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「勇者さまご一行、こちらでーす。」添乗員はじめました。異世界で。  作者: 爽村 愛
サマソニア・そして神殿へ
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お宝を置く訳

 「では、何かお手伝いいたしましょうか。」

 パーティの皆さまと異なり、雇われ添乗員の私がお客さま扱いを受けられないと、申し出たが、あっさりセオロナさまに否定されてしまった。

「僕がそんなことをさせると思う?僕の家を訪ねて来られた大切なお客さまに。」

 大切・・・。その言葉にポワンとしてしまった。


 が、教会勤めをやめ宰相さまになる決意をされたからか、鋭さを増したエリアルさまから真実の一言が。

「まあ、ティーカップ持ち上げるのに息を止めてるぐらいだったしね。この家の食器、家財に触れるメイド業をしたら窒息してしまうな。あの飾り壺なんか、その辺の小さい城ぐらい軽く買える品だしな。」

 少し離れたところで、無邪気なライユさまのはしゃいだ声も。

「あら、この絵確か国宝の。私好きだったのよね。このグラデ。第5別邸に持ってきたんだあ」

 ひいいいいいいいっ。お手伝いを止めてくれて、セオロナさま心からありがとう。留守宅なのに、メイドさん5人も多いなって思ってしまっていたが、邸宅全体が博物館クラスってことなんですね。維持する労力、充分納得。


 では、お部屋ご案内しますね。と、メイドさんから声がかかる。


 あ、憧れのお姫さまベッド!空色のこれも足が吸い込まれるような絨毯敷きの部屋に、オフホワイトのベッド、チェスト、ドレッサー。ティーテーブルの横には淡いピンクの花柄のカウチがさりげなく置かれている。マイ泊まってみたいホテルNo.1のヨーロッパ古城ホテルの内装予想を越えるエレガント具合!

 人前で抑えてた歓びが、あふれでて思わずベッドにダイブとかしてしまう。

「そんなに喜んでいただけて光栄です。」

 あ、しまった。まだ、メイドさんが。しかし、心底楽しそうに笑っているから、陰口なんかは言われなさそうで良かった。どうぞ、ご内密に。


  お部屋から見ると裏庭にガゼボがあるよう。ガゼボで休憩なんてセレブのよう!と、さっそく体験に。

 見事な薔薇が咲き誇る庭園を眺めながらの休息タイム。自然いっぱいもとてもよかったけれど、人の手で見事な形に仕上げられた植物たちも素敵。レイダムさんのセンス豪快かつ繊細だわ。


 お庭でレイダムさんが手入れをしているのをのんびり眺めていたら、レイダムさんに話かけられる。

  「いかがですか。このお屋敷は?」

「すばらしすぎて、正直萎縮してしまうぐらいです。無駄に豪華というか。」

 と、また失礼なことを言ってしまった。

 

「公爵さまや、若さまは決して無駄遣いをするためにこのお屋敷を運営されているんじゃないんですよ。」

 あの優美なお顔で権力誇示とか?と頭をよぎったが、まさかね。

「もちろん、権力誇示でもありません。何より若さまは勇者さまです。権力を誇示する必要はまるでないんですよ。勇者さまが生まれる家だけあって公爵家は昔から祝福された家柄でしてね。なにをしても富が集まってしまうところがあります。その富の再分配をされるために、この屋敷を運営されている面もあるんですよ。屋敷があれば、建てるとき、維持するとき雇用が生まれ、またその地やそこで働く人たちの品格を上げることもできるんです。」

「でも、あそこまでの美術品は・・・?」

「あの美術品たちがここにあるのには理由があるんですよ。あの品たちはいずれも次代に残すべき最高傑作たち。それを安全に保護し、飾るために最高の場所を提供しているのです。すべての精霊の加護を受ける勇者さまの家には天災がふりかかることもありません。また、もしあたなが盗人だとしたら世界最強であることを約束された勇者さまの家を狙うことおうと思いますか?公爵さまや若さまは色々なことを考慮されて、公爵家を運営されているのです。」


 精霊の加護に盗人からの保護、なるほど世界一安全なセキュリティハウスなのか。さすが、何事につけてもとびぬけてるんだ。勇者さま。


  「あと、悪意のない人災だけは防ぐ手立てがありませんので、屋敷で働く者は皆、高級品を扱い慣れたプロばかりです。」


 はい。お屋敷の中はそっと歩くように気をつけます。 

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