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「勇者さまご一行、こちらでーす。」添乗員はじめました。異世界で。  作者: 爽村 愛
サマソニア・そして神殿へ
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想いを伝えて

 翌朝、砂浜散歩に行くと、エリアルさまが、エキゾチック美女にお手紙を渡している場面に遭遇してしまい、慌てて隠れる。


 なんと、美女はその場で手紙を読むと、じっとエリアルさまをみつめる。そして、耐えきれないように目を潤ませてエリアルさまに抱きついた。


「わあ、おめでとうございます!」

 感動のあまり物陰から出てしまった。


「なんだ、盗み見か、気づいてはいたが。まあ、君のおかげで、サトゥーに想いをすべて伝えることができたよ。」

「どんな素敵なお言葉で?」

 興味しんしんで聞いてみる。またしても恋バナの始まりか!と期待が隠せそうもない。

「照れるな。」

 珍しくそんなことを言いながら、エリアルさまは手紙の一部を読み上げてくださる素振りをみせた。


 ええっいいんですか。そんなの聞いちゃって。


「君は敵の多さに王太子候補になることを諦めているといったが、頭脳、気配り何を取ってもすばらしいと認めざるを得ない君を隣国の王として迎えることを、私は諦めることができない。君が王太子をめざすなら、私は学問の道を中座して、この国の宰相となり、両国の知識・技の交流、海路の充実による商流の場の提供を行うと約束しよう。海辺の地で出会えた縁を大切にし、両国の発展に向けて、これかも二人で手を尽くそう。」


 深い・・・?もしかしてそんな深い話?

「宰相さんってなろうと思ってなれるの?」

 一人言をつぶやくと、いつのまにか近づきその場に立っていたセオロナさまが言う。

「我が国の王太子は僕のいとこで、エリアルは現宰相の嫡男だ。私たち3人は子供のころから一緒にこの国の在り方について常に議論をしていた。まったく、そのわが国の王太子がどんなに自分の世の宰相を任せたいとお願いされても、学問の道を突き進みたいと言っていた信念の男が。他の国の王太子候補を支援するために宰相になろうとは、なんと言えばいいのか。」

 改めて、すごい世界の方々なんですね。勇者さまご一行は・・・・。そして、私軽くだけど、すごい大きな背中押してしまったわけですね。


 でも、女王さまになってしまうとしたら、エリアルさまとのロマンスは諦めざるを得ないのかもしれませんね。と、寂しげにサトゥーさまを見ると。

「ありがとう。尊敬するエリアルさまにそういってもらえるなら僕はどんな敵にも打ち勝って王になってみせるよ。」


 え、その声、もしかして? 

「女装男子~!!!」

「こら、失礼だぞ。サトゥーの国、イルパラネリアでは、王族は18歳になるまで、魔除けのために女性の装いをする文化があるんだ。」

「それは、大変失礼をいたしましたが、もうひとつ大変失礼なことを確認してもいいですか。サトゥーさまって18歳になっていらっしゃらないのですか。」

「17だが・・・。」

 あの、私26歳って女の花盛りだよね。なのに、完全に所謂いわゆる色香での敗北。17歳言い換えると高2男子に。


「あは、色々失礼しました。ごゆっくり語りあってください。」

 そ私はこの女子力リングから逃げさった。立ち直れなさそうなこの敗北から。


 海があって良かった。本人には面と向かって言えないけど、海になら。


「高2男子は汗だくで野球でもやってろーっ」


 そう叫んでみて、ふと想像した。女装を解いてもおそらくものすごく美形のサトゥーさま。自分がその年齢を超えても永遠に憧れのお兄さまに感じる高校野球選手にサトゥーさまがなるとしたら。

 汗だくでもかっこ良すぎてずるいよーっ。と改めての嫉妬が抑えられそうにないのであった。



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