの色鮮やかな花輪が飾られていた。」
すばらしく壮大な神殿のようだ。エリアルさまはじめ、パーティの皆さまもセオロナさまのお話に聞き入っている。
「これは、魔王に幸せを与える祭壇なんだとすぐにわかったよ。祭壇正面に大きなルビー・サファイヤ・ベリドットに彩られた宝箱のようなものが蓋を開けて置かれていて。中には深い紺色のしっとりしたベルベットのクッションがあって、その中央に魔王の核をそっと沈めるように置いた。そして、蓋を占めたあと
脇にあった見たこともないほどの大きさのエメラルドがついた錠前で封印をした。」
どうやら無事に魔王さまは幸せの地に眠ったようだ。お話しを聞いているだけで私まで幸せを感じる。
やすらかにお眠りください。魔王さま。
「封印をした後、祭壇に向かって黙とうをささげていると天啓というべき声が聞こえてきてね。階段を下りて右下にあるハンドルを回せと。その声に従って右側の階段を下りてみるとたしかに祭壇の下、巨大にそびえる白い壁にね。両手で抱えるほどの大きさのすこし角のついた円形のなにかが、取り付けられていたんだ。ちょうどらせんに広がる階段の影に隠れるようにして。天啓のとおり、僕は回したよその円形のレバーを。そうすると、ガチャガチャと何かがまざりあうような、落ちるようなそんな音がして、正面の壁に大きな空洞ができた。」
どきどき。その空洞に入っていくと竜さまの卵があったりするってこと!?真っ暗な中にわらが敷き詰められたような巣があり、そこには。というパターンか。
いや、予想とは少し違ったようだ。
「その空洞からごろんごろんごろんとこの卵がすべり、転がり落ちてきたんだ。」
え、それって核をいれてハンドルを回すと球体が転がり落ちる。
巨大ガチャガチャってことですかああああ!?