ようこそお宿へ
今日の日のために用意した茶色のフリフリワンピにエプロンを重ねて、飛びっきりの笑顔で迎えた勇者さまご一行。
キラキラ☆☆☆
いや・・・どよーんか。
宿屋のドアを開けたご一行は、お疲れなのか不機嫌なのか。。。どんよりとした空気をまとっていた。
「いらっしゃいませ。ようこそ~。」と、お出迎えすると、疲れた笑顔で会釈された。
「どうぞ、お疲れでしょう。お部屋へご案内しますね♪
お部屋は貸し切りですのでご自由に行き来下さい。」
と、お伝えしご案内。
「ご夕食はダイニングで。18時からになります。」
と、お伝えしキッチンに下がる。下ごしらえをしていると、ダイニングに人影が。
おおおお、超絶美女の踊り子さまと、パラディンさまだ。
ちょっとでもゆったり過ごしていただくため、甘くて爽やかなハーブティをお出しする。
は、言い訳で、少しでも近くで美男美女を見てみたかった。
「ありがとう。ごめんなさいね。このパーティー辛気くさくて。わたしは、ライユ。みた通りの踊り子よ。」
「ありがとう。わたしは、ブルートパーティーを護る護衛役です。王都に戻れば騎士団副団長ですが。」
「はじめまして。瑠奈です。数日前からこの宿屋でお勤めさせていただいてます。皆さんずいぶんお疲れのご様子。ゆっくりしてくださいね。」
「疲れじゃないわね。日常に戻りたくないだけ。もう半分帰還しちゃったのを実感なんだよね。往路は魔獣と戦い常に前へ前へだったけど、帰りはぼんやり同じ景色みて、同じような街に泊まってだしね。」
「ですね。来る日も来る日も同じっていうのを痛感です。ゴージャスなだけの領主の館にも飽きましたし。このお宿はシンプルなのが好ましいですが。」
「まあ、私たち二人は、まあね。一緒にいるだけで・・・。」
う、空気がうっすらピンク色に。退散退散。
「よし。じゃあ準備だ。」
勇者さまお迎えにはたっぷりの予算がつく。なにか楽しんでもらわねばー!
クロスにダンボール、布地にリボン。
あとはお弁当ボックス。