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「勇者さまご一行、こちらでーす。」添乗員はじめました。異世界で。  作者: 爽村 愛
サマソニア・そして神殿へ
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海を眺める時間

「海がみえてきたー。」

 海を見ると、なぜかみんな感嘆の声をあげてしまう。私も、例にもれず声をあげる。遠くからでも、水面が太陽の光を浴びて輝いている様子が見える。


 サマソニアは海辺にあるからだろう、かなりリゾート色の濃い街だ。海辺の一角にある露店では、海の産物やお菓子も売っている。また、砂浜には椅子も出ていて、海を眺めることを売りとした宿がクリーム色の壁とオレンジ色の屋根を並べて建っている。また、海と対面する山手には、オリーブの畑や、柑橘類のなる果樹園が広がっていて、よりいっそうリゾート気分を盛り上げてくれる。

 

 街に降り立ち、石造りの小路を進んで宿に向かう。お、この旅初めてのチェックイン業務か。日帰りばかり行ってきたため、研修時代に学んだことを復習しておかねば。


 まず、第一に皆さまをロビー等で休憩してもらった後、フロントに。

 フロントでは部屋は空いているか、部屋割りに問題がないか、確認した上でカギを受け取る。

 その際に、部屋の優劣がないかも確認しておき、優劣があった場合には状況をみて割り振りを考え直す。

 皆さまが、部屋に入ったのち、問題があった場合に備えしばらくロビー待機する。


 よし、と気合いをいれたはずが、宿に近づいただけで、お出迎えの方が沢山出てこられた。

「お帰りなさいませ。勇者さま、皆さま。当館をお選びいただきありがとうございます。さ、どうぞ、最上のお部屋をご用意させていただいております。」

 そうだった。昨日の少年の笑顔に忘れそうになっていたけど、この方たちスーパーVIPだった・・・。出会った宿でも、そういえば貸し切り体制となってたし。


「ありがとう、お世話になるよ。」

 人にかしずかれることに、卑屈になったり偉ぶったりせず、さわやかスマイルで自然に過ごされているのを見て、お育ちの良さがにじみ出ている。あー、こんな方たち相手に旅のプロぶるの無理だな。


 添乗員用の私には最上の部屋の隣、おそらくVIPの従者さまが泊まられるためのお部屋が割り振られた。最上の部屋と同じ景色を眺めることができるため、とてもお得な部屋。

 やったー、ラッキー部屋だと喜んで、テラスに出ると視界いっぱい、端から端まで海だった。海鳥の声も

 聞こえ、旅情は満点だ。


 一人ではしゃぎそうになってると、隣のテラスにセオロナさまが出てきた。腰位置の衝立を隔てて横に立つ。ブロンドに端正な王子さま顔は、南欧仕様の景色とそぐわないかと思いきや、海を前にしても思いっきり似合って素敵だった。リゾートシャツ姿に脳内コスプレさせていたのもあるけど。


 海に浸る時間をお邪魔してはいけないと部屋に戻ろうとすると、

「もう少し、いないか。」

 と、お誘いいただき二人で並んでテラスの柵に寄りかかり波の音に耳を傾ける。たまにちら見して目があうと微笑みあう。この時間を切り取って持って帰りたい気分だなあ。


「あれ、海辺にいるのエリアルさまですよね。うわっ、綺麗な女性と一緒!?」

 

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