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はじまり

 ゆっくりと扉が開いた。内側から自然に開いたようだ。

 セオロナさまが魔法を使ったのだろうか。


 セオロナさまが魔法で扉をあけられたワケ。それは、両手にズッシリと抱えるほどの、『たまご』のようだ。空色と緑がまじりあったような、『THE 恐竜の卵』といった雰囲気の本当に大きなたまごだった。


 そして、セオロナさまが扉から出て、私の方を見たとたん。ミシッ、ミシッと音がして、卵が割れ始めた。


 中から現れたのは。

「みいいいいいいいいい」

 と、赤ちゃんらしい泣き声を張り上げたドラゴンだった。青色と透明の中間のような色がぬけるように綺麗な色の竜。ただ、赤ちゃんとはいってもさすがは竜である。大きさはデパートなどで、あれは見本か売り物かと見分けがつかないぐらいの大きさの熊のぬいぐるみサイズといったところだ。竜だと判別するための翼もいまのところ、おなさけでついている並みのサイズで、先についている爪もちょこんとしている。また、まさに赤ちゃんだろうなと思わせるのは、熊のぬいぐるみそのまんまの頭と胴体の大きさ比率。体はこれから巨大になっていくだろうが、いまのところは、ドラゴンというよりも竜のぬいぐるみイメージのかわいらしさだったのだ。鳴き声を一声張り上げたのち、私の手元にある「リンゴ」へと近づいてきた。


「かわいいいいいいいいいいっ」


 私はひるむことなく、どちらかというと自分から駆け寄る感じで、竜の赤ちゃんに近づく。

 そして赤ちゃんながら大きいお口の前ににリンゴを捧げた。

「かぷううう」

 そんな擬態音で表現できそうな、雰囲気で赤ドラちゃん(心の中でいきなり愛称つけてみた)はリンゴにかじりつく。シャリシャリっとおいしそうに噛む音がしてごくんと飲み込んだ。


 [ママアアアアア]突然頭に響くように声が聞こえた。ところが、その声にセオロナさまは驚いた表情を見せたが、セオロナさま以外の皆さまには声が届いてないようでなんの反応もない。


「セオロナさま聞こえました?今ママアって」

「確かに聞こえた。ママになるべく人をあらかじめ勇者が選定し、リンゴを渡す手筈となっていたようだな。」


 えっ。私、竜のママになるべく存在だったの!?そんな大層な人物じゃありませんよおおおおおお。私。

 

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