表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「勇者さまご一行、こちらでーす。」添乗員はじめました。異世界で。  作者: 爽村 愛
サマソニア・そして神殿へ
41/82

思い出

 正餐ではないといわれたものの、心のこもったあったかい夕食。おそらく、お泊まりが決まってすぐに採りにいってくれたんだろう、『近隣の野菜畑』をイメージされたサラダ、漁港直行の『エビの旨味ソースをたっぷりかけた鮮魚のポアレ』。お肉にかかるソースは地元産赤ワインだという。


 さすが、土地の品格をあげるためのお屋敷での晩餐。テーブルマナーを無視して拍手をしてしまいそうになるほど、この地の恵みを意識されたお料理だった。


 旅スタイルを通そうとセオロナさま。本来、貴族の皆さまが使用人の方とお食事をされることはないのだが、ご夫婦とリンゴの件で人類への教えの祖となりそうなレイダムさんを席に招いての会食となった。


「本当によくお帰りになりました。公爵さま、奥さまもさぞお喜びになるでしょう。」

「公爵さまは、若さまが5歳の頃より、この子はすぐに自分を越える子になる。自分に出来ることは何なのかとお話しされていましたからね。徹底した帝王学や武術、社交術すべて本当に難なく修められて、誰からも愛されて。」

「奥さまとも、あとはこの子がご自分たちの元に産まれてきてくれたことに感謝することと、自分の力を充分に発揮出来るように祈るだけなんて寂しいものだとおっしゃってましたね。」

 次々と子供時代にも、隙なく素晴らしかったという思い出話が飛び出す。

 いいなあ、私なんか子供の頃の話って、大人になってから出会った人たちには、話して欲しくないような思い出ばっかりだ。


「公爵ご夫妻が、若さまのことを、心配されている言葉を発せられたのは、たった一度きりですね。魔王を討伐された日。」

「あの子が、世界のため、人のために出来ることは今までも多くあったし、これからも数限りなくあるだろう。でも、私たちが公爵夫妻としてでなく親としての唯一の願うことは、自分の幸せを掴んでくれることだけなのだが。そのために動くことが出来るのだろうか。と。」


「そんな、ご心配も杞憂に終わりそうですね。」

 と、何故かセオロナさま以外の全員と視線があった気がする。


 ん?と、私だけが首をかしげたまま夕食の場はお開きになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ